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夏休みが近くなってくると、

「先生、自由研究なにしようかなあ」

という相談が増えます。

わたしがいつも言うのは、

「図書館に、ボーッとしながらいたらいいよ」

です。



図書館で、なにも決めずに、ボーッとしながら突っ立っていると、

どこからともなく、本が呼んでくれます。
「おーい、おれを読みなよ」
「いやいや、わたしを読んで」
「こっちがおもしろいぞ」
「わたしはすてきな本よ」

呼んでくれた本の背表紙を、ともかくじっくり見てみます。
すると、なんだかそいつとじっくりとつきあってみたくなる。

なにしろ、自分で選んだのではないのですから。
本が、自分を呼んでたわけで。



そういうと、子どもは馬鹿にして、

「本がしゃべるわけがないがー」

と、ぷんぷんしながら、行ってしまいます。

わたしは追い払うことに成功し、ホッと胸をなでおろしながら、
あわてて次の時間の授業の、ちょっとした準備をします。



すると、しばらくしてその子がやってきて、

「この本借りた~」

と報告してくれます。

どうしたのか、ときくと、自分で図書館に行き、
本が呼んでくれるのを待っていたらしい。

わたしは驚いて
「本が呼ぶわけないでしょう」
と思わず口にしてしまいましたが・・・


子どもの方は、


「なんとなく、シャボン玉で実験したくなった」

とか、

「葉っぱの色をしらべることにした」

とか、

「おじいちゃんの家が四国だから、うずまきの実験することにした」

とか、

あれこれと思いつくらしい。


結論。


図書館は、ひらめきの冷凍庫。
解凍しようと思えば、なにか出てくる。



scince_kenbikyou