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新美南吉の『あめ玉』を読む。

まずは音読。
 お母さんはおどろきました。いねむりをじゃまされたので、このおさむらいはおこっているのにちがいない、と思いました。
「おとなしくしておいで。」
と、お母さんは子どもたちをなだめました。

全員で呼んでいる時、工夫している子を見つけて

「あ、工夫している子がいる」
と読ませる。
「おとなしくしておいで。」

全員が、お母さんの声になって、さむらいを起こさないような声に変わる。

「いいですねえ!お母さんの雰囲気が出てきました!」と全員をほめる。

つぎ、さむらいの飴玉を出せ、のあと。

お母さんがおそるおそる、飴玉を出す場面を、だれかに実演してもらう。
うまい子にやってもらった後、みんなでやってみる。
恐る恐る、飴玉を出す感じをみんなで味わう。
その後、

 するとさむらいが、すらりと刀をぬいて、お母さんと子どもたちのまえにやってきました。
 お母さんはまっさおになって、子どもたちをかばいました。

のところを、何度か繰り返し、読む。
できるだけ、雰囲気を味わいながら、声の変化を出している子を褒めながら。

そして、

「ちょっと、先生はこのあたりが、納得できないんだけど、どこだか分かりますか?」

と軽く聞いてみる。

これが、ボクシングで言うところの、ジャブ、である。

この後、主となる発問をしたいのだけど、その発問を考える必然性をつくりたいので、ジャブをかましておくわけだ。

すると、子どもから、刀を抜くのが早すぎるわ、と意見が出てくる。

ちっちゃい子が目の前にいるんだから、刀なんて抜いたら怖いだろう。
だから、飴玉をお母さんに声をかけてまず受け取り、子どものいる場所から離れた反対側のへりに持って行って、それから刀を抜けばいいのに、と。
大人なんだから、周囲の安全確認をしろ、というわけだ。

「このおさむらいは、アホです。ちっちゃい子のことをもっと考えなきゃ」

お母さんだって、すっごく怖がっている。そのくらい分かるだろうに・・・。


そこまで引き出しておいてから、ようやく、じゃあ、みんなでこれを考えるか?といって、
主発問:『このおさむらいは、やさしいといえるだろうか』
するとやはり、やさしいはず、という意見の子が多くて、30人いる。
そんなにやさしくない、という意見の子が5人だ。

さて、いよいよここから、討論になる。

あめ玉