算数の一単元を1年生の他の先生方にまかせていただいた。
通常はほとんどT2の立場なので、自分で本格的に授業するのはひさしぶりだ。これまでは、出張だとか、病欠だとか、他の理由で先生がいらっしゃらないときだけ登場していた。

前々から予定していたので、授業案を立て、指導書も何度も読み返して授業に臨んだ。
算数の時間を、1年生の4クラスで1つずつずらして計画していただいた。1組から順に、各教室で授業していく。

頭の中は、授業のことでいっぱい。
授業をとどこおりなく、すすめていくことで。

自分なりに、さっきの時間で反応が今ひとつだった点を、少しずつ改良していった。
ポイントとなる言葉をゆっくり言ってみたり、時間運びにも気をつかった。
なんとか、ぴったりの時間で終わることはできた。

ところが、本当にぬけていたことがあった。
今日、なんどか、
「ここまでやれたかな。おとなりさんと確認してみてごらん」
という言葉を投げかけていた。

しかし、時間も半分を過ぎる頃、なんと、隣の子が休みで、一人ぼっちの子がいたのだ。
おとなりさんと確認しようにも、隣はいない。
その子は自主的に、うしろの子にみせたりして確認していたのだが、なんと教師の私は、それにだいぶ後になってしか、気付けなかった。

目に入らなかったのだ。
どこをみていたのか。

「あれ?ひとりだね」
そのときの、そうだよ、ぼくひとりだよ、という、ちょっとさびしいような不満そうな顔。

こういう基本的なことが、ぬけている。