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ずっと講師を続けていた知り合いの若い先生が、転職することに。
しばらく会っていないから、まだ今年も採用試験を受けるのだとばかり思っていた。
昨年秋、試験に落ちたことをメールで教えてもらい、

「また来年、がんばります」

と言っていたから、がんばれ!ぜったい受かる!と
励ましていた。


この間(かん)、どんなことを思っていらっしゃったのか。
昔、共に教育現場で汗を流した者どうしだ。なんだか寂しさがつのる。

WEBのデザインや広告の仕事に、「つて」があるらしい。
自宅で半分仕事ができ、会社には週に2日通えば、だいじょうぶだと。
貯金で、自宅用の高速PCを買うのだ、とメールで教えてくれた。
「最新のフルスペックを購入します。貯金がなくなりました(笑)」
と、明るい調子のメールが届いた。


まだ20代、若い彼の意思は尊重せねばならない。
新しい前途を祝していかねばならない。
そう思うも、なにか心にひっかかるものがあった。



教員は、ブラックだ、という指摘が、世間にはある。
たしかに過労死する教頭のニュース、失敗を責められ世間の矢面に立つ校長の映像、
保護者対応に苦慮する教員、エアコン・クーラーのない教室、
「学校は変だ」「先生は、ズレている」「教育委員会はおかしい」
すべて、教員のたたかれぶりを見ていたら「こんな職業はあかん」と思って
志望率も下がるのは分かる。

実際そろそろ、大都市では3倍を切るほどまで、倍率は下がった。

逆に言うと、

なろうとするには魅力がなく、なりてのいない職業

だ、ということ。



若くて、希望や、願いや、たくましい夢をもって、
現場に来る人がいなくなるようで、さびしい。

教育現場は、ますます光のあたらない、暗いイメージの、職場として
語られるようになっていくのだろうか。
若い世代はもちろん、世間一般にも、
『教員の職場』が、あまりにも暗く語られていないだろうか。

ところが、世間でそう言っていても、教室は明るく、笑いに満ちている。
やさしさと楽しさ、学ぶ面白さで、わくわくしている。

このギャップを感じている身として、どうにもなにか一言、いいたくなる。

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