ほめる、というのが難しい、と思えてきた。

自習の見回りで、静かに集中して課題を続けているクラスに行った。
なにか、ほめなくては、と思っていた。
「えらいねえ、静かにやってるねえ」と声をかけた。
教室の後ろから入り、集中した空気の中にいきなり声を出した格好になってしまった。
心地よい緊張感が、どこかこわれてしまった気がした。
あとで振り返ってみて、そう思う。

次のクラスの教室に入っても、ほめなきゃ、という観念が続いていた。
「えらいねえ」
と声をかけたが、自分の発した言葉に、気持ちが入っていないことが分かった。
「作為的なほめ行為」という感じであった。後で振り返ってみたら、そう思う。

ほめる、というのが難しく思えてきた。
えらいねえ、という、抽象的なものの言いようで、なにが子どもたちに伝わるのか。
ほめる、ということをしばらく探りたくなった。