田舎なので、そこら中にいるんです。
でも、それは日本人がおそらく室町時代から続けてきたことですね。

鉄の鎌、鉄の刃物を、持って歩いている!

草刈りをしてるジイサマとバアサマです。

しかし、通報されることがあります。

仕方ありません。

子どもは身の危険を感じたら、子ども110番の家に駆け込んで、大人に伝えろ、と訓練されていますから。

下校中に、同時多発的に電話が鳴り、
「刃物を持った男が出ました!」
職員室に緊張が走ります。
パトロール優先だ、今の仕事はすべてキャンセルし、職員は直ちにパトロールに出動!

同時にもう一件、

「こんどは刃物を持った女です!」

電話を受けた事務室から、さらなる声。

「今度は女か!」
「2件目です!」

バタッと職員室の扉が開いて、慌てて入ってくる刑事、いや、もとい教師たち。

「どうした!事件か」
「刃物持った男と女です」
「場所は!?」
「下校中の子どもからだそうで、その話を聞いた保護者からの電話です」
「保護者が不安で泣いてるそうです」
「保護者が!」

校長は、完全に石原裕次郎の顔で、

「みんな、行ってくれ!」
「はい!」

・・・これが、春は多いんですよ。
いえ、ほんとに不審者ってこともあるのでねえ。

頼むから、一年生の下校の時間だけは、草刈りをやめてくれ。

その時、3件目の電話が!

「刃物を持った男が、歩いてるそうです!」

歩いてる・・・。いったいどこを!?

「校庭の横の畑だそうです!」

いや、不審者ってこともあるのでねえ。

頼むから、草刈りは午前中にしてくれ。

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