これ知っている?
すぐに出るのが、炭酸。
炭酸ってなあに、と尋ねると、
「ジュース」
「コーラ」
「メントス」
「しゅわしゅわする」
「あわみたいなやつ」
身の回りの「酸」について調べよう
と黒板に書く。
炭酸が出たから、すぐに炭酸のペットボトル(500ml)を出す。
この泡の正体ってなんだろうか。
どうやってしらべる?
火をつける。
吸ってみる。
飲んでみる。
理科の実験なので、飲んでみた感想を言い合うのでなく、物質そのものを調べたいんだ、と確認する。人間が感じた感想や思いに焦点はあてず、あくまでも物質としての事実、物質としての特徴を。
火をつける、が残る。
そこで水上置換で泡を集めて集気びんに集め、ふたをしてろうそくの火を差し入れてみる。
あっという間に消える。
「二酸化炭素じゃないの?」
1学期の既習事項が出てくる。
念のため、石灰水に通す。白く濁る。これは二酸化炭素だろう、ということが明らかになる。
このことから、みんなが炭酸と呼んでいる水溶液は、二酸化炭素の水溶液だということがわかる。
次に、また別な『酸』を調べよう、ともちかけると、
「クエン酸」というのが出た。
おそうじでつかう。
お漬物の色をきれいにするために使う。
などが出る。
では、クエン酸の水溶液をつくってみよう、ということで、水溶液をビーカーにつくる。
おそうじで、汚れが取れるやつだ、ということで、強烈なんじゃないか、とみんな考える。
「なにかをとかしてみよう」
そこで、黒板のチョークを溶かしてみる。
粉末をごく少量、試験管に入れて、そこへクエン酸の水溶液を入れてみると、あわが出る。
チョークの粉末はぜんぶ溶けてしまった。
「酸には、ものを溶かす働きがあるかもしれない」
念のため、ふつうの水も用意して、こちらにもチョークの粉を入れてみる。
まったく溶けない。
「やっぱり、ものを溶かすんだ」
たくさんのあわが出てきたので、あわの正体はなにかと問うと、
「二酸化炭素かなあ」
ついさっき、炭酸水からは二酸化炭素が出てきていたから、みんなそう考えるらしい。
そこで同じように石灰水に通すと、白く濁る。
「おお、二酸化炭素だ!」
クエン酸水溶液のような水溶液を、「酸」の水溶液というのだと確認する。
リトマス試験紙でしらべて、青いリトマス紙が赤くなることを見せる。
ふつうの水だと、青いリトマス紙は青いままである。
さて、クエン酸には炭酸カルシウムが溶けたので、炭酸水でも溶けるのかどうかを実験する。
すると、あまり溶けない。わずかに小さな泡が見える。
弱い酸性なのである。
ちなみに二酸化炭素そのものは酸性なのかどうか。
予想させてみると、みんな「酸性」なのだろう、という。
炭酸もクエン酸も、二酸化炭素が関係しているらしい、と思っている。
だから、CO2を拭きかけたら、色が変わるのではないか、と。
ところが、直接吹きかけてもなんら変化しない。
「あれ?」
となる。
「ちょっと待って。正確にはCO2の気体そのものが酸性とはいえない、ということだよね」
「ああそうか。水溶液にしないと」
そこで、ビーカーの底に青のリトマス紙を水でぬらしてくっつけて、そこへ向けて二酸化炭素のボンベからCO2を吹き付けてみると、見事に赤くなる。
二酸化炭素は、『水溶液』にしてみると、やはり酸性なのである。