30代転職組・新間草海先生の『叱らないでもいいですか』

転職を繰り返し、漂流する人生からつかんだ「天職」と「困らない」生き方。高卒資格のまま愛知の小学校教員になった筆者のスナイパー的学校日記。『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。

生活科

紙飛行機を生まれて初めてつくる3年生

皆さんは紙飛行機はいつ作りましたか?
生まれて初めて作ったのは、いつですか。

保育園?
小学校のとき?

さて、インフルエンザが猛威をふるう中、学級閉鎖が相次ぎました。
うちのクラスは無事でしたので、体育館で遊ぶことにしました。
ふだん、体育館を使用することはできないのです。いつもは高学年のクラスが使いますから、他の人が使って良いような空き時間は無い。

しかし、今日なら使える。空いている。

チャンス到来!
体育館が使える!

私は、子どもの頃、体育館で思いっきり紙飛行機を飛ばして遊んだ記憶があります。昭和の時代です。あの頃は、ブームと呼ばれるものがありました。ものすごい数の小学生が、いっきにローラースケートを始めたり、ほぼ同時期にルービックキューブを始めたりしたものです。

お相撲さん、力士の消しゴムが流行りましたね。
私は貴乃花とか若乃花とか持ってました。もちろん、先代の、です。貴乃花は大関でした。筆箱の上でトントン叩いてよく遊んだものです。
その前は、スーパーカー消しゴムが流行りました。ランボルギーニとか、デトマソソパンテーラとか、ミウラとかポルシェが人気がありました。

同じように、紙飛行機ブームってあったんですよ。少し固めの良い紙で、クリップにゴムを引っ掛けて飛ばしたりとか、めちゃくちゃよく飛びました。

今の子は紙飛行機ブームを知りません。
なので、驚いたことに、3年生になって、初めて紙飛行機を折った子がいました。クラスでスイスイ紙飛行機を作れるのは、たった3人か4人程度で、他の子は「どうやってやるの」の繰り返しでした。

私が不思議に思ったのは、なぜそのクラスの中の3人か4人の子は紙飛行機が折れたんでしょう。おうちでやったことがあるか本当に稀なことですが、幼稚園の先生か保育士さんが教えてくれたんでしょう。あるいは児童クラブなどで。

紙飛行機をなんとか私が折って見せて、体育館で飛ばしてみせると歓声が上がりました。
時間をゆっくり慎重に紙飛行機をつくり、みんなでとばしました。

夢中!

あっという間に45分が過ぎました。
初めて飛ばした子がこんなにも多くいたのですが、みんなの目が本当に輝いていました。

私は1番の原因に思い至りました。
つまり、昔は紙飛行機を飛ばして良い場所があったのですね。
ところが、今はその場所がないのです。

教室で飛ばすと怒られます。
何故かと言うと、誰かの顔に当たってその子が困るからです。

家の中で飛ばすわけにもいきません。

じゃあ公園でとなりますが、その公園が見当たりません。
また、自分1人だけで飛ばすのは何ともつまらないんです。

これが最大のポイントでしょうかね。

友達に、

「見てて!」

と、大きな声で叫んでから投げるのが最高に楽しいのです。

それを交互に、お互いが繰り返していくのです。
ほとんどセリフは、「見ててー」だけです。
でも最高に楽しいです。

土曜日・日曜日になると、友達は習い事に行ってしまって、家にいませんから、友達を誘うことはできないのです。
だとすると「紙飛行機飛ばし」は、学校の中でやるしかありません。友達がいるというのが保証されている場所が学校なのですから。

実は、今の学校が持つ社会的な意味合いは、そのことが1番大きなものなのかもしれません。「目の前に友達がいる」という状況を用意してあげるということ。
我々大人世代は、そのことにあまりにも鈍感なのです。友達がいる空間を用意するのは、今や、学校にしかできないことなのでしょう。

紙飛行機を飛ばしたことがないのは、なぜか。
結局、普段は目の前に友達がいないからです。友達がいる場合は、それは学校なので、紙飛行機は飛ばしてはいけなかったのです。

ところが、逆に言うと、学校で紙飛行機を飛ばす時間を確保できれば、それは夢の時間に変わるということです。

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来年何を飼育するかで悩む

学校ではそろそろ次年度の動きを考え始めます。次年度どんな計画で、学校の運営を進めていくのか、今年の反省を踏まえて、どの職員もグループになり考え始めます。

私は立場上、学校内の全体の話を考えるのですが、1つには学校で飼育する動物について考えております。
生活科の教科書が、今年新しくなったために、そのページをよく見てみると、なんとドーンと大きなヤギの写真が!

一昔前までの生活科と言うと、うさぎがメインだったはず。
これはうさぎならば、都会でも飼育しやすいことが理由でしょう。そして、うさぎより小さな生き物だと、ほとんど虫になってしまうからです。

神奈川県の小学校勤務だったときには、生活科と言えばダンゴムシでした。
学校の中に小動物を飼うスペースや設備はなく、植物か、せいぜいダンゴムシが飼育できるものだったのです。
ダンゴムシなら、春から秋までずっと動いてくれますし・・・。

ところが、ダンゴムシでは、ちまちました作業になってしまいますから、それほど子供たちも盛り上がらず、低学年の担任は悩んでいるのが常でした。

新しい教科書に、ヤギがドーンと載っていたのには、どうやら、文科省の意図が隠れていそうです。
文科省の立場からすると、下じもの小学校には負担をしていただき、ぜひ、教育効果の高い動物を飼育することを推奨したいらしいのです。

そこで私はウサギに代わる動物として、ヤギ、羊などを考えました。
ところが、どちらも、ある程度どう猛であることに変わりはありません。
昔話や絵本のイメージで、ヤギも羊もおとなしい動物だと思われがちですが、実際には、血気盛んで、人に体当たりする事だってあります。

特に、オスのヤギの凶暴さについて、知人の農家の男性T氏が語っているのを聞きました。
T氏は、ヤギはおろか、ポニーやうずら、鶏などを飼育する農業のプロです。学生時代は、虫や酵母菌についてもレベルの高い研究をしていて、ここでは、あまり書けませんが、酒はほぼ自作していました。私は自分の結婚祝いに、彼からどぶろくをプレゼントされましたが、恐る恐る飲み終えるのに、半年以上かかりました。

彼は
「体力が余ってるから、たまにこうやって遊んでやらないといけないんだよね」
と。
T氏は、そう言いながら、ヤギの頭を、長靴の裏でバチコーンと蹴っています。
私が驚いて、そんなことをしていいのと聞くと、鼻で笑って、
「こんなの向こうは何も感じていないよ」
といい、また、何度も靴の裏で、バンバンとヤギの頭突きを受けています。
驚くのは、ヤギも遊び方を心得ているようで、津村氏に向かって、いかにもやって欲しそうに頭を向けて突進していくのです。
津村氏はまた来たかと遠くを見つめながら、まるでこれを10年以上続けているプロのように、長靴の裏をヤギの額に合わせて、ポンポンとはずみをつけて蹴っているのでした。

私はムツゴロウさんか!と、心の中でツッコミましたが、ヤギはそのくらい元気が良いし、体力もあるし、よく動くのです。

そこで私はヤギに関しては少し恐れがありまして、羊はどうだろうかと思ったのです。羊のショーンなどを見ると柔らかくて、ふわふわしているし、ガラガラドンに出てくるヤギのような凶暴性は比較的、無いと思ったわけです。

そこで今回は、とあるMと言う町に行きまして、羊を観察しに来たのですが、とてもおとなしいようです。私が与えた草もぺろぺろ食べましたし、お前はおとなしいのかと聞くと、ふわふわした白い毛で、はいそうですと言うような表情。

よし、オッケー。
私は心の中で来年度生活科で買うのはこのひつじだと決めました。

ところが・・・

念のため、例のT氏に聞きますと、



「え?羊?ひつじはジャンプすると、大人の背の高さ位は飛び越えるよ」

とのこと。

やはり、やめときます・・・。

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