同僚の先生に、尋ねてみた。
語学上達のコツ、というのはあるのか。
英語をどうやって勉強したのか。

職員室で、英語勉強法を、かたはしから、尋ねて回った。

「いやあ、私もぜんぜんしゃべれませんから」

ほとんどの先生が、苦手だ、ということを言う。


ところが、先日、外国人講師の先生がいらした際に、びっくりしたことがあった。

1年生を担任している、年配の先生だ。
通りがかりにふと目に入った。

廊下で、話をしている。
外国人の先生が、あきらかににこやかに、ホッとしたような表情で話をしている。
会話は、流暢、という感じではない。
だが、その先生は、わたしがわからない言葉で、きちんと対応していた。

おお!!!ちゃんと、話している!!!

そのままなにげなく観察する。

そのうち、双方が同時に笑って、じゃあ、という感じで別れた。

すごい!!!

あんなふうに、なりたい。
少しでいい、カタコトでもいい。
せめて、日常のあいさつ、プラスα、というくらいは・・・。


そこで、その年配の先生に相談してみた。
すると。


語学を身につけるコツは、中学校の教科書だ、という。

教科書を、100回音読するのだそうだ。

見なくてもいえるくらいにする。

「つまり、暗記するってことですか?」
「うーん、暗記しようと思ってやったんじゃないんだけど・・・。結果として、覚えちゃったかな。わたしの場合は・・・」


ほほ~う。

念のため、再確認する。

「それだけ、ですか。」

「そうねえ。姪っ子の中学校の教科書を、1年生から3年生までのを、全部それやって・・・」
「ということは、3冊」

昔を思い出すような目つきで、ななめ上、天井をみながら、話をしてくれる。
「そうだね。それ3冊やって・・・、それから、ラジオ聞いたよ」

福島の出身ということなので、ラジオ、という単語の、ジ、の音にアクセントがある。

ラジオ、うーん、ありきたりだが、それが王道、ということなのか・・・。


「たまに英語の局に、カーラジオの周波数が合って、聞こえるときがあるでしょう。私の車って、それに合わせてあるのよ。聞いているうちに、天気予報くらいは分かるようになるわよ」


そういうことか・・・。
しかし、わたしは、車通勤ではない。

ふだんの生活の中で、中学校の教科書を開いてみるような時間はとれるのだろうか。語学上達のために、そんな勉強時間を、どうやってひねりだそう。


わたしにとって最適な、外国語上達の道、とは・・・。

そこを、さらに、詰めて考えた。