勤務校に、栄養指導のための実習生が来ている。
栄養教諭となるための勉強だそうだ。

「先生のクラスで、授業をさせてください。」
との話が先日あり、了解していた。
その授業が、本日、私の学級で行われた。

短期大学の女性の先生。
若い。笑顔がすてきだ。さっそく、子どもたちがとりまいて、あれこれ話しかけている。

さて、その授業が始まって、驚いた。
見てすぐ、目にとびこんできたのが、持参してきた模造紙。

栄養を種類に分けた、「栄養三色」の説明が書かれてある。
働く力になる黄色、血や肉になる赤、身体の調子を整える緑の3色。

それはよい。
その周囲に、色とりどりのカラーペンで、かわいい花やぬいぐるみのクマのようなキャラクターが、ところせましと書かれていたのだ。

発達障害のある子はもちろん、そうでない子も含めて、これが目に入らない子はいないだろう。

「かわいい~!」


受けをねらいたい、という目的があったのか。
それであれば、目的は半分、達成されていた。



このことについて、最初は、これは伝えた方がよい、と思った。
「あのキャラクターや絵は余計な情報だと思います。気になってしかたのない子にとっては、とても罪なイラストです。混乱をまねく情報ですから、ない方がよいと思いますよ」

こういうふうに、伝えたいと思った。
「ぜひ、言っておこう」
そう、かなり強く、思った・・・・はずだった。


すみません。
そう思っていたのですが。

あいにく、授業が終わるころになると、おそろしいことに、私の中の考えが変わっていた。

下手に気を悪くされても困るしな。ずっとつきあう人じゃなし。ここは、ありがとうございました、と一言で終わっておこうかな。

そう思って、ついに、このことを言わずに一日を終えてしまった。
今、ここでこうやってEduブログに書きながら、反省している。

と、話はここで終わらない。
自分はどうなんだ、と省みて、思うのだ。
初任者という立場。
同じようなことをやっているのかもしれない。

これは帰りの電車の中で、ふと思いついたことなのだが、

他のベテランの先生が見て、
「あれは子どもを馬鹿にしているな」
と感じることを、してしまっているのかもしれない。

そして、そのことを、今日のわたしと同じように、
「言っておこうかな」
と思ってくれたかもしれない。

で、同じように、
「でもやっぱり、やめとこ。人間関係悪くすることないし。言って誤解されて、気分悪くされても困るし・・・」
と思われていたら、どうしよう・・・。

帰りの電車に揺られながら、
「もしかして・・・」
と思うと、

自分はちゃんと、叱ってもらえる人になれているか。と自問したくなった。

愛想笑いで、適当におだてられて、言ってもらわずに損をしていることはないか。
逆に、しっかり声をかけてくださる先輩、叱ってくださる先輩に、よし、と思ってもらえるように、感謝の気持ちでもって、その言葉を受け止めているだろうか。