だれとでも

長谷川あおい


3年生になり、クラスがえがありました。
わたしは、ひかりちゃんと、また同じクラスになれたので、うれしくてたまりませんでした。ひかりちゃんとは、それまで保育園のころからずっといっしょだったのです。同じクラスだとわかったときは、ふたりで大よろこびをしました。

1学期がはじまって、すこしたったころのことです。
あたらしい友だちもできました。ゆみちゃんです。
ひかりちゃんとゆみちゃんは同じはんです。さいきん、ひかりちゃんがゆみちゃんとよくしゃべっているので、わたしもしぜんと話をするようになりました。

ある日、わたしが、休み時間にひかりちゃんとあそぼうと思っていたら、ひかりちゃんは、ゆみちゃんと話をしていました。
ひかりちゃんは、とてもたのしそうにわらっています。
ゆみちゃんも、いっしょになってわらっているし、たくさんしゃべっていて、二人はとてもたのしそうでした。

わたしはそのようすをみて、なんとなくすぐにトイレに行ってしまいました。
トイレからもどってくると、まだひかりちゃんとゆみちゃんはしゃべっています。

けっきょく、その休み時間は、わたしはほかのことをしてすごしました。

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○このときの、あおいちゃんのきもちって?
○おなじようなけいけん、ある人?



つぎの休み時間がきました。
ひかりちゃんが、わたしのところにあそびにさそいにきてくれました。
「あおいちゃん!」
ひかりちゃんが、にこにこして言いました。
「ね、ドッジボールやろうよ」
わたしは、ひかりちゃんがこうやってあそびにさそってくれるところがすきなのですが、ドッジボール、ときいて、ちょっと考えてしまいました。本当は、ひかりちゃんと二人きりであそびたい気分だったのです。

「だれと?」
ときくと、
「ゆみちゃんもいっしょだよ」
とひかりちゃんが言いました。

ボールをもっている男の子が、
「はやくいこう!」
と言うと、ひかりちゃんとゆみちゃんは、
「いまいく!」
と言ってから、
「あおいちゃん、先に行くよ!おいでね」
と走って行ってしまいました。

ゆみちゃんが、ひかりちゃんといっしょに走っていきます。
その姿を見ながら、本当はわたしがひかりちゃんとあそぶんだったのに、と思いました。

「2年生のときだったら、こうじゃなかったのに・・・」

ひかりちゃんのすぐそばにいて、いっしょに走っていくのは、ゆみちゃんではなくて、このわたしだったのにな・・・。そう考えると、なんだかすぐには外へ出て行く気持ちになれませんでした。


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○このときの、あおいちゃんのきもちって?
○おなじようなけいけん、ある人?
○このあと、どうなったと思う?予想しよう。




でも、今日は前の休み時間にもあそばなかったのだし、と思いなおして、外へ出ました。ほかにもいっしょにドッジボールをやる子たちがいて、しぶしぶとわたしはみんなのあとについていきました。

地めんにコートをかいて、ドッジボールがはじまりました。わたしはあまり元気がなくて、すぐに当たってしまいました。
すると、ボールをなげた男の子が、

「あっ、いたくなかった?」

と言ってくれたので、わたしは

「ううん、だいじょうぶ」

と言いました。

それを見て、ひかりちゃんが、

「男の子は、左手でなげてよね」

と言って、わたしの方を見て、にっこりとしてくれました。

また、ゆみちゃんも、

「まだはじまったばかりだから!あおいちゃん、パス、おくるね」

と言ってくれたのです。

わたしはすこし、元気が出て、ボールがとんでくると、その近くまで走ってとろうとやってみました。男の子たちが、がんばってボールをとっているとので、なかなかとるチャンスがありません。でも、何回かに一回、ボールをなげることができました。

わたしはひかりちゃんになげたかったのですが、とどきません。それで、近くにいた、同じチームの男の子になげてボールをパスしました。すると、その子が、すぐにあい手をひとり当てました。
それを見ていた、同じチームのさやかちゃんが、

「あおいちゃん、ナイスパス!」

と言ってくれました。
さやかちゃんのとなりにいたけんじくんも、
「おお、ナイスパス!」
と言ってくれました。

そのあと、またなんどかボールがきて、思い切りなげると、同じチームのコートに、とどく回数がふえました。
わたしは思い切りやれて、なんだか、ドッジボールが楽しくなってきました。

チャイムがなって、休み時間は終わりです。
すると、さやかちゃんやけんじくんが、近くにきてあるきながら、

「けっこう、おもしろかったね」

と話しかけてくれました。

「あおいちゃん、よくパスできるよね。わたしなんかこわくて、にげてばかりだけど!」

さやかちゃんがわらって言うと、

「そうだ。またおいでよ。ドッジ。あしたもやろう」

けんじくんたち、男の子たちも、みんなくつをはきかえながら、そう言うのでした。
それまで話をしたことのない子で、
「あおいちゃん、けっこうとおくまでなげるね」
と話しかけてきてくれた子もいました。

ろうかには、春のあたたかい風がふいています。もうすぐ、じゅぎょうがはじまりそうです。


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○このときの、あおいちゃんのきもちって?
○なぜ、あおいちゃんのきもちがかわった?
○あおいちゃんは、なぜたのしくなってきた?
○ある人とだけなかよし、について、どう思う?




○感想。


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文章が、ちょっと長いから、どう削るかを思案中。