十数人の小学生が、手に手に補虫網を持ち、一匹の蝶めがけて
うりゃあぁーーー!!!
と、補虫網を振りかざす。
蝶は、その十数本の網をかいくぐりながら、ヒラヒラと逃げていきます。
「あっちだぁーッ!」
だれがが叫ぶと、その声に反応して、ハッと我に返った仲間たち。
ダーーーーッ、と駆けていきます。
それが二度、三度と繰り返されます。
ついに少年の一人が、補虫網で、高い壁際まで追い込みました。
頭上の窓ガラスに、垂直に張り付いた、青い蝶の羽の色!!
仲間から漏れる歓声と吐息。
そして、思わず起きる、拍手の音!
十数人の狩人たちが、お互いの健闘をたたえ合ってもらす笑顔。
「やったよー」
「つかまえた!」
網の向こうのガラス窓に、蝶はとまって動いていません。
補虫網をふるえる腕でおさえていた子の、腕の力が、だんだんと抜けていきます。
ここまで補虫網を振りまわしていた、その筋肉の疲れが、乳酸の溜り具合が、もう限界なのです。
つい、うっかりと、補虫網を浮かしてしまいます。
その途端。
「わあああーーーー」
またもや、蝶は元気よく、宙を舞うのです。
「逃げたーあああああ!!」
向こうの校舎で、別のクラブをしている女の先生が、怪訝そうにこちらを見ています。
あのクラブは、何のクラブだっけ?・・・あぁ、昆虫のクラブか・・・
女の先生は、カーテンをシャッと閉めて、関わらないでおこう、という態度。
こちらは、大事件の最中ですから、またもや、蝶を追いかけまわします。
「うぉおおおおお!!」
小学校の校舎の間に、野生の魂が、真っ赤に燃え上がりながら、こだましていきます。
調和と統率と集団ルールで守られた、白いコンクリートの校舎の間を、
赤い炎を目の奥に宿した少年たちが、人類の祖先から綿々と受け継いできた野生の血と勘をたぎらせながら、猛烈な勢いで走り抜けていく様を、どうか、じっくりとご想像下さい。
「ああああっ!!!」
ひらひらと、蝶はその美しい斑紋をひるがえして見せながら、2階建て校舎の上の方まで、行ってしまいます。
だれも打合せも無いのに、いっせいに漏れ出る悲鳴。
「だめだーーーー」
あーあ。
うなだれる少年たち。
しかし、2分後、またもその蝶が現れるのです。
そして、この文の最初の光景が、何度も繰り返されるのです。
つかまえた蝶を、展翅し、乾燥させ、標本箱におさめて、秋の「クラブ発表会」で展示します。
そこまでが、むしクラブの活動です。
虫さえいれば、このクラブは成り立ちます。
日本中の、どこの小学校でも、大丈夫。
顧問も、どなたでも、できます。
とくに難しい指導も、要りません。
20分でも、40分でも、たとえ5分でも、虫さがしはできます。
すばらしいクラブです。
全国の小学校の先生方に、「むしクラブ」を、ぜひお勧めします。
うりゃあぁーーー!!!
と、補虫網を振りかざす。
蝶は、その十数本の網をかいくぐりながら、ヒラヒラと逃げていきます。
「あっちだぁーッ!」
だれがが叫ぶと、その声に反応して、ハッと我に返った仲間たち。
ダーーーーッ、と駆けていきます。
それが二度、三度と繰り返されます。
ついに少年の一人が、補虫網で、高い壁際まで追い込みました。
頭上の窓ガラスに、垂直に張り付いた、青い蝶の羽の色!!
仲間から漏れる歓声と吐息。
そして、思わず起きる、拍手の音!
十数人の狩人たちが、お互いの健闘をたたえ合ってもらす笑顔。
「やったよー」
「つかまえた!」
網の向こうのガラス窓に、蝶はとまって動いていません。
補虫網をふるえる腕でおさえていた子の、腕の力が、だんだんと抜けていきます。
ここまで補虫網を振りまわしていた、その筋肉の疲れが、乳酸の溜り具合が、もう限界なのです。
つい、うっかりと、補虫網を浮かしてしまいます。
その途端。
「わあああーーーー」
またもや、蝶は元気よく、宙を舞うのです。
「逃げたーあああああ!!」
向こうの校舎で、別のクラブをしている女の先生が、怪訝そうにこちらを見ています。
あのクラブは、何のクラブだっけ?・・・あぁ、昆虫のクラブか・・・
女の先生は、カーテンをシャッと閉めて、関わらないでおこう、という態度。
こちらは、大事件の最中ですから、またもや、蝶を追いかけまわします。
「うぉおおおおお!!」
小学校の校舎の間に、野生の魂が、真っ赤に燃え上がりながら、こだましていきます。
調和と統率と集団ルールで守られた、白いコンクリートの校舎の間を、
赤い炎を目の奥に宿した少年たちが、人類の祖先から綿々と受け継いできた野生の血と勘をたぎらせながら、猛烈な勢いで走り抜けていく様を、どうか、じっくりとご想像下さい。
「ああああっ!!!」
ひらひらと、蝶はその美しい斑紋をひるがえして見せながら、2階建て校舎の上の方まで、行ってしまいます。
だれも打合せも無いのに、いっせいに漏れ出る悲鳴。
「だめだーーーー」
あーあ。
うなだれる少年たち。
しかし、2分後、またもその蝶が現れるのです。
そして、この文の最初の光景が、何度も繰り返されるのです。
つかまえた蝶を、展翅し、乾燥させ、標本箱におさめて、秋の「クラブ発表会」で展示します。
そこまでが、むしクラブの活動です。
虫さえいれば、このクラブは成り立ちます。
日本中の、どこの小学校でも、大丈夫。
顧問も、どなたでも、できます。
とくに難しい指導も、要りません。
20分でも、40分でも、たとえ5分でも、虫さがしはできます。
すばらしいクラブです。
全国の小学校の先生方に、「むしクラブ」を、ぜひお勧めします。