教室に、カウントダウンの表示が始まった。
八つ切り画用紙に、一人一枚、数字を書かせたのだ。
残り日数。授業日数だ。
カウントすると、あと30日、となる。

大きな数字を書かせたあと、下半分にはそれぞれのメッセージを書かせた。

「のこり30日、楽しく過ごしましょう」
「あと29日だ!みんなでガンバロウ」
「あと少しだよ!5年生になってもみんなでいっしょになろうね」

いろいろと、書いている。

書いている最中に、

「先生のことも、少しは書いてよ」

と、かる~く、つぶやいておいた。


すると、やはりやさしい女の子はいるものである。
気の利いた女の子が、

「先生、ありがとうございました」

と書いてくれている。


美しい別れ、を想定している。
学級の別れは、美しく、あるべきだ。

それは、おそらく、新しい出会いを、美しくしてくれるはずだからだ。

来年度の、あたらしい担任の先生へ、プレゼントする心だ。
贈る心、である。


情感をもって別れ、人と人との出会いの不思議、別れの必然性。
そうした人生の運というか、出会いの縁、その(ふしぎ)にふれる絶好の機会。

そうしたものにふれた子は、また、出会いの季節に、大切な縁を感じ、出会うことができる。
新しい仲間に。そして、新しい師に。