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父が死んだあと、喫茶店を閉めておりました。

ところが、母が突然、

「また、やろうと思って」

と、復活宣言。

店を改修し、老婆が一人で、喫茶店を再開することになりました。

「お客さんが来てくれるうちは、ねえ」

わたしは、もうこんだけ働いたんだから、ゆっくり過ごすのかと思ってたので驚きました。

「一人じゃ、大変じゃない?・・・本当にやるの?」

「あい」



ギャラリーも、復活するそうです。

絵画に限らず、洋裁、裁縫、布製品、革製品、陶芸、書、

世の中には、自分の作品を世に問う、という姿勢の作家さんがたくさんいるので、

こんな田舎の小さなギャラリーでも、けっこう希望される方がいるようです。


「作家さんたちと、作品を受け取ったり展示したり、大変だよ?

お父さんがいないんだから、もうギャラリーは無理じゃないの?」

「いいじゃない。こんなおばあさんだもの。だれも期待しないよ。作家さんが自分でちゃんと飾るよ」

「そう・・・?」





作家さんたちは、自分の作品をつくるのはプロ。

しかし、ごくたまに、作品を展示する仕方や、照明の当て方など、

けっこう悩む方もいる。

そこにアドバイスをして、父が場所や照明を工夫すると、

「この方がいい!」

と喜んでくださる。

「だいじょうぶ。作家さんたちに、好きなようにやってもらえばいいんだから・・・」



まあ、人生は一度きり。

母には、母の人生があります。

よくよく考えた末の結論、ということでしたから、

また再び、お店を楽しんでほしいと思います。

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