たまたま家のパソコンで、古いメールを読み返してみていたときだった。
以前お世話になった上司(別の人)から、試験で免許が取れる、ということを教えてもらっているのを思い出した。

そういえば、と思った瞬間、パァーッと悩みが吹き飛んだ。
霧が晴れた気がした。

それは、教員資格認定試験である。
小学校教員資格認定試験とは何か。
通常は、大学、短大、通信などで単位を満たさなければ取得できない教員免許が、試験のみで取得できるしくみだ。

受験者の資格は、高卒である、ということ。
これだけは、私はクリアしていた。

応募要項には、

「高等学校を卒業した者その他大学(短期大学及び文部科学大臣の指定する教員養成機関を含む。)に入学する資格を有する者で,平成20年4月1日における年齢が満20歳以上のもの」

とある。

試験内容は
・1次試験(一般教養、教職、各教科)
・2次試験(論述、実技、面接)
・指導の実践に関する事項にかかわる試験(実習)
とある。

これに合格すれば、教育実習を受けなくてもいいのだ。

しち面倒くさい、転職云々を考えるよりも、これに合格して免許を取得してしまおう。
そう考えた。
でも、これまで通信制でがんばってきたのはナンだったのか。
必死でスクーリングに通い、単位取得に励んできたというのに・・・。
ここがひっかかって、色々調べていくうちに、次のことが分かった。

教員には、一種免許と、二種免許がある。
通信制大学を卒業して、教育実習も受けると、ただちに一種免許がもらえる。
しかし、資格認定試験の合格者は、二種免許しかもらえない。

二種でいいや、と決めた。
二種でも、ちゃんと教壇に立てる。学級担任にもなれる。
30歳から教師を目指した身である。ぜいたくは言ってられない。
それよりも、新しい仕事に慣れるまでの苦労を想像すると、できるだけ転職はしたくなかった。

試験に合格すれば、なんといっても、今の仕事を辞めずに済む。
たしかにキツい仕事だが、生活の保障はある。
この先、何年かかるかわからない挑戦だ。
いったんでも、正規の雇用を離れるのは、不安でしかたがない。

「今の仕事の次にするのは、ぜったいに教師だぞ」
その安心感の方が大事だった。

試験に向けて、照準を合わせ始めた。
あとで考えれば考えるほど、この試験はありがたい存在であった。

ともかくも、一ヶ月間の教育実習を、受けなくて良いのだから。
「教育実習」という、サラリーマンにとっての最大の壁を、これでクリアできるのだから。

(つづく)