図工。

運動会の絵を描かせたい。

色のついた、八つ切り画用紙。
色を、いくつか私が選定し、それを並べて、子どもに選ばせた。

そこに、鉛筆で薄く、下絵を描かせた。

ところが、描く絵は、ことごとく、お人形さんのような絵である。
頭がやたらでかく、目がきらきらしていて、あとは棒状の、長ほそい腕と脚。
ただ突っ立っているだけの、人間。


おどりを踊った。
人間の、躍動的な、ダイナミックな動きを感じる、絵。
からだってこんなにやわらかいのか、と感じることのできるような、絵。
それを描かせたい。


どうしたらよいか。
先生方に相談し、まずは下絵からはなれて、粘土で人間をつくることにした。
粘土で立体としての人間を把握し、そこから、絵に入っていこうというのだ。

腕は腹の途中から横にニョキっと出ているのではない。
肩から、腕は出ているのだ。
そのことを、粘土づくりから、わからせたい。

脚は、棒のような、マッチ棒のような、一本のまっすぐな線であるはずがなく、丈夫な下半身があってこそ、上体がささえられているのだ、ということを、わからせたい。

そこで、粘土をこねさせた。
ここまでは、なんとかなるかも、と期待した流れだった。


ところが・・・(つづく)