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今年は大切な人が亡くなった年だった。
児童精神科医の佐々木正美先生は、今年の6月に亡くなられた。

わたしは幸運なことに何度も佐々木先生のお話を直接伺うことができた。
中心子どもの家が主催する講演会、勉強会に何度も参加し、お話を聞いた。

先生はいつも、訥々と、しかし言葉を選んでていねいに、情熱を秘めたお話をされた。
だれもが思わず居ずまいを正したくなる、そんな雰囲気の勉強会であった。


その日、わたしは、朝からワクワクしていた。
近くのホールに佐々木さんがくる、というので、勤務を終えてすっとんでいった。

ほかにも、息をきらせながらかけつける、私と同じような人が何人もいた。
おそらく、どこかの教員だろう。
みんな、学びたがっているのだ。


講演は見事だった。
一言も、むだな言葉のない講演会。
「えー」も、「それはさておき」も、入る隙がない。
せきばらい一つない。
全部、まるで、著書をその場で一つ完成できるのでは、というくらい、緻密で、内容のある、中身のつまった講演だった。
それだけで、本当に満足した。

佐々木さんは、子どもの声を聴いているのだ。
子どもが、叫んでいる声が聞こえるのだろう。
そして、それに応えるために、全身、傾倒している。
だから、無駄な言葉が、削られているのだろう、と思った。



子どもを救え。

(以下、メモ)

発達障害の子が大好きだ。正直だ。うそがつけない。
思い、イメージで生きていない。事実で生きている。だから、非常に鋭敏で、そのまんまで、率直に生きている。
率直に生きるのが難しいのが、今の社会だ。

発達障害の人を不幸な状態に追い込んでしまうのは、周囲の人々の無理解。たとえ善意であっても、無理解は誤解と同じことで、ひどい苦痛を強いることになってしまう。

周囲の多くが、発達障害に理解をする必要がある。
環境が整えば、力を、持ち味を、大いに発揮できる人が本当にたくさんいる。

「無理解な保護者、教師、その他の職業者、クラスメイトや一般市民に、彼らはどれほど脅かされ傷つけられてきたことか」

大好きで、安心のできる人、お母さんと、いっしょに話しをしている。そのことで、子どもの前頭前野はすばらしい働きをする。
脳を高度に活性化させることができるのは、その人が、心を許し、安心し、なにかを託すことのできる人と、共に、コミュニケーションをとる姿の時。それなのだ。
前頭前野の発達が、感情や感覚、配慮、思慮、に影響を及ぼすことは大いに考えられる。

やれることは、当たり前のこと、ということ。

何よりも、不安の無いこと。
安心できること。
子どもだけではない。大人も同じ。
発達障害の濃い薄いではない、あるない、ではない。
どの人も心から、周囲の人間社会に対して、安心していること。
今の自分をとりまく人間関係に、信頼をおいていること。
不安のないことが、もっとも大事なこと。
それが、一人ひとりの力をいちばん発揮させる。
心が通えば、表情が明るくなり、健康になり、意見が出て、人が能力を出し始める。
カンタンなコト。

どうか、発達障害を自分のこととしてみてください。
考えてください。そして、理解を深めてください。
理解があれば、本当に救われる子がたくさんいる。
理解があれば、関わる人全員が、大人も子どもも救われる。
その場から不安が消えていくことで、みんなが力を発揮しはじめる。

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佐々木先生の本だけは、何度断捨離(だんしゃり)しても、処分してないなあ。
ありがとうございます。
合掌

佐々木正美先生