1年生のさんすう。
「20よりおおきいかず」で、10のまとまりをいくつあるか数えさせる場面でした。
数え棒をつかってかずを数えた作業のあと、板書をしながら整理していました。

そこで、
10のまとまりをしめそうと思い、教具を使いました。
えんぴつが、10本まとまっている絵。これをマグネットで黒板にはりつけました。
また、バラのえんぴつの絵。これもマグネットではりつけました。

これでいくつかな、と答えさせながら進めていましたが、大きな数を示そうとしたとき、教具の10本まとまりのえんぴつの絵が、足りなくなりました。

そこで、
「あ、足りないから、先生が描こう。」
といって、

(・・・ここで黒板に、10本まとまったような感じの絵を描いた)

「これで10本あることにしようね。よし、これで全部で何本になったかな」

ここで、ほとんどの子が、「92本です」 というように正解したが、ひとりの子が、

「先生、それ10本じゃないよ」

といった。

つまり、わたしが先ほど、教具が不足していたために黒板に急いで描いたえんぴつの絵が、10本あるように見えない、ということでした。
急いで描いた絵で、かつ、適当に何本か重なっているとみえるように描いただけでしたので、この絵を一本ずつ、正直に数えようとしても数えられないし、クチで
「これで10本あることにしてね」
と言ったはず。

他の子も、「あれで10本と数えたら良いんだよ」という子もいました。

でも、彼はひきません。あの絵では、えんぴつが10本無いではないか、ということにこだわっています。

これで10本あることにしてね、とお願いしてなんとなく収めましたが、
1年生は、かずをかぞえる、ということに関しては、正直に、絵のとおりに、数える、それで当たり前のような気もしてきました。
正直に言ってくれたんだなとあとで思いましたが、そのときは
「時間がないのに、要らんことにつっこんでくるなあ」
と思ってしまいました。

先生、わかりにくいよ、と言ってくれているようで、子どもにテーマはないのだとまた自分に言い聞かせています。