子どもは、一人ひとり、異なる。
どうちがうかというと、かなり、ちがう。
なにせ、親がちがう。
親の個性があり、価値観がちがう。
親の本音もちがうし、社会的な立場も違う。
大人としての意見もちがい、好みも違い、世の中への姿勢が異なる。
つまり、環境がかなり異なる。
それに、子ども本人の元来の資質がちがえば、完全に一人ひとりが異なるわけだ。
給食の時だって、個性が現れる。
食べた後、ていねいに食べる子、たくさんこぼす子、さまざまだ。
こぼしたものをていねいにナフキンで包んで、ゴミ箱にはらいにいく子もいれば、そんなことはおかまいなく、床にパッパッとうでで払ってそのままの子もいる。
ある子は、ご飯の上から、持参したスポイト容器で、水をふりかける。
これは、親御さんの指示による。
ある年、担任になったばかりの4月に、保護者の方が来校された。
会って話してみると、何ごとかを憂うような表情を浮かべて、
「先生、うちの子に、こういうものを持たせますが、担任として許可していただけますか」
と、何かをハンドバッグから取り出し、心配そうにわたしの前に差し出した。
手に持っているものを見せていただくと、小さなスポイト容器である。
「実はこの中に水が入っています。この水をふりかけると、食品中の有害な添加物を無害にできますので、給食を食べる前に、子どもにふりかけさせるために持参しますが、良いですか」
わたしはドキドキしながら、
「どうぞどうぞ。もちろんかまいませんよ」
と言った。
お母様は安心したように笑みを浮かべると、もう一つ、相談事があるのですが、と再度、不安げな表情になった。
「うちの子がこういうものをふりかけているのを見ると、クラスの中には『あ、へんなことをしてる』というように、うちの子に向かってからかったり、はやし立てたりする子が出ないとも限らないので、そういうときには担任の先生にフォローしていただきたいのですが」
「なるほど」
わたしはうなずいて、
「そういうときには、きちんと対処して、つらい思いをさせないようにしましょう」
と請け合った。
お母様は安心した様子で立ち上がり、礼を言って帰られた。
子どもは、親から大きな影響を受けて育ちます。
間近にいる大人、それも自分を育ててくれている親の本音を敏感に察知します。
親の本音は一人ひとり異なるのですから、子どもの反応もそれにともないます。
したがって、だれひとり、同じ子はいないのです。
どうちがうかというと、かなり、ちがう。
なにせ、親がちがう。
親の個性があり、価値観がちがう。
親の本音もちがうし、社会的な立場も違う。
大人としての意見もちがい、好みも違い、世の中への姿勢が異なる。
つまり、環境がかなり異なる。
それに、子ども本人の元来の資質がちがえば、完全に一人ひとりが異なるわけだ。
給食の時だって、個性が現れる。
食べた後、ていねいに食べる子、たくさんこぼす子、さまざまだ。
こぼしたものをていねいにナフキンで包んで、ゴミ箱にはらいにいく子もいれば、そんなことはおかまいなく、床にパッパッとうでで払ってそのままの子もいる。
ある子は、ご飯の上から、持参したスポイト容器で、水をふりかける。
これは、親御さんの指示による。
ある年、担任になったばかりの4月に、保護者の方が来校された。
会って話してみると、何ごとかを憂うような表情を浮かべて、
「先生、うちの子に、こういうものを持たせますが、担任として許可していただけますか」
と、何かをハンドバッグから取り出し、心配そうにわたしの前に差し出した。
手に持っているものを見せていただくと、小さなスポイト容器である。
「実はこの中に水が入っています。この水をふりかけると、食品中の有害な添加物を無害にできますので、給食を食べる前に、子どもにふりかけさせるために持参しますが、良いですか」
わたしはドキドキしながら、
「どうぞどうぞ。もちろんかまいませんよ」
と言った。
お母様は安心したように笑みを浮かべると、もう一つ、相談事があるのですが、と再度、不安げな表情になった。
「うちの子がこういうものをふりかけているのを見ると、クラスの中には『あ、へんなことをしてる』というように、うちの子に向かってからかったり、はやし立てたりする子が出ないとも限らないので、そういうときには担任の先生にフォローしていただきたいのですが」
「なるほど」
わたしはうなずいて、
「そういうときには、きちんと対処して、つらい思いをさせないようにしましょう」
と請け合った。
お母様は安心した様子で立ち上がり、礼を言って帰られた。
子どもは、親から大きな影響を受けて育ちます。
間近にいる大人、それも自分を育ててくれている親の本音を敏感に察知します。
親の本音は一人ひとり異なるのですから、子どもの反応もそれにともないます。
したがって、だれひとり、同じ子はいないのです。