けてぶれのまちがいの5分類はこうである。
1)問題の意味がわからなかった
2)ちゃんと読んでいなかった
3)解き方がわからなかった
4)わかっていたのにまちがえた
5)時間が足りなかった

これに、同僚のS先生は、

6)手順を守らなかった

を入れたらどうか、というのだ。
小学校の算数では割り算のひっ算など、特有のアルゴリズムで解いていくものがある。
これは、油断して手順をまちがえることさえなければ、正解できる。
小数点をうごかす問題もそうだし、分数の足し算引き算、約分通分など、小学校の算数はアルゴリズムでといていくものが多い。
そう考えると、小学校の算数では、たしかに手順さえふめば正解するものばかりだ。

「そうだね。小学校算数に限って言えば、その項目も追加すると、子どもたちが自己分析するのに役立つかも」
「そうだね、自分は手順がまちがっていたんだ、と気づく子も多いと思うよ」


そういった話をしていたら、「まちがいの原因はなにかって?」と教頭先生が口をはさんで

7)問題がまちがっていた

というのもあると。

それはたしかにそうだが、ちがう。
問題がまちがっているというのは、解く側(児童)にとっての「まちがいの原因」ではない。
前提条件がくつがえされてしまうのは、意味がない。
子どもが自己分析するのには、役に立たない。

教頭先生は話を盛り上げるために言ってくれていたわけで、
「まあそれは前提がちがうからなあ。はっはっは」
で終わりになったからまあいい。
教頭はそのままその足で、会議室に入っていった。

話が終わるかと思ったらそうではなかった。
教頭先生の話が燃料を投下した形になり、さらに火がついた。

小学校算数での「あるある」は、問題が読めなかった、というのも多い。
それを数えたらどうか、ということになった。

8)問題が読めなかった

問題の意味がわからなかった、ということに含まれるのだが、「読めなかった」もあるのである。漢字が読めない、文章が読めない、文脈が読めない。なるほど、小学校では、あるある、だ。

さらにいうと、小学校に限ってかもしれないが、

9)おしっこに行きたくなった
10)消しゴムを忘れたことを言い出せずにゆびにつばをつけてこすったらテスト用紙がちぎれた


というものある。
これは、そもそも間違い、という分類でなく、テストを受けることから逸脱し始めた、ということになろうか。

こう考えると、テストが正常?に行われ、きちんと提出された、というのは奇跡が起きたといっても過言ではない。1枚もテスト用紙がちぎれず、1人もテスト用紙をこなごなにせず、1人もトイレにひきこもって出てこなかった、という棄権者もいなかったのだ。

これはもう奇跡と呼んでもさしつかえない。

kiseki