朝、教室に行くと子どもが日本が滅亡すると騒いでいた。
最初は冗談かと思っていたが、何人かはかなり本気にしているようで、私に訴えてきた。
私が、

「あ、そうなの!へえ」

という、いつものお決まりの返事しかしないので、その子たちは苛立っているようだった。

「滅亡しちゃうんだよ!なんでそんなに平気なの!」

そのトーンと言い方が、

「もう学校行く時間だよ!なんでそんなにゆっくりしてんの!」

というママの言い方そっくりだなあ、子どもは親をよく見てるなぁ、と思ったので、ソレが表情に出てしまった。

「あー!先生笑ってる!ひどい!」

・・・ということで、私も今回の7月5日大予言騒ぎに、どうやら巻き込まれてしまったらしい。

昭和の時代をくぐり抜けてきた我々50代は、ノストラダムスの大予言やらオウム真理教やら口裂け女等を乗り越えてきている。

大人になって

「ああ、あれは金儲けだったのだな」

とみる視点が加わることで、一気に現実世界が覚めて見えてきてしまった経験を持っている。
不安を煽り→ものを買わせる。
これは、ほとんど商売の基本中の基本で鉄則でありましょう。もちろんやり方の汚なさにはレベルがありますが、ほとんどの広告には、そういった「脅し」が紛れ込んでいる。

ある彗星が地球に近づくと、その彗星によるガスの影響で地球の大気が汚染され、一時的に空気が吸えなくなるらしい。そのためにゴムのチューブを買い求める必要がある。いよいよとなったら、そのゴムのチューブを口に加えて、ゆっくり息をしながら彗星が過ぎ去るのを待つべきだ。

この話は有名です。気になる方は『空気のなくなる日』(岩倉政治・著)を参照してください。1910年にハレー彗星が地球に近づくことがわかり、デマが流れました。当時の騒ぎを実際に映画にしたものもありますね。
私はこの話を教材にして、人はなぜ騙されるのかを学習すべきだと思いますナ。

そして、大体騙すのは、論文で勝負するような本当のアカデミックな人たちではなくて、ちょっと賢いふりをした大人であることも、子どもたちは知るべきです。
ちゃんとした知識は、文字にしてきちんと検証を入れながら読解すべきで、安易な動画で学ぶものではないと言うことも。

大体、騙す人は、身振り手振りを大きくしながら、大声で早口で喋ります。
ヒトラーがそうでした。ヒトラーは、わが闘争を書きましたが、文章にした途端に、論理のほころびがあっという間に見えたので、それこそ信者たちも驚いたと言うエピソードがあります。
知識と言うのは、文字にした途端にはっきりしてくる。騙そう騙そうとする人の、電話口での早口を全て文字起こししてみると、ツッコミどころ満載なのがばれてしまいます。それに気づかれまいと、早口になってしまうのです。

私がそんなことをつらつら考えていると、7月5日に地球が滅亡すると言う噂を唱える子供たちが、二重にも三重にも私を取り囲みました。

多くの小学校の教員が、多分私と同じように、この7月5日のちょっとへんてこな予言をどう解釈するべきか悩んでいたと思います。もちろん3秒でそんなのは虚言だと断じることもできるのですが、私はどうも頼りなくていけません。

私は、
「ねえ!滅亡するよ!先生どうすんの?!」
と口々に言う子どもたちに対して、以下のように返答しました。

「えー、滅亡すんの?やだなあ(棒読み)」
「先生、来週、ひまわりの長さ測るって言ってたでしよ?どのくらい伸びたか気になってたから、あれを調べないで、死ぬのやだなあ(棒読み)」
「そういえば火曜日はプールだったよね、暑い日になりそうだからプール入りたかったんだけど」

そのうちに、子どもたちの質問はやみまして、

「先生、しゅんくんのひまわり、もう先生の背の高さより高くなったよ」
「火曜日のプールって、2組と合同なの?佐久間先生、また平泳ぎで泳ぐ?」

という質問に変わってきたので、ホッとしました。

全国の先生方、あなたはどのように今回の騒ぎに対応しましたか?
コメント欄で教えてね!

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