先週からプールを待ち焦がれている。

「明日はプールだね」

と言っておきながら、気温水温、天候の具合で延びていたからだ。

プール指導について、何をどのようにするのがふさわしいのか、
先週からずっと資料を集めている。
ともかくも、泳ぎに慣れさせることが大事だ、ということ。
水泳クラブ、スイミングに通っている子ばかりでない。

どの子にも、ある程度、

「ぼくは泳げる」

と胸を張れるところにまで、進めてあげたい。


私は小中高と水泳部で通した。
夏のプールの快適さ、泳ぎの楽しさも経験している。
子どもは、プールが大好きなのだ。
そのプールを、最高の場にしてやりたい。

小学校3年生のときの夏。
水泳部、に所属することにした。
本当はそんなものはなかったのだが、学校の先生たちが日替わりで、プールに付き添ってくれることになり、希望者は毎日でも学校のプールに泳ぎに来てよいことになった。

ただし、自由時間はなかった。

ひたすら、25メートルを一方通行に泳ぎ続けた。

「立って歩いてもいい」

と言われて、

どぼん、と入っては、25メートルを歩くところからはじまった。

そのうちに、面かぶりのけのび、バタ足、とすすんで、
見よう見まねで、クロールをやりだした。

すごい自信がついた。

次の年、4年生になって、また、「水泳部」に所属した。

同じようなことの繰り返しだった。

だが、夏休みも最後の方となって、ついに25メートルが泳げた。


ほとんど何も、教えてもらわなかったのに。

これは、今だに、ふしぎな経験、ふしぎな記憶として、私の脳裏にしっかりと残っている。