教師は夏休みほど忙しい、という記事を書いたばかりだが、やはり夏休みだからこそ、できることがある。

ずっと気にかけていた、NHKの連続テレビドラマ、「ゲゲゲの女房」を一気に見た。
2カ月分ほど、溜めてあった。
テレビと接続したハードディスクに録画してあったデータを、一度に見よう!というもの。

子どもを早く寝かせて、二晩(ふたばん)かけて・・・。


いやあ、おもしろい。

ちょっと向井理さんが若すぎるイメージがあったが、それも次第に慣れた。

水木さんの人生ドラマは何冊も著書を見たから、ほとんど筋書きが分かる。
ちょうど今は、鬼太郎がブームになり始めたころ。「ガロ」の周辺や、家族のお見合い話、当時の池上遼一氏をはじめとするアシスタントの話が話題になっている。

これが、奥様の視点から観察されたようにして、ドラマが展開されていく。
もちっと、奥さんの独り言や、感想や、他の人とのかけあい、話、おしゃべり、などが前面に出てくると、「ゲゲゲの女房」という題名にふさわしいタッチになっていくと思うがなあ。

水木しげるの半生記をたくさん読んだ人にとっては、ただただ、水木茂の周辺を撮影していくばかりでは、なんだか、「それだけか」という気がして惜しいです。(NHKさん、お願いします)


水木しげるの人気がなぜこんなにあるのか?と嫁さんに話すと、

「そういう前提で話を始めよう、というところからして、なんだかうさんくさい」
と言われた。

つまり、ちっとも売れていない頃から、石鹸でもシャンプーでも美容液でも、

「なぜこの○○○せっけんは、こんなにも売れているのか?!」

という主題と前提でもってPR、CM、広報、世間に対するアッピールを行うことが、広告業界のひとつの定石的な作戦であることから、

わたしが

「なんでこうも、水木しげるが・・・」

と話をはじめたのが気にくわないらしい。

そういう話をしながら、ふと足元の新聞に目をやると、

「なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?」という本の広告が目にとまり、思わず女房と大笑いをしました。


教員も、同じようなテクニックを使って、授業をします。
たとえば、まだ何も説明をほとんどしていないのに、

「なぜ、ここの足し算を先にしてはいけないのですか?」
などと聞いたりする。

なかには、え?先生、何言ってんの?足し算やればいいじゃん・・・という顔をしている子もいるが、カシコい何人かが、いつもよりも勢いよく手を挙げて、

「となりのかけ算から、先にやるからです!」
だとか、
「足し算と引き算よりも、かけ算と割り算を先にするからです!」
なんて、言ってくれる。

「なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?」と、同じようなことを、教師もやっている、というわけで、人の意識をコントロールする技術は、広告業界も教員も、劇団員も俳優も、みんな同じような共通項を持っているのだと振り返ったのでした。