30代転職組・新間草海先生の『叱らないでもいいですか』

We are the 99%。転職を繰り返し、漂流する人生からつかんだ「天職」と「困らない」生き方。
高卒資格のまま愛知の小学校教員になった筆者のスナイパー的学校日記。
『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。
生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。
新間草海(あらまそうかい)

2022年02月

【廊下を走らない制度】エントロピーとのはざまで

(冗談なので、以下の文章はあまり生真面目に読まないでくださいネ)

一般に、学校生活は秩序を重んじるために、廊下は走りません、という教育がなされますね。
子どもは走り回っているために、まるで自由分子のようであります。
ところがその自由電子に制限を加えていくわけです。

エントロピーとは無秩序さ、つまり乱雑ぐあいを表す指標なので、秩序が高い状態はエントロピーが低く、秩序が低い状態は、エントロピーが高いというこになります。

すると、廊下は走りません、という張り紙は、エントロピーを低くしようと頑張っているのです。
これを「恒常性の維持」と呼んでも差し支えないでしょう。
しかし、物理の法則も熱量の法則も、自然界のものはなにもかもすべて、エントロピーの法則が適用されることになっておりますから、やはり「廊下は走らない」という張り紙だけではエントロピーは隙間をぬって増大しようとします。
唯一、エントロピーに対抗しうるのは、生き生きとした「生命活動」だけです。生命活動はなぜか、自己崩壊せず、なんとか恒常性を保とうとする。それがわれわれの大切な命の働き、というわけです。

さて、授業が終わり、休み時間が始まると、サッカーボールをかかえて走り出す子どもには、エントロピーを増大させる宿命が彼をそうさせている、とみることもできるわけです。
それを阻止せんとする私たち「教師」はエントロピーに歯向かう反逆者なのでありましょう。

しかし、ふと我にかえってみると、この話はもっと、「はじまり」になにかあるんじゃないか、と思うわけです。
子どもが廊下を走ろうとするという「エントロピーの増大」について、それを阻止しようとするけど、もしかすると、そもそもそうやって廊下を走ろうとする子のような、「秩序➡無秩序」への流れを促進する、とっかかりのような出来事があったのではないか。

実は、6年生などの高学年を担任していることがつづくと、案外と真実がみえてきまして・・・。

それは、6年生って、注意されないでも、もともと走らないのです。
この、「もともと」というところがミソでして。
つまり、6年生たちは、疲れるから走らない、という理由から、走らないわけ。
べつに張り紙が張っていようが、先生が廊下の端に仁王立ちしていようが、声を荒げて
「こら、走るな!廊下は歩きましょう!」
などという怒声をあびせようが、それとは無関係に、もともと走らないのです。

これはネ、無秩序➡秩序、というエントロピーを縮小しようとする動きではなく、彼ら彼女たちなりにエントロピーを増大させた結果、「だるいし、かったるいし、走るのだりぃから歩こう」ということなのです。

つまり、廊下をあるく、ということ自体が、その子その子に応じて、エントロピーの縮小の結果である(秩序立てることになる)子もいれば、逆にエントロピーの増大の結果になっている(秩序を崩すことになる)子もいるというわけです。

エントロピーの縮小がある一方では、かならずエントロピーの増大があるわけで、これは同じ量だけ、行われているはず。学校全体に、エネルギー保存の法則が当てはまるわけです。

子どもが廊下を走るようになった背景に、なにか「秩序立てようとする運動」があったはず。
それは、もしかしたら、教室を分ける、ということかもしれないですね。

何年何組はここで、〇〇くんはこの席で、今日は国語が1時間目で・・・というように、思い切り秩序立てているために、学校全体としてはどこかにエントロピーを増大させる動きが生まれているはず。それが、「廊下を走る」なのではないか、と思います。
ためしに、子どもが勉強する場所や時間などをすべて無秩序にしてみると、もしかしたら廊下を走る子は一人もいなくなるかもしれません。たぶん、いなくなるでしょう。そうしたくなる秩序がなくなったからですね。

では、高学年の子がかったるそうに廊下を歩く、ということについてはどうでしょう。
このようなエントロピーの増大についても、もしかしたら何時間目に何を勉強して、というような秩序をなくしてみたら、もっと生き生きと背筋を伸ばして歩き始めるかもしれません。

で、ここからが本稿の主張になるのですが、
ためしにですね、週に1日でよいので、たとえば金曜日。
これは、
「児童が時間計画をして、児童がどこで何について学ぶかを計画し、それにそってやりたいように学べばいい」
というようなことをしてみたらどうか。

これはエントロピー的には、増大の方向です。
今まではがっちりと秩序に当てはまっていたのですが、それを自由分子的にやりなさい、ということになるのだから。

だとすると、今度は逆に、秩序がうまれてくるのではないか。
それも、大人が意識の上で秩序を計算したものではないために、ごく自然発生的に子どもたち自身から、まるでエントロピーを縮小させるような、本来の「恒常性の維持」という生命体のもつあり方にそった形で・・・。

今日は朝から寒く、とくに用事もなく、まったりと昼寝をしておりましたところ、うまい具合に脳内のエントロピーが寝てる間に回収されて秩序を取り戻したらしく、ふとこんなことを思いついて書いてみました。人間は、寝ている間の、この「エントロピー縮小(片付け・整理)」ということが、脳にとっては大事なようです。でなければ、起きている間に脳が高速に動いて大量の情報を処理できるわけがないからですね。

やっぱ、睡眠が大事、という結論です。

ろうか

【6年・社会】サウジアラビアを知ろう~パワポDL可能~

今回の資料です。
右クリック⇒【名前を付けてリンクの保存】 でダウンロードできます。



統的な服装を見よう

どうして頭からすっぽり覆うのだろうか

気候をみてみよう

どんな特徴がある?

砂漠の気候に対応するための工夫がたくさんある服なんだね

すばらしいお天気ですね、というのは日本ではどんな天気の時?
サウジアラビアではどういうときだと思う?

雨のときでした。

サウジ料理1


どうして外出するとき、女性は顔まで覆うのだろう?

イスラム教が関係していた

こんな厳しい教えがあるらしいけど、みんなだったらどう?

でも、今のサウジアラビアの人たちにきいてみると、どうやら良いこともあるようだ。

さて、イスラム教の人口は世界でも2番目に多い。

メッカはどこにあるか、地図帳でしらべよう

ここに向けて、みんな祈っている

さて、サウジアラビアはこんな国だ。

日本じゃ考えられないほどに豊かだ。

なぜだろう?

年間13兆円が儲かる。まさに石油は天の恵みだね。

日本はどんな国から石油を買うのだろう。

サウジアラビアが一位。

他にも、ほとんどが中東とよばれる地域から買っている。

場所を確認しよう。地図帳では何ページ?

大陸と大陸の間だね。
アフリカ大陸とユーラシア大陸の中間にあるよ。

ここを中東という。
そして、ほとんどが産油国だ。

タンカーで日本に運ぶけど、日本に向けて何隻あれば運べるかな?

1日に1隻以上が入港している。

全部で数百のタンカーが、ほぼ毎日、日本に着く。

この道をオイルロードというよ。

しかし盗賊がでるときがあり、日本はこの地域の政府と相談しながら、気を付けて運航している。

【6年・社会】朝鮮と韓国を知ろう~パワポ資料DL可能~

今回の資料です。
右クリック⇒【名前を付けてリンクの保存】 でダウンロードできます。


となりの・・・

つづきは、なんだと思う?

トトロじゃないよ

そう、となりの国って?

アメリカ?
中国?


けっこうあるよ。

・ロシア
・朝鮮
・韓国
・台湾

海を隔てた向こうも数えると、太平洋の向こうにはたくさん。
近所だと、こんな感じ。

この国、わかる?
オリンピックでの入場行進だ。

地図帳でしらべよう。
わかった?

そう。朝鮮半島だね。
こたえは、
北朝鮮民主主義人民共和国と
大韓民国だ。

もともとは一つの国だった。
かつて、日本が占領し、統治していたこともあるよ。
植民地にして、日本語をむりやり話させたんだったね。

太平洋戦争の後、2つの国に分かれて独立した。
朝鮮戦争もあったから、ややこしいことになった。
この写真は、国境を示している。

しかし、写真にあるように、実はお互いに親戚だった人もいる。
国は分かれても、統一を願っている国民は多いんだ。

さて、日本とくらべてみると、どんな違いがあるだろう。
たとえば、白菜。どうやって食べている?

韓国では、キムチにする。いろんな味付けを加えるようだ。
日本では、ぬか漬けにするけどその後洗って食べる。ずいぶんシンプルな味つけだね。

似ているけどちょっと違う。
それが「ご近所らしさ」なのかもしれない。

韓国の伝統的なくらしを見てみよう。
有名なのが、オンドル。
建物の床が、とても暖かくなっている。
だから、床に直接寝た方があったかい、ということもあるそうだよ。

この服装は見たことがある?

そうだね。チマ・チョゴリ。

timachogori


文字は?

ハングル文字は、日本で言うとかなのようなものだ。
漢字も使うけど、一部のようだ。

おもしろいのは、似ている言葉がたくさんあること。
たとえば、日本語の感謝。
韓国だと「カムサ」と発音する。かんしゃ、と似ているね。

日本と半島はずいぶん関係が深い。

もともと半島から日本に渡ってきた人はとても多いから、百済とか高麗とか、日本に地名がたくさん残っている。埼玉県には、高麗神社もあるよ。西日本には巨摩(こま)郡があり、東日本にも高麗(こま)郡がある。
『続日本紀』には、駿河甲斐など東国に高麗人一千七百九十九人が移住し高麗郡を設置した、とあるようだ。われわれのご先祖には大勢、半島からやってきた人がいたみたい。

朝鮮や韓国について、しらべてみたいことがあれば、ノートに書いてみよう。

【6年・社会】中国を知ろう その2~パワポDL可能~

今回のパワーポイント資料です。
右クリック⇒【名前を付けてリンクの保存】 でダウンロードできます。

これを知っていますか?

百力磁

なんのことだろうね?

これは?

小熊餅

わかりますか?
もともとは日本のものです。


百力磁は プリッツ。
小熊餅は コアラのマーチ。

日本のお菓子を、中国の人たちもたくさん食べているんだね。

さて、日本のものをたくさん買っている国はどこだろう。
アメリカ?それとも中国?

最近の統計。2020年のデータだよ。
一位は中華人民共和国。
中国がもっとも日本のものをたくさん買ってくれる国だ。

逆に、日本がいちばんたくさんモノを買う相手の国はどこだろう?
アメリカ?それとも中国?

これも中国だ。

では日本は中国からいったい何を買っているのだろう。

スーパーなどで買い物をするとき、どんなものが中国産だろう?
また、テレビで中国産として紹介されているものを見たことがあるかな?

・スマホ
・洗濯機
・テレビ
・魚
・うなぎ
・野菜
・お漬物
・冷凍食品
などたくさん。

資料集には、

・大豆
・とうもろこし

も載っている。

これらは、アメリカからも買うし、中国からもたくさん買う。
日本人は、どうやら「大豆」をたくさん使うみたいだ。何に使うのだろう?

そうだね。大豆は日本人の食卓にたくさん出てくる。
・豆腐
・味噌汁
・納豆

とうもろこしも、お菓子をはじめ、人間が食べる場合もあるし、
飼料として、つまり家畜に食べさせるためにもたくさん買っているよ。

中国は昔から輸出が盛んだったのかな。

これを見ると、どうやらここ最近の10年間で日本を追い抜き、トップに出てきた。
(日本はこの10年間で逆に、どんどんと順位を下げたよ。ざんねん!!)

今、中国ですごく工業が盛んになっている都市がある。

1つめの有名な場所は「上海」しゃんはい。
2つめは「深セン」だ。シェンチェン、と読むよ。

この2つ以外にも、どんどんとたくさんの都市が、新しい工業都市として誕生している。

ただし問題もある。
大気汚染だ。

とくに冬はみんなが石炭で建物を暖める。
それで、大気汚染がひどくなっている。

中国のことで、しらべてみたいことはあるだろうか。
自分でも「自主学習ノート」にしらべてみたことを書いてみても良いね。

【6年国語】海の命〜なぜクエを殺さない〜


授業の流れについては、上記のような過去記事がいくつかありますので、みていただくことができます。

なぜ殺さなかったか、ということに焦点を絞って、2時間の大討論を繰り広げた。
みんな、言いたい放題。
持論を述べる姿も堂々としてきたが、あいにくそれをまったく聞いていない子もいて、かなりカオスである。このあたりの交通整理が、もっとうまくできたらなあ、というのは私の教師としての反省だ。ずっと以前からの。

つい、教室の真ん中で、腕組みをして黙ってしまうんだよなあ。みんなの話にうなずきながら・・・。しかしそれでは、強力に論を整理することができない。あっちへふらふら、こっちへふらふら、という話し合いだと、子どもが疲れてしまう。

面白いのは、「なぜクエを殺さなかったのか」という問いに対して、
「本当に分からない・・・殺せばいいのに」という子もいたことだ。
その子は、「ぼくは太一の行動に反対だ。殺すべきだった」という説を最後まで曲げなかった。
この意見はかなり討論の場においては有効で、多くの子の考えを深めた。
なぜ、という問いよりも、一時は「太一の行動に賛成か反対か」という討論も出現した。
しかしそのおかげで、
「クエを殺すべきだ、というのは、途中まで本当に太一が心で思っていたことだろう」
ということを、その後、クラスの大半の子が考えるようになった。ぎりぎりまで、太一は本気でクエをねらったのである。

さて、それにしても、太一は最終的に、クエを殺さなかった。
これはなぜだろうか。

多くの子の意見は、
「クエが父親に見えたからだ」
というものだ。

しかし、それだと辻褄が合わない。
太一は、もっと以前に、モリを足の方にどけるのである。
ふっとほほえむ。そのとき、すでに殺意はないのである。
太一がクエを父親だとみる、その行為よりも前から、たしかにあったはずの殺意が消えている。
だから、最初にモリを足の方にどけたのはなぜか、というところに、問題の焦点はうつっているのである。

そこまで考えてから、再度、ノートにまとめてもらった。
言いたいことをすべてノート記述にぶつける気で、とうながすと、みんな猛烈な勢いで書き始めた。
クエ

【Aさんの考え】
太一がクエを殺さなかったのは、「このクエを殺すことは、自分のために殺すのだ」ということに気づいたからだと思う。
 鯛を20匹取るという行動は、漁師としての行動で、太一だけでなく、他の人のためにもなる。だから鯛を20匹取るという行動は、はっきりいえば、人が生きるためだ。
 しかし、太一がクエを殺すことは、太一のお父さんの敵討ちのために殺すため、太一自身のために命を奪うことになる。
 教科書の221ページを見てほしい。与吉じいさが「千匹に一匹でいいんだ。千匹いるうち一匹を釣れば、ずっとこの海で生きていけるよ。」という言葉は、漁師として命を奪うことは仕方ないが、それ以外で無駄に命を奪うことはしてはいけないという教えだ。この言葉が太一に「このクエを殺すことは、自分のためだけに殺す」ということに気づかせたと思う。

【Bさんの考え】
わたしは、本当は太一は、クエを殺したかったのだと思う。それでも太一はクエを殺さなかった。それは、与吉じいさの言葉を思い出したからだと思う。
与吉じいさは、「千匹に一匹でいいんだ。千匹いるうち一匹を釣れば、ずっとこの海で生きていけるよ」といった。与吉じいさは無駄に釣らなくても自分が食べる分と少し売る分だけ釣れば生きていけると考えていたのだ。
それに対して、クエを殺そうとしたときの太一は生きていくために釣るのではなくおとうの敵討ちのためにクエを殺そうとした。そのとき、与吉じいさの言葉を思い出して命を無駄にしてはいけないと殺すのをやめたのだ。

【Cさんの考え】
殺さなかったのは、与吉じいさ(師匠)の教えを破ることになるからだ。
与吉じいさの教えは、「千びきに一ぴきをつる」「海の命をもらって自分たちは生きているから海に感謝して命を無駄にしてはだめ」という教えだ。
太一はクエを見たとき、「仇」としてクエを殺そうとした。それは命を無駄にする行為で、自分の勝手で命を奪う行為になる。それは教えを破ることなのだ。
それに、太一は教えの通り「殺したいから殺す」「自分のために殺す」では殺してはいけないと思っている。だから、最初は「自分のために殺す」をしようとしたけど、クエの目が、殺されたがっているような目に見えてから、教えを思い出して思いとどまった。立松和平さんが、クエの目を「殺されたがっている」ように書いたのは、太一が自分の欲に負けてしまいそうになる誘惑を書いたのだと思う。でも、そんなはずはない。殺されたがっている魚など、この世にはいない。でも、ついそう見えてしまうほどに、人間は欲望に負けやすいのだ。太一はしかしそこで自分のおかしな欲望に気づくことができた。
他の人がクエの目を見たら「睨んでいる」「戦おうとしている」などと見えるのがふつうだろう。でもそれを、「殺されたがっている」と見てしまうくらいの、奇妙な「見え方」。それがあまりにもおかしすぎると、まだ太一は気づくことができた。太一は人として、おかしくなりすぎてはいなかったのだ。
だから、太一はクエを殺さなかった。

【Dさんの考え】
理由は、クエを取ろうとするのは、太一の気持ちだけだったからだと思います。
なぜかというと、与吉じいさは千匹に一匹、飢えないようにとるだけなのに、太一の気持ちは「この魚をとらなければ、本当の一人前の漁師にはなれないのだ」というように、太一だけのためだったので、それで命をとるのは間違っていることだと気づいたからだと考えます。
だから、太一はクエを殺さなかったのだと思います。

【Eさんの考え】
立派な漁師になるため、与吉じいさが教えてくれたように、クエを殺さなかったのだと思う。
与吉じいさの言葉「千匹に一匹でいいんだ、千匹居るうち一匹を釣ればずっとこの海でいきていけるよ」の言葉が鍵になる。与吉じいさは漁が目的、太一はクエを殺す事が目的。太一は与吉じいさと目的が違うのだ。そのことに、太一は気付いたのだと思う。
クエを殺さなくても立派な漁師になれる事、クエを殺すのは与じいさが言う立派な漁師になれない事も、気づいている。だから、私は太一がクエを殺さなかったと考える。

と、ここまでがノート記述である。

わたしが特にするどいと感じたのは、Cさんだ。
魚が自分から殺されたがっているなんて、見えるわけがない。
その奇妙な、病的な、おかしな見え方。
そのことに、太一自身が気づくことができた。
「おれは、なんのためにこの魚を殺そうとしているのか」
そこで、太一はハッとする。

魚を殺すには、理由が要る。
太一はそう考えている。
理由もなく魚を殺すのは、殺人鬼ならぬ『殺魚鬼』だ。
与吉じいさは、鬼にならぬように、太一に語りかける。「千匹に一匹でいいのだ」と。

太一は、「おれが殺したいから殺す」という理由で殺しはしない。
おれが殺したいから殺す、というのも、鬼なのだ。
太一は、鬼になることを、すんでのところで回避できた。
「殺す」と決めてから、今までの長い日々。
高まっていた殺意。
いよいよ、となった瞬間。
まるで電撃のように、太一は「殺すべきでない」という直感に打たれるのだ。
(↑この一文、どうも鬼滅をイメージする。「海の命」は元祖鬼滅!?)

Cさんは、そんなようなことを、自分の文章の解説で、みんなに言ってくれた。
きょとんとして意味がわからない子もいたと思うが、深くうなずいている子も多数いた。

ここまで深く読み取ることができたのも、クラスの子たちの活発な意見が助けになったろう。
Cさんも、単独一人ではここまで追究できなかったにちがいない。

オリンピック憲章とSDGsの振り返り

五輪の話くらいしないと、給食すら無言で食べ、隣のクラスは学級閉鎖だというのに、学校が明るい雰囲気にならない。

カーリングは子どもたちもニュースを見ていて、

「メダルははじめてだって」
「途中でおやつを食べるんだってね」
「ルールがわからんね」


などといって、ちょっとおもしろがっている。

そこで、『ものごとというのは上流から学んだ方が効率が良い』というハーバード大学の教授の説にしたがって、五輪の発祥と、オリンピック憲章について学ぶことにした。
これまで総合の時間に学んできたSDGsのまとめにもつながると判断したからだ。

さて、オリンピック憲章には、オリンピックの競技大会の定義が明記されている。
Olympic Games
1. The Olympic Games are competitions between athletes in individual or team events and
not between countries. They bring together the athletes selected by their respective
NOCs, whose entries have been accepted by the IOC. They compete under the technical
direction of the IFs concerned.

オリンピック競技大会とは
1. オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない。 大会には NOC が選抜し、 IOC から参加登録申請を認められた選手が集う。選手は国際競技連盟 の技術面での指導のもとに競技する。

国家同士の競争ではない、というところがミソだ。

これを読んでから、みんなならどう変えるか、アイデアを出し合った。

「がんばれ、ニッポン」⇒「がんばれ、〇〇〇」

当然のように意見がたくさん出てきたが、
・がんばれ、みんな
・がんばれ、にんげん
・がんばれ、おれたち
・がんばれ、アスリート
・がんばれ、スポーツ


などと意見が出た。

その後、オリンピックの目的を考えた。

当然のように、「勝つため」「勝ってテレビにでること」「メダルをゲットする」などが出る。
これは予測される発言であるが、ここからが小学生があれこれと考える場になる。
そこで、

「勝つためならば何をしても良いか」

と問うと、これはみんな黙ってしまい、その後少しずつ意見が出てくる。

・なにをしてもいいわけではない。
・だからといって薬とかドーピングとかはダメ
・身体をこわしてしまうような練習はやめた方がいいと思う など。


SDGsの学習をすすめるとき、最初は、便利さを追求するのは良いことだ、という意見もあった。
しかし、だからといって、なんでも使い捨てで良いのか、というと、それはいやだ、ということになった。つまり、自分の選んだ手段が、本当に本来の目的にたどりつくものなのか、ということをきちんと考えていくべきだ、というのだ。本末転倒でもよい、という考えでは、実際に人間は大きな損をしてきている。SDGsの学習では「本末転倒はやめよう」ということを学んできた。
小学生がSDGsを学ぶ意味というのは、人間が考える、手段と目的との相互関連を学ぶことが主眼なのだろう、と思う。

オリンピックでも、手段はなにか、本来の目的はなにか、ということから考えていく。

そうすると、「国家のためにドーピングをし、無理やりにでもメダルをとる」というのは、価値があるのかどうか、という議論になってくる。

国によっては、メダルさえとれば生涯にわたって報奨金を受け取ることができるなど、選手の「参加動機」を無理やりにねじまげてしまうほどのシステムも存在する。本来のスポーツの目的ははるかどこかへ消えてしまい、メダルをとるのが「大金をもらう」ことに直結するのだし、それが目的になる。選手間にドーピングが流行するのも、無理もない話で、システムからしてそうなるようになっている。

授業の終わりに、もう一度、オリンピックの目的はなにか、ということを問う。

〇他の国の選手と交流し、おたがいにがんばろうと誓う場
〇他の国の選手と知り合ってどうやったらもっとうまくいくか、情報交換する場


子どもたちは、オリンピックの選手たちも、いつもの学校のように、教室でやっているように、知恵を集めて話し合うといい、と考えている。
カーリングの選手たちが、もぐもぐタイムでエネルギー補給をしながら、後半戦の作戦を立てるために話し合っているシーンが、テレビで何度も放映され、有名になった。子どもたちのイメージは、あれである。教室でも同じだ。親近感がわく。みんなで知恵を出すのが、もっとも幸福に至る近道。

「1位になった国の選手に、どうやったら上手になれるのか、あとで、みんながきいてもいいような時間をつくればいいのに」
「そうそう。すぐ帰っちゃもったいない」

まあ、そんなオリンピックの光景があるとしたら、ほのぼのとして面白いかもね。

sports_curling_woman

【6年・社会】中国を知ろう~パワポDL可能~

※今回のパワーポイント資料です。
右クリック⇒【名前を付けてリンクの保存】 でダウンロードできます。

中国の人口と広さを確認しよう。

⇒地図帳で枠取りをする。マーカーや赤鉛筆でふちどる。

いろんな国と、国境が接している。
国境をめぐるさまざまな問題を抱えているんだ。
日本も領土問題があるけれど、日本と比べても、もっと大変そうだね。


人口は?

13億を超える。世界第一位の人口だ。

昔、人口が多すぎるということから、
今はもうなくなったけど、ちょっと意外な法律ができた。
知っている人?

ひとりっこ政策。

しかしこれは問題がたくさん。
どんな問題が発生したと思う?

そうだよね。隠すよね。
世間からかくして育てる人が出た。
そうなると普通に暮らしていくことができない。
学校にもナイショ、通えない。

やがてこの法律はなくなりました。
でも、人数が多すぎる、というのは国にとってはいい面だけでなく、
ちょっと厄介な面もあったようです。

さて、お札を見てみよう。
気になるところはある?

この人は?

毛沢東(もうたくとう)。
今の中華人民共和国をつくるときに、中心となって活動したメンバーだ。

壱圓とは?
いちげん、と読むよ。
18円くらい。今のレートで。

裏を見てみよう。
なにか気づくことがある?

そうだね、たくさんの種類の字がある。
これは、言語がたくさんある、ということと関係があるよ。
実は中国は、一つの民族ではない。多民族国家だ。

中国漢字もあるが、モンゴル語やチベット語などもきちんとお札には書かれている。

多民族国家だと、どんな問題が起きるかな。
そうだね。政治がうまくみんなにいいような政策をとっていかないと、一部の人だけを優遇していたらぜったいに不満が生まれ、うまくいかない。
多民族国家は、どの民族にとってもいいように、うまく政治を進めていかなければならない。

アメリカの農業も見たけど、中国の農業も見てみよう。

餃子


その前に、中国で一番食べられているのはなんだろう?
①米 ②小麦 ③大豆

これはきちんと調べられていないから、実はわからないんだ。ごめんね。
でも、どれもたくさん食べられているのは間違いない。

中国の北部では小麦を使っためんやマントウ(中国の蒸むしパン)、南部ではお米が主食。中国のお米は日本のお米に似にた品種で、たき方も味も似にている。中国ではお米をおかゆにして食べることも多い。

さて、ここでクイズ。
料理名、材料、地域をすべて答えられるかな?


【6年・社会】アメリカの農業をしらべてみよう

※今回のパワーポイント資料です。
右クリック⇒【名前を付けてリンクの保存】 でダウンロードできます。


アメリカの畑に、こんな形の畑があるよ。どうしてだろう。

なにを栽培しているのだろう?
どうして丸いのだろう?
理由を予想をしてみよう。

ロッキー山脈のふもと、カンザス州。
もともと雨が降らない土地だけど、地下水はある。
ここで農業をするには・・・スプリンクラー!

【動画視聴】160087289204187400



アメリカから日本へ輸入されるものは何だろう?
どちらのグラフが、そうだと思うか。

アメリカから日本には、資源(ガス)や石油などに加えて、食料になる穀物や肉類が多く輸入されている。総額は、年間1兆円近くにもなる。これは世界でもとびぬけている金額。
日本人は「食べること」には、お金をかけるんだね。
 ⇒一方で、フードロスの問題も日本がもっとも深刻。


逆に、アメリカが日本から買うものは?

自動車、機械製品、化学製品など。
精密機械の部品などは、逆に日本がアメリカから買っているものもある。

日本がアメリカから影響を受けた文化やモノって?

セブンイレブンなど、コンビニエンスストアが24時間OPENしているのも、アメリカが始めた。
日本にそのやり方を持ってきたんだね。日本の酒屋さんや米屋さんが、コンビニエンスストアに切り替わっていったのが、1980年代だ。

ディズニーランド、スタバ、ジーンズなどもアメリカの発祥だね。

あとは?

スポーツ。
スポーツの多くはアメリカやイギリスが発祥だ。オリンピックの競技種目のほとんどは、アメリカやイギリスがはじめたスポーツだね。

左がベーブルース。100年前のプレーヤーだ。
大谷選手は、ベーブルースと比較されているね。

【卒業までカウントダウン】してもらったことを100個書く

好きだ、という文字は、誤解を生むので使えない。
とくに大人が子どもに対して「好き」なんていう言葉を使っては。

だいたい、「好き」という言葉には、いろんな意味が含まれ過ぎている。
ナターシャ・キンスキーがおしゃれなカウンターでロブ・ロウに向かって耳元でささやく「好き」と、
「ひざこぞう」を怪我してバンソーコーを貼っている小学2年生がグッピー・ラムネを食いながら「このラムネ好き~」というのと、同じ意味であるはずがない。

しかし、あえてこのクラスの全員が好きという以外になかなか他に良い言葉が見つからない。
さらにいうなら、人が人を好きだというのは、これはもうそれ以外にありようのないほどに、当たり前の感情なのでありましょう。また、この場合の「好き」は、もう古来より言い古されていることであるように、ごく人類としても当たり前のように「嫌いの対句ではない」のでしょうな。

そういうことなので、この子たちがあと20数日で卒業だと思うと、またある種の特別な感情が湧き起こってきます。たしかに、新たな、立派な道へ成長していっている、というしずかな喜びもあるのですが、もう日常会えなくなるよなあ、というちょっとした感傷がこころの中を全面的に塗りつぶしてしまうのです。

その感傷をすこし確認した後に、結局さいごにこの子たちに対して思うのは、

ああ、好きだなあ、という感じであります。

もっといい言葉、ふさわしい言葉があればいいのに、と思うけど、まあ単純に、「好き」なんでしょう。人類として、好きなんですわ。

残りの日数で、やるべきことも残してあり、いろいろと計画もしています。
また、これだけはやりたい、と2年前に計画した授業。これらを、きちんと進められてきた、というふりかえりができること。最近はそれがうれしい。

1)自分が好きなものを そうは思わないと言われた時に腹が立つかどうか。
2)きらいなものかどうか
3)羊毛セーターのふるさとを考える
4)電球が光るかどうか~ホントはどうかな~
5)今から北海道に行けますか

これまで考えたことがない、という問いの数々。
おもしろかった、という感想が次の日の日記にたくさん書かれた実践。
2年間、その気でやって、進めてこれた。
ありがたいと思う。

このクラスでしてもらったことを100個書く、というのも、無理ーと言いながらやってくれた。
このクラスでしてあげたことを100個書く、というのも。(←こっちの方が少なかった)

あと給食の回数、20数回。

コロナで無言の給食だけど、顔をみながらおいしく食べよう。

おひなさま

【6年生・国際社会と日本】アメリカと日本

★アメリカ合衆国について調べよう

※今回のパワーポイント資料です。
右クリック⇒【名前を付けてリンクの保存】 でダウンロードできます。

アメリカの土地はどこ?
地図帳でしらべよう

アラスカとハワイもアメリカだ

面積と人口は?

軍事力は?

広くて、人数も多くて、他の国へまで影響を及ぼす国


どんな人たちが住んでいるのだろう?

アジア系(もっとも多い)
ヨーロッパ系
メキシコ系
アフリカ系

多民族国家とよばれているよ

なぜそうなったのだろう?

移民がたくさんきた国。
もともと住んでいたのは、先住民族

どんどんと国を広げ、州を増やしていった。

国旗の星の数が増えていった。



アメリカの小学校のランチをみてみよう。
感想は?


汁ものがない。
あたたかい汁はなさそう。

ランチは全員というわけでなく、食生活が一人ひとりちがうから
何を持ってきても良い。お弁当でもよいしカフェテリアでランチでもよい

日本との違いは?

日本人が知らない良さ、気が付いていない良さもたくさんあるかも。
逆も言えるね。

お互いのことをわかりあおうとすることを、「異文化理解」というよ。

【6年・国語光村】海の命で5年大造じいさん登場

「対比」を使って、海の命の学習を進めている。
「海の命」と何を比較したか。
5年生で学習した「大造じいさんとがん」だ。
既習事項と比較することで、どんな教材にも挑戦していける、という自信を持つためである。
これまでの力を生かすことで、困難に立ち向かえる、という自信は、人生にとって必要だ。

比較

大造じいさんは、残雪が仲間を救ったばかりか、最期のときを感じて威厳を崩さずにいることに感服し、そのまま残雪を殺さず、堂々と戦うことを願った。
だから、直前まで本当に殺そうとしていた。

「もしはやぶさが現れなかったら、殺しただろうか」

そのままきっとオトリを呼び戻して向きを変えさせ、残雪を撃っただろう、というのが児童の大半の見方である。

対して、太一の方はどうか。

残雪をしとめる気でいっぱいだった大造じいさんの情景描写には、真っ赤な太陽が(あかつき)強烈な光をさしてくるイメージが使われている。
これは、いわゆる「大造じいさん目線」である。

〇〇目線、というキーワードについては、5年生のときの「なまえつけてよ」で既習済みだ。



「なまえつけてよ」は、地の文にある表現もみな、主人公の春花の目線で書かれていた。
勇太が、プイッと横を向く、と地の文に書かれているけれども、勇太はものすごくやさしい子で、実際にはそうではなく、春花に迷惑をかけないための所作だったわけで、プイッと見えたのは、あくまでも期待していた春花のざんねんな気持ちが『そういうふうに見た』わけで・・・。

そこから、物語文の地の文にも、主人公の目線がふくまれている、というのを習っていた。

では、太一はどうだったか。
どうみても、クエが戦闘的に見えないのである。
敵に見えない。
おとなしく、じっと「殺されたい」と見えるほどに、やさしい目つきで太一を見るのである。

これは、実際にクエがそうであった、というではなく、太一がクエをそう見ているから、クエがやさしい目つきに思えるのである。

だとすると、大造じいさんと太一は、決定的にちがうことがある。

じいさん⇒戦う意識
太一⇒1000匹に1匹でいい この海でずっと生きていきたい


太一の意識がこうやってどんどんと浮かび上がってきた。
太一には、「敵」「味方」の区別すら、もうすでになかったのである。

【小6社会】国旗を通して世界を知ろう

国旗を通して、世界の国々を知ろう

似ている国旗がたくさんある。
それぞれどんなところが似ているだろうか。

気づいたことをノートに書こう。

気づいたことを隣の人と相談してみよう。

地図帳をみて、なんていう国か、見つけよう。

どんな場所にあるのか、どんな人達が暮らしているのか、
どんな生活を送っているのかなど、想像してみよう。

気づいたことをたくさん発表してみよう。

どこか、この国にぜひ行きたい、という国をひとつ、発表しあおう。


記事検索
メッセージ

名前
本文
月別アーカイブ
最新コメント
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 累計:

プロフィール

あらまそうかい

RSS
  • ライブドアブログ