廊下を走らない、ということになっている。

そもそもは走るのが大好きで、走るスイッチがデフォルトでONになっているとしか思えない子どもですが、学校ではそのスイッチを、がんばってOFFにしておかなければならない。

それは、学校という装置がそういうふうに設定してあるからで、

「他の人の迷惑になることはしない」


ということから、廊下は、走ってはいけない。


ところが、子どもは、難しいのであります。

つまり、放っておくと、鬼ごっこを始めるのだ。

これは、どの学校でも、どの国でも同じようであります。

鬼ごっこは、どうやら、打ち合わせたわけでもないし、決まりを定めて国際条約にしたわけでもないのに、驚いたことに、世界中で行われている。法律で定めたわけでもないのに。

つまり、人間の歴史のいつからか分からないほど古代の昔から、鬼ごっこは、世界中の人間が、子どものときに

経験する

ことなのであります。

別にやらなくてもいいのに、やるのであります。

ということは、


「子どもは、鬼ごっこをやる生き物だ」


という定義も成り立つわけで、たいていの鬼ごっこは、走って行うことと相場が決まっている。

つまり、学校の長い素敵な廊下を、ぐいーん、と飛行機のように羽を伸ばして、すっとんで走っていくことは、もう、これは子どもの、

持って生まれた、当たり前の行為

なのでありましょう。

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