このような私について、周囲の大人たちは次のように語った。

「この子には、落ち着きが足りない。協調性が不足している」

私自身、十分にそれを感じていた。反省もした。

しかし、その足りない落ち着きというものをどうやって獲得したらいいのか、不足していると思われる協調性をどうやって新たに身につけたらいいのか、その処方の仕方についてはまったく見当がつかず、途方に暮れた。

親や先生は、よくこう語った。自分の人生には無限の可能性がひろがっている。それをどう生きていくかは、まったく君の自由意志にかかっている。どんな人生を送ることだって出来るのだから、一生懸命頑張って、立派な一生をおくってほしい、と。

私は、その言葉がよく分かったような気がした。

「自分の人生なんだからな」

そう言われると、この一生を本当に頑張って行きていこう、という気になった。
理想を求め、現在に安住せず、たえず充実した意味の世界に生きていこうと、厳しい行動習慣を自分自身に命じるようになった。(つづく)