退職された先生が、職場を訪ねてこられた。
1年ぶりの再会。離退任式の後、飲み会の席で、いろいろと話をされたが、その時以来だ。
昨年、私の席のすぐ隣に座られていた。
わたしが臨時任用、おどおどした新米講師であったためか、気にかけてくださった。
「大変だねえ」
と、ゆっくりとねぎらっていただく言葉が、なんだかとてもあたたかく、ほっと身にしみたことを思い出す。
その先生が、先日の新成人の式に行ってきた、とのこと。
なんでも近所の子どもたち(昔の教え子)から連絡があったそうだ。
会場が近くのホールということであったので出向いてみると、いるわいるわ、むかしの教え子がたくさん寄ってきて、まるでスターのようであった由。
「いやあ、教師って、いいなあ、と思ったよ。ひさしぶりに」
と言って、大声で笑っていらした。
なるほど。
長い間教師をやっていれば、そういうこともあるのだなあ。
私はまだ担任3年目。
臨時任用で2年、正規採用の初任1年目。
教え子が20歳(はたち)を迎えるのも、まだ先だ。
でも、なんだかとてもポジティブな気持ちを分けてもらえたようで、うれしかった。
教師人生を思い返すと、
昔、恩を仇で返す、というような目にもあって、なんでかなあ、と思ったこともあったそうだ。
これだけ愛情をかけても、というか、
愛情をかけたからこそ、鎧のようなものが溶け去って、悲しい心や、つらい心と直に向き合ってしまったのかもなあ、と言っていた。
しかし、そうしてつきあった不良連中(まま)が、一番、なつかしそうであり、自慢げであったそうだ。そして、これが担任の先生だったのだ、という感じで、近寄ってきたという。
目に浮かぶ。
また、そういう具合で、
「この子には、最後まで情が通じなかったなあ」
と思っていた子から、久しぶりに年賀状が届いたりしたとのこと。
時間がかかる、ということも、あるんだなあ、とおっしゃっていたが、
それが何か、私へのメッセージのようにも思えた。
私だけでなく、職場の何人かの若手(?)がいっしょにお茶を飲ませてもらったのだが、なんだかとても言葉に力があり、実感や、含蓄を感じる言葉が多く、ちょっとなんだか、感じることの多い時間であった。
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