モンシロチョウの観察が、3年生の課題であります。
近所のアブラナ畑に、蝶がひらひらと舞っておりましたので、みていますと、たまごを生んでおります。

これをば、教室に持ち込みます。

3年生の担任は、なんだか知らないが昆虫をせっせと集めるのが1学期の大きな仕事となっています。(蝶の次はダンゴムシ予定。)
2年の先生は、うさぎを毎日つかまえるのが仕事。(うさぎ小屋から、教室へ毎日運んでいます)
1年生の先生は、とびだす1年生をさがすのが仕事。

もっぱら、低学年の先生はなにかをつかまえたり、とらまえたり、しないといけないのでしょう。

さて、たまごのついた葉を、どうするか。
土を入れた水槽にでも入れておきましょう。ついでに採集してきたアブラナを入れておきます。
勝手に幼虫が育ちだすのを待つ、という作戦です。

透明なケースに入れて置く、という作戦もあります。
最初のころは、これで十分でしょう。
これは子どもたちが幼虫を見つけやすい、という利点もあります。

ところが、一方で欠点もある。
きれいに保つのがめんどうくさいのです。
すぐに糞だらけになってしまう。
そこで、折を見て、先の「土を入れた水槽」へ引越します。
これだと、糞のそうじなど、必要ありません。

飼育係や班の当番を作って、透明ケースの糞掃除を仕事にしたときもありましたが、だいたい責任感などまだ育っていない子に周囲の子がしょっちゅう注意をし、注意された子は本当に毎日、仕事を忘れてしまう自分に嫌気がさし、自分を責めるだけ、というよくない事象が生じます。(責めても改善しないのが、低学年の常であります)

↑こうした場合、

「でも、仕事を忘れちゃいけない、という意識がだんだんに育っていって、仕事をできるようになるんだから、こういうトレーニングの機会を保証するのが教室の責務なのでは??」

ということをおっしゃるベテランの先生もいます。

ところが、これをするには、細心の注意が必要で、周囲のともだちにその子を責めない安心感があるかどうか。注意されて、「やろう」と思う子かどうか。その子に、「きゃべつの葉のとりかえをすることが、青虫を生かし、クラスの仕事分担を遂行する上で大切なこと」という自覚があるかどうか。責められた、と感じることで、クラスの雰囲気が悪くなるようなことは無いか。
このあたりを十分に検討したうえで、キャベツ当番を決めるのが良いでしょう。

わたしはそんなものは決めません。
クラスに、仕事の自覚が薄いのに加えて、「責められるのに弱い」子がいるからです。
また、他の子を責めることによって、うっぷんを晴らすことを覚えてしまいそうな子がいるからです。
お気づきでしょうが、「責められるのに弱い」子は、発達障害を抱える子です。
さらに、他を責めることに自分の精神のよりどころ、安定を求めたい、という気分の子は、グレーゾーンの子です。

なので、当番と言う高度なシステムはとりません。
これでやらなくても、給食当番や掃除当番、その他のことでもうおなかが十分すぎるほどにいっぱいなのですから、ここで負の側面ばかりが見えてくる「キャベツ当番」はとらないわけです。
ただし、クラスの事情によっては、当番制にして子どもたちを鍛える、ということも「あり」だと思います。

さて、卵から出てくるシーンは教室の大きなプラズマディスプレイにHDDビデオ撮影しながらリアルタイムに映しだして、みんなで見ました。

さらに、羽化するシーンも同様にしてみました。
給食当番の仕事中に、

「あ、ああ!!!さなぎが動いた!!!」

という大きな声で子どもが叫び、そのとたん、ディスプレイの前は人だかりとなりました。
そして、みるみるうちに、1分もしないうちに?するすると出てしまい、羽をかわかしはじめました。

いただきます、をして、みんなシーンとしてもくもくと食べながら、ずっと画面を見つめていました。
掃除がはじまっても、みんな、なんとなく、教室から出ていきません。
気になって仕方がない様子。

その後、5時間目がはじまってしばらくすると、羽が乾いたらしく、とびたちました。
教室のみんなの頭上を、ひらひらと舞って、明るい窓の方向へ。

「あー、きちんと明るい方が分かるんだ」
「窓に向かっていった~!!」

あいていた窓から、ひらひら、と外へ飛んでいったのを、ベランダに出て、見送りました。

だれからともなく、

「さよーならー」

5時間目の途中、とつぜん、3年生の教室から大合唱の

「さよーならーー」

が聞こえて、びっくりした、と階下の2年生の先生がおっしゃっておりました。

いやあ、ドラマでしたなあ・・・。