私自身は日本の古来から続く良き伝統を大切にしたいと思っていますし、神社のあの静寂さも大好きです。

さて、日本では正式な伝統として名高い「節分」ですが、豆まきは校長先生にはウケが悪いです。

なぜか。

読者のみなさんは、ピンときたかな?

ハイ、ご名答!

「苦情の電話がくるから」

その通りです。
保護者からの電話が鳴る案件は、校長先生としては、厄介なのですね。

「落ちた豆を子どもが食べたらどうなるんだ!」

確かに、不衛生だし、「食べないで」と指導しても子どもは食べちゃう。
落ちた豆を子どもがもし口にしたら、学校としてはマズい。

これ、実は名案がありまして・・・。

ピーナッツでやるんですよ!

それも、殻付きの・・・。
そしたら、豆まきというか、鬼に向かって殻付きのピーナッツを投げた後、回収して、先生が殻をむいて食べれば良いですからね。

そしたら、子どもが言うそうです。

「ズルい!先生だけ食べるなんて!」

ところがこれも保護者からクレームが来たそうです。どんなかって?

「殻付きとはいえ、子どもに落ちたものを食べさせるなんて、ひどい!」
たしかに。
もしかしたら、偶然にも床のホコリになんか良くないものが絡まっていて、殻付きであってもやばいことがあるのかもしれません。

そこで、もう節分に対する解釈をかなり改良?しまして、鬼に向かって投げたフリをする、ということにしました。
実際には投げません。これでクレーム対応はバッチリです。

なにしろ、文科省からはなんとなく、日本の伝統を重んじ、季節を感じる日本の美意識の涵養につながるような行事をやれ、伝統的文化は日本人の心を養う観点からも推奨することが望ましい的な、言葉にならないくらいの圧迫感が現場に降りてくるんすよ。
いや、実際にはハッキリ文書が出てるわけでは無いですがね・・・

そこで、良き日本の伝統文化を子どもに継承するため、今年も先生たちは鬼の面を被って、殻付きピーナッツを浴びようとする。

ところが、これもクレームがはいるのですよ。こうなったらもう、節分には関わらない方が良さそうです。

ピーナッツ・アレルギーの子がいるかもしれないからです。

保護者が知らない、というアレルギーがある。保護者が、そんなにピーナッツを子どもに食べさせたことがなくて、本当にうちの息子がピーナッツアレルギーだと、知らない場合があるんです。滅多にないでしょうが、それでも、あり得る。書類に「ピーナッツアレルギーはありません」で、マルをつけちゃう。

その子は最初、たらん、と鼻水を出しただけでしたが、徐々に呼吸が荒くなって青ざめてきまして、救急車で運ばれたそうです。私も校長先生から聞いた話ですが。

「昔はこういう行事があったらしい」
と、絵本を読む程度にすれば良いのかも。

ちなみに七夕は、起源が中国ということで?の謎クレームが来たことが。

それにしても、かわいそうなのは現場の先生です。

文科省を含めた世間からは、伝統行事を重んじろ!節分も行事もやれ!と言われ、保護者からは、節分行事やめろ!と、はさみ撃ちに・・・
これを、ダブルバインド、と言います。

ダブルバインドって、人を病ませる、一番やってはいけない「価値観の縛り」らしいですな。うつ病の原因らしいです。

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