「トイ・ストーリー3」がとてもいい、と同僚の先生から教えてもらい、子どもと土日に見に行くことにした。
ところが、映画館でチケットを買う寸前に、

3D

という文字が見えた。

これはまずい。

以前、なにか他の映画で 3D を経験したが、めがねが面倒くさい。
うちの子は入る気満々で、メガネも別に平気らしいが、わたしが面倒なのだ。

同じような時間に、
「借りぐらしのアリエッティ」も上映していた。

「こっちでもいい?どう?」
と聞くと、
「あ、アリエッティ!こっちがいい」

と案外とまあ、都合よく・・・・

数日前に、テレビでどうやらアリエッティのことを見たらしく、興味を持っていたようだ。

幸運。
ホッとした。




さて、アリエッティの上映前に大いに驚いた。
他の映画の予告編がこれでもか、と映しだされたのだ。

少しくらいなら、と思うかもしれない。
いくつやったんだろう・・・。10作品は超えていたと思う。
ハリーポッターから海猿から、いろいろと。
その、どれもが、
ドッカーン、ズゴーン、というようなとてつもなく大きな衝撃音で彩られて、演出されている。
ドガーン、バチコーン、と音がするたびに、思わず笑ってしまった。



さて、アリエッティは静かな映画であった。
シーンとする場面がいくつもあり、思わず引き込まれる。


原作はイギリス。
小物も家のつくりも、庭の様子も、原作では当然のことながら、ことごとくイギリスの事物であるのにも関わらず、それがジブリ作品となって見事に日本の景色に溶け込んだ。

メアリーノートンの原作がすばらしい。

調理に例えれば、最高の食材が手に入ったのと同じ。
調理師は、その食材をうまく生かし、皿に盛り付けてやるだけだ。

ジブリはうまくやった。
原作の良さを損なうことなく、うまく絵にすることができた。
ジブリは、成功した。日本風の味付けで。

5歳の息子は、当然、これは日本のお話、と思い込んでいる。
すばらしい。


ハルさんの声は、樹木希林さん。
これはぜったい、希林さんのイメージが先にあって、あとから絵をつけたな。
ハルさんは、希林さんとそっくりでした。

なぜ今の時代に、この古い1950年代の作品をもってくるのかな、と思うと、環境問題に関心が高まった点については、2010年の今と、1950年代と似ているからかなと思った。

「絶滅する種族」
なんていう言葉が、ずしんと重みをもって響くのは、1950年代の、都市生活のゆきつくところ、涯を感じさせた時代と、今とが同じニオイを持っているからだろう。

メアリーノートンが、近代文明の行く末に大きな危惧を抱いていた、というのは、児童文学作家の猪熊葉子さんが、岩波少年文庫の巻末の解説で指摘している。

ノートンは、この「床下の小人たち」の続編で、小人たちがさらなる危機を迎えること、そしてなすすべなく、時代の波にのみこまれていくさまを描いていく。