昔から、「かかし」とよばれる遊びがあったことをご存じだろうか。
いわゆる、ケンケン、パー、の遊びである。
土の地面に、棒きれかなにかで線を書く。
石を一つひろえば、もう遊びをはじめることができる。
利点はたくさんある。
せまい場所でもあそべる。
一人でもあそべる。
大勢でもあそべる。
チームに分かれて遊ぶこともできるし、個人多数の入り乱れた闘いも可能。
ルールを自在に変えることもできる。
道具の選び方が、勝率に関わるので、こだわる勝ち方ができる。
身体が小さくても、背が低くても、逆に高くても、大柄でも、なんでも勝てる。
いちばんの利点は、時間がかかる、ということだろう。
逆に言えば、ひまがつぶせる。
この「かかし」が、ビジョントレーニングになる、と聞いた。
お話してくださったのは、情緒障害学級の担任をされている先生。
「石を投げるでしょう。それを、眼で追わなければいけない。それがいいトレーニングになる。自分の投げた石もそうだけど、友達の投げた石も、どこに落ちたのか、正確に落ちたのか、ずっと目で追っている。これはいいトレーニング」
だそうだ。
また、
「片足でバランスをとる場面が多いでしょう。また、片足のまま、止まったり、けんけんしたり、急に両足にしたり、いろいろな身体の使い方をする。これが苦手な子が多いからね。見ているだけで、その子の特長がわかる。」
なるほど。
それで、本校の情緒障害学級の教室には、教室の後ろに、かかしが描いてあるのか。
教室の後ろの方に、ビニールテープで表示してある。床の上だ。
みると、「かかし」。
子どもが、牛乳のキャップを、かかしの升目に投げ入れている。
すごいねえ。
昔の子どもたちは、「かかし」でビジョントレーニングしていたってわけか。
自分の身体の認識力を高めるのに、かかしの遊びの中で、自分の石を片足でバランスをとりながら拾う場面なんて、とてもいい。
また、視線を運ぶトレーニングも、かかしはすごい。だって、線をふまないように、という単純な制約が、視線を強力に鍛えることになるんだもの。
まさに、「空間世界の中で知的に効率よく立ちまわれるようになる」のが、「かかし」遊びだ。
これは大発見だと思うのだが、どうであろうか。
おそらく、このことに関して、研究論文もほとんどないだろうが、これからどなたか、書くに違いない。研究者の方が、「かかし」と発達障害に関する論文、を書くことがあるのではないかと思う。
「発達障害」「昔遊び(かかしを中心にして)」「ビジョントレーニング」の3題噺を、論文で書いてほしいものだ。
そのうちに、このことの効果がクチコミで広まって、保育園や1年生、2年生の低学年は、「生活科」の中で、「かかし」を学んで覚えるようになるのではないだろうか。
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