以前、神奈川の小学校に勤務していた時のこと。
その小学校では、プール清掃をする前に、網を持ってきて、プールに生息している様々な水生昆虫を集める学習があった。
おそらくそれは理科の大好きな先生が始められたことで、科学教育研究会(かきょうけん)という組織に所属していたある先生が私にも声をかけてくださったのだ。
校長先生に許可をもらい、クラス全員でプールに赴くと、既にそのS先生のクラスの子たちは、先にプールに到着しており、先生は子供たちに何かを指示しているところだった。
私は低学年の担任だったし、道具を持ってきていなかったので、ほとんど見るだけであったが、S先生は、自らも網を持ち出して、たくさんの昆虫を救った(掬いあげた)。
「来週このプールは6年生が掃除をしてピカピカにします。その前に、どんな生き物がいるのかを調べてみましょう」
S先生は、最初に見つかった水カマキリを、理科室から運んだ大きめの水槽に入れて我々低学年に見せてくれた。
勤務していた学校は都市部ではなく、まぁまぁ自然も残っている学区だったけれど、それでも子供たちはあまり水カマキリを見たことがないから、子供たちは皆、熱心にその生き物を見つめた。
「タガメがいないかなぁ」
とS先生がつぶやくと、その言葉に反応したうちのクラスの男子がちょっと興奮した声で、
「おれ、タガメ見てえ!」
と叫んだ。
タガメを知っている子はそう多くなかったけれど、それでも何人かは知っていた。タガメは、水中では魚を捕まえる位に、凶暴な肉食の大型昆虫であります。
小さめのフナのような魚であれば、タガメは捕まえてしまうのではないか。がしがしと食べるのではなく、チュウチュウと生き血を吸うのであります。
私がそのことを説明すると、クラスの子供たちのボルテージは、おお!と高まるのでした。
結局、タガメは見つからなかったのですが、ガムシやマツモムシなどはたくさんいました。どこからか飛来してくるのか、1番たくさんいたのは、トンボのヤゴです。大きめのヤンマ系列のトンボは、ヤゴの大きさも大きいです。私はぱっと見てわからなかったのですが、小さなホコリのようなものも、S先生が見たらヤゴでした。
あと、たくさんいたのは、おたまじゃくしです。カエルはどこかに潜んでいるのでしょうか、プールがここにあることを、なぜか知っているらしいのです。
そういえば、学校のちょっとした茂みに蛙が見つかることがあり、こんな街の中でも生きているんやなぁと感心していたのですが、考えてみたら、この蛙たちは、学校のプールで、どうやら大きくなっていたようです。税金でカエルを養っておりました。
S先生は、たっぷり、私たちに昆虫を見せてくれたあと、最後には、捕まえた昆虫たちを水槽に入れて、校長室前で数日間観察会を催してくれました。
私はこの時に良い思いをしたので、次の学校に転勤で異動した時、プール清掃前にS先生の真似をして、昆虫を見つけようとしたことがあります。
ところが、何の昆虫も、そこのプールには見つけられません。子供たちと網ですくって色々と探してみたのですが、ヤゴもおたまじゃくしもほとんどおらず、都会すぎるからだろうか、同じ市内でも住宅街が多いからかなぁ、と不思議に思っていました。
結局、それは、冬の間に藻が発生するのを防ぐために薬を入れていたからなのでした。後で、教頭先生に聞いてわかったのです。何でも先に、管理職の先生方に聞いておくのがいいですよね。
今年は私は理科を担当していないので、昆虫のことを忘れておりました。でも、来年はやりたいなぁ。
今の子どもたちの中には、ガムシもゲンゴロウも、マツモムシも、ヤゴも、見たことがない、という子もいます。
その小学校では、プール清掃をする前に、網を持ってきて、プールに生息している様々な水生昆虫を集める学習があった。
おそらくそれは理科の大好きな先生が始められたことで、科学教育研究会(かきょうけん)という組織に所属していたある先生が私にも声をかけてくださったのだ。
校長先生に許可をもらい、クラス全員でプールに赴くと、既にそのS先生のクラスの子たちは、先にプールに到着しており、先生は子供たちに何かを指示しているところだった。
私は低学年の担任だったし、道具を持ってきていなかったので、ほとんど見るだけであったが、S先生は、自らも網を持ち出して、たくさんの昆虫を救った(掬いあげた)。
「来週このプールは6年生が掃除をしてピカピカにします。その前に、どんな生き物がいるのかを調べてみましょう」
S先生は、最初に見つかった水カマキリを、理科室から運んだ大きめの水槽に入れて我々低学年に見せてくれた。
勤務していた学校は都市部ではなく、まぁまぁ自然も残っている学区だったけれど、それでも子供たちはあまり水カマキリを見たことがないから、子供たちは皆、熱心にその生き物を見つめた。
「タガメがいないかなぁ」
とS先生がつぶやくと、その言葉に反応したうちのクラスの男子がちょっと興奮した声で、
「おれ、タガメ見てえ!」
と叫んだ。
タガメを知っている子はそう多くなかったけれど、それでも何人かは知っていた。タガメは、水中では魚を捕まえる位に、凶暴な肉食の大型昆虫であります。
小さめのフナのような魚であれば、タガメは捕まえてしまうのではないか。がしがしと食べるのではなく、チュウチュウと生き血を吸うのであります。
私がそのことを説明すると、クラスの子供たちのボルテージは、おお!と高まるのでした。
結局、タガメは見つからなかったのですが、ガムシやマツモムシなどはたくさんいました。どこからか飛来してくるのか、1番たくさんいたのは、トンボのヤゴです。大きめのヤンマ系列のトンボは、ヤゴの大きさも大きいです。私はぱっと見てわからなかったのですが、小さなホコリのようなものも、S先生が見たらヤゴでした。
あと、たくさんいたのは、おたまじゃくしです。カエルはどこかに潜んでいるのでしょうか、プールがここにあることを、なぜか知っているらしいのです。
そういえば、学校のちょっとした茂みに蛙が見つかることがあり、こんな街の中でも生きているんやなぁと感心していたのですが、考えてみたら、この蛙たちは、学校のプールで、どうやら大きくなっていたようです。税金でカエルを養っておりました。
S先生は、たっぷり、私たちに昆虫を見せてくれたあと、最後には、捕まえた昆虫たちを水槽に入れて、校長室前で数日間観察会を催してくれました。
私はこの時に良い思いをしたので、次の学校に転勤で異動した時、プール清掃前にS先生の真似をして、昆虫を見つけようとしたことがあります。
ところが、何の昆虫も、そこのプールには見つけられません。子供たちと網ですくって色々と探してみたのですが、ヤゴもおたまじゃくしもほとんどおらず、都会すぎるからだろうか、同じ市内でも住宅街が多いからかなぁ、と不思議に思っていました。
結局、それは、冬の間に藻が発生するのを防ぐために薬を入れていたからなのでした。後で、教頭先生に聞いてわかったのです。何でも先に、管理職の先生方に聞いておくのがいいですよね。
今年は私は理科を担当していないので、昆虫のことを忘れておりました。でも、来年はやりたいなぁ。
今の子どもたちの中には、ガムシもゲンゴロウも、マツモムシも、ヤゴも、見たことがない、という子もいます。