時代は変わったなあ,と感じることが増えてきた。
例えば今の子供たちは「まんが日本昔ばなし」を知らない。

テレビで放映されていたこの番組は、我々の世代は毎週土曜日ともなれば楽しみで仕方がなかった。
2人の声優の、何とも芸術的な声。どんな人物もどんな 鬼も妖怪だって演じてしまう。

たぬきがしゃべったら、ハハァこんな声だろうなと思うし、狐が喋ればこんな声なんだろうなと納得してしまう。

その日本昔ばなしを、今の子どもたちは知らない。

ほんの5年ほど前の子供は知っていたんです。あくまでも私自身の体験ですが・・・

だからこの5年間の間に何らかの変化があったに違いない、と思うのですね。
これはおそらく 親の世代の変化だろうと思う。
親が、自分が子供の頃に見たあの日本昔ばなしを子供に見せてやりたいと思うかどうか。

ほんの5年ほど前まではそういう親がまだ世の中にいたのだろうと思うのです。
あとは、年配の保育士さんがそれを見せていたというのもあるかも。

おそらく、この5年間でそういう保育士さんもほぼいなくなってしまったのだろうと推測されますな。(いらっしゃったらごめんなさい)

従って 今の子どもたちに、

〽︎坊や良い子だねんねしない 今も昔も変わりなく 母の恵みの子守歌〜♪

などという 鼻歌を聞かせても何にも反応がない。

なんの歌?ソレ・・・

である。
番組の終わりに流れる

にんげんっていいな

という名曲すらも、同じだ。知らない。知られていない。何ソレ、初めて聞いたんですが、という感じ。

小林亜星さんの偉大さを思うネ・・・

思わず、私は、この木、なんの木、気になる木、などと言い出してしまう。

〽︎このぉ木、なんの木、気になる木ィ〜

廊下を歩きながら、給食の食缶を運びながら、思わずそれを口ずさんだとき、近くにいて一緒に缶を運んでいた子が、

なんで先生って鼻歌を歌うの?
ソレ、なんの歌?

と聞いてくれたので、私は思わず、

「ちょっとした昔を思い出したとき、人は鼻歌を歌うんだよ、この歳になるとね」

と言うと、その優しい子は

「へえ」

と興味も何も無い様子。

「◯◯さんは、鼻歌は歌わない?」

私がちょっと恥ずかしさを隠す気持ちで、そう言うと、

「歌わない」

と、即答。

「お父さんやお母さんは歌わない?」

「お母さんは、たまに歌うかな」

「なんていう曲?」

「うーん分かんない。昔の曲ダネ」

「あぁなるほど。きっとお母さんは昔のことを思い出してるのかもよ」

という会話をしました。

思い出している暇もなく、現在を生きている子供たちにとって、昔のことを、あれこれと懐かしむのは、老人のやることのようですナ。
しかし、昔の話を、同世代と、あれこれとめちゃくちゃしゃべるほど、楽しい事は無いですナ。

私は、小林亜星の話だけで、秘密のアッコちゃんとか、寺内貫太郎一家とか、ネスカフェゴールドブレンドのCMの話とか、まんが日本昔ばなしのオープニングに出てくる長い胴体の辰のことだとか、何時間でも喋れますね。それだけでごはん三杯はイケますな。
FullSizeRender