30代転職組・新間草海先生の『叱らないでもいいですか』

We are the 99%。転職を繰り返し、漂流する人生からつかんだ「天職」と「困らない」生き方。
高卒資格のまま愛知の小学校教員になった筆者のスナイパー的学校日記。
『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。
生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。
新間草海(あらまそうかい)

理科

仮説実験授業~電球が光るだろうか?~

理科を教えていない。
今年から。
なぜかというと、文科省がある計画を持っていまして。
小学校も、一部、中学校のように「教科担任制」にしようとしているのです。
(教科担任制の大きな目的は、児童に対して教員がチームで対応するためだそうです)

私は今年、理科と外国語と音楽は担当しなかった。それぞれ、他のクラスの先生と、交換したのであります。わたしはその代わり、図工を4クラス受け持ち、算数も3クラス受け持ちました。こうすると、やはり効果はありまして、理科の準備をしなくて済むのは、これは非常に「時間を生みました」。

自動車で例えるなら、高速道路をつねに5速・150kmで1年中、ずっと走り抜けるような感じはなくなり、時折、人間らしく40kmくらいの時速で、まわりの景色の様子もみながら、3速くらいで走れるような気分さえしたのですね。
だから、他の学年でヘルプが出るとかけつけることもできたし、周囲の先生がお休みされたら、その分もかなりサポートすることができました。コロナもあったので、「とつぜんの休み」というの、今年は多かったですからね。

ただし、理科を教えなかったのは、ちょっと残念なことでもあります。
だって、理科、たのしいからね。

だから、卒業前に、わたしが理科の授業をしました。
子どもたち、驚いていましたよ。
新間先生は理科ができないんだ、と思い込んでたって。

実際にはもう教科としての理科の授業は終わりになっていて、他の科目も終わっているために、時間がうまれました。卒業式の練習も、しゃかりきになって「返事の練習!」と怒鳴り散らす雰囲気もないですし、のんびり仮説実験授業でもやろうか、と。

これは盛り上がるのですよ。もう、台本と流れができあがっていて、その通りにやればどの先生が進めても、子どもたちは自立して考えていきます。本当は、学習というのはこういう思考の流れが必要なのでしょうね。理にかなっているのだと思います。子どもの反応は、仮説実験授業はぴかイチです。

さて、以下がその進め方。

100V電源につないだ、テスターを用意する。
回路には、電球がつながれている。
この電球は、5WとLEDの電球の2種類を用意した。
電気が通じれば、電球が光る仕組みだ。


回路の途中に、さまざまなものを挟んでみる。


①金属スプーン

「スプーンを、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」

予想をノートに書かせる。
となりの友達にも、書いた予想を見せて、お互いに確認させる。

「では、やってみます」

電気がつうじて、電球が光る。

「光りました。ノートに、金属スプーンは電気を通す、と書きなさい」

②10円玉

「10円玉を、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」

これも予想を立てさせる。
ほとんどの子が、光る、と書く。
やってみると光る。結果を書かせる。

③1円玉

これは、意見が分かれる。
同じようにさせる。
光る。
ノートには、『1円玉は電気を通す』と書かれることになる。

④5円玉
⑤100円玉
⑥1000円札

「紙は電気を通さない」
「お金のインクも電気を通さない」

⑦アルミホイル
⑧銀の折り紙
⑨金の折り紙

「金色の折り紙は、やすりでけずって銀色にすると、電気を通す」

⑩お菓子の材料の【アラザン】

「これは砂糖の粒の表面に、銀が塗られています」

⑪銀色のマーカーで書いた線

ここまでで、まとめを書かせる。
ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。

金属は電気を通す。銀色のものが多い。金属では自由電子が動くので、電気を通すことになる。銀色の顔料マーカーは、アルコールが主成分の顔料だから、電気を通さない。


⑫えんぴつの芯

鉛筆をどろぼう削り(両端を両方とも削る)にして、両極から電気を通してみる。

「金属は電気を通しますが、グラファイトとよばれるものも、電気を通します」

ちなみに、鉛筆で回路を描くと、その芯の線上には微量だが電気が流れる。
このことから、鉛筆で書いた安価な電気回路もできると思う(思うだけ)。

⑬カレー(麻布十番ビーフカレー、というやつ)

麻布十番ビーフカレー、というカレーが売られている。
買い物中、なんだかピカピカ光る箱があるので、よく見てみると、カレーの箱だ。
ロゴの部分が、ピカピカしてる。
「通電するんやないやろか」と怪しみ、買ってみた。
その箱のロゴの部分、けっこうメタルな色である。これに、電気が通るか?

麻布十番カレー
麻布十番カレー



これ、見事に電球が光る!(ちょっと、オドロキ!)


⑭レモン

「カレーのついでに、果物を買ってきました。果物には、電気が通じるでしょうか」

これは、なんだかみんな通る、と確信している。
なんで?と聞くと、
「すっぱいから。すっぱいものは、電気を通す。だって、ポカリスエットは電解うんたらって言うし」

結果、見事に通電!

⑮グレープフルーツ
⑯バナナ
⑰きゅうり

「野菜はどうでしょうか」

⑱ナス
⑲じゃがいも

ここまでで、さらに突き詰めて書かせる。

ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。

金属とグラファイト、そして野菜や果物は電気を通す。


教師「金属は、もともとどこにありましたか?」

子「地面の下。土のなか」

教師「そうですね。グラファイトも、山の中の天然の鉱物から採れるものです」
では、じゃがいもはどうですか?」

子「土の中です」

教師「果物も、土の中から栄養分を取り入れて、実がなったものですね。
では、再度、さらに突き詰めて、書いてみてください」

金属とグラファイトはどちらも地面の下や土の中からとれるもので、電気を通す。また、野菜や果物も、土の中から栄養を取り入れていて、電気を通す。


教師「では、野菜を食べている人間は、電気を通すでしょうか」

子「通す。だって感電する」

教師「そうだね。実験したいけど危険だからやりません。その代わり、肉に通してみよう」

⑳肉(魚)

イワシをまるごと一匹買い、アタマと背中に電極をさした。
・・・通電。(無事に光る)

教師「海や土で出来た物を食べているから、動物も魚も人間もみんな電気を通すのでしょうかね?」


「では、土って、電気を通すでしょうか?」

⑳土を溶かしたどろ水

「では、ただの水は、電気を通すでしょうか?」

㉑水道水

最終的な結論と、明らかになったこと、自分自身でこれはそうだ、と
言えることを考えて、最終的な自分の結論を書かせる。

【結局、どんなものが電気を通すと言えるのですか?】

「地球の自然界、土や海で自然に出来るほとんどの生もの(ちょっと水分のある感じのもの)、そして金属やグラファイト、が電気を通す」

最後に感想を書かせて、終わり。

「先生!比較するのに、ベン図を使ってもいいですか?」

深い学びに至るには、について、前回の続き。

小学校の理科だと、思考の深まりを次のように計画しておりまして
3年生で比較
「くらべてみてどうか、ちがいは、おなじところは」

4年生で関係付け

「Aが増えてもBは変わらない。だから、AとBは関係がない。もしくは、Aが増えたらCも増えた。だから、AとCは関係している。」

5年生で条件制御
「変化やはたらきをそれらに関わる条件に目を向けながら調べる。変える条件は・・・、変えない条件は・・・。結果は・・・なので、・・・なことがわかった。」

6年生で推論
「自然の物事に関する原因や決まり、関係について仮説を立てながら予測する。
◯◯ということや◇◇ということを合わせて考えると、△△だと思う。もし・・・仮説A・・・だと、◯◯ということが起こるし、もし・・・仮説B・・・だと、△△ということが起こる。これらを比べると◇◇ということがわかるのではないかと思う。」

をツールとして学ぶことになっている。


いいじゃないですか!
思考の深まりとは何か、について、すでに小学校理科は提示してくれています!

さて、思考の入り口にあたる『比較』とは何か、にもどりましょう。

比較とは、どのような意味を持つか、ということをもう一度整理すると・・・

「比較」は、ある一つの特定の操作を意味するのではなく、さまざまなタイプの考察をそのなかに含んでおります。たとえば、複数の事実を前に置いて、そこに見いだされる共通点や相違を発見し、列挙していくことも比較の一つのタイプであろうし、その異同の理科的、国語的、社会的背景の解明とその比較も重要な課題である。さらに、そこから事象の本質を取りだしたり、一般的な法則を発見したりすることも比較の重要な一部である。比較は、取り扱う内容も多様であるが、比較という操作もまた、多様な層からなっている。表層に現れた類似性を指摘することから始まって、事象の本質を把握していくことまで、さまざまな考察の方法を包摂している。

ということになりましょう。

つまり、子どもたちは、ただ

「わーい、バッタとカマキリ、くらべてみようー!」

というノリだけで比較してしまうのではなく、

比較、というのが重要で、そうすることで
『より深く本質をさぐることができそうだから』
だと、ちゃんと思ったうえで「よし、比較しよう」となるのが大事だというわけ。

そこで、比較がしやすいツールを知る。

それが、ベン図です。

これを、これまでは教師側の教える工夫、として使ってきたと思うんだけど、そうでなく、児童が自ら、
「おれにとって深い学びにつながる道具として使えそうだから、使いたい」
ときちんと意識して使う、ということです。

ベン図とは、複数の集合の関係を図として表したものです。
情報を視覚的に整理し、共通点や相違点など、項目の集合間の関連を見い出すために使用でき、ある概念の背後にあるロジックを徹底的に考え、関連を表現して視覚的に伝えるために役立ちます。基本的なものから高度なものまで、さまざまな対象に使えます。
複数の選択肢を比較し、それらの間の共通点と相違点を明確に確認するために使用できる、すぐれた思考ツールとよべましょう。

飛蝗とカマキリの違い

このベン図を、まずいちばんに教室で使えるようにする。
それが、「見方・考え方をはたらかせて」につながるのではないか。


ちなみに、以下が、黄金の比較原則、と呼ぶ『思考の流れ』の表です。
じっくりご覧ください。
比較ツールの成長段階

蜂にジュースを

5月の連休中、庭仕事をしていると、
ぶーんという羽音が聞こえました。

ふと顔をあげてみると、なんと、でっかいスズメバチです。
スズメバチの顔を、間近に見てしまいました。

やや、図鑑と同じや!
でかい、でかすぎる!

すぐに畑の方へ、飛んで行ってしまったので、安心しました。
どこまで行ったかと目を凝らしてみたら、
遠くの方へ飛んで行っても、まだ見えてるんですね。
50mは遠くにいったか、と思ったけど、まだ黒い点として見えている。
おそろしいと思いました。そのでかさに。

昔の人が、スズメと見間違ったという伝説がありますが
「それもありうるな。あれだけでかいなら」と変に感心しました。

理科の先生から、
「春の蜂は女王バチ。夏の蜂は、働きバチ」
と習ったことを思い出しました。

蜂のトラップをつくる人がいますが、4月~6月初旬の女王バチをとらえるのには、効果があるかと思います。でも、6月下旬以後はやめておいた方がいいです。逆に、周囲から働きバチをよびよせてしまいます。
4月から6月中旬までに仕掛けておいて、そこで終え、回収してしまうのがいいですね。それだけでも、周囲にでかいスズメバチの巣ができたり、ぶんぶん飛び回ったりすることにはならないでしょう。・・・と思います(=_=)。

昆虫のことを教えてくださる師匠によれば、
「蜂はみんな人類の味方だ」
とのことで、ミツバチはおろか、アシナガバチも害虫を食べてくれる益虫だし、スズメバチも生態系をまもってくれている益虫だそうで、
「蜂の巣を退治するのは、本当なら必要がない」
と言ってました。

そうして興味をもって調査していると、自宅の庭に、けっこうな数の蜂が飛んでくることがわかりました。どうも、ここいらに巣をつくろうとしているのではないだろか・・・。

嫁様の依頼もあり、結局トラップをつくることにしました。連休ならではの取り組みです。

そこで、効果的な蜂トラップの作り方を、小学校の理科専科の先生に電話で聞いてみました。

「いれものは何がいいですか」
「ペットボトルがいいんじゃない。大きさは何でもいいよ」
「500ml でも、2Lでも、どっちでも?」
「大きさなんてなんでもいいよ。どんな大きさだってとれる」

どうやら、大きさはなんでもいいそうです。

「ああそうですか。じゃあ、何を入れるのがベストでしょう?」
「なんでもいいよ。あまいやつ」
「なんでもいい?・・よく酒とか焼酎とか聞きますが」
「酒なんて高いの、入れなくていいよ。ジュースで十分」

この理科の先生、理科の道をひたすら歩んできた天才的な人なのですが、
「なんでもいい」が口癖のようで、大きさも中身もなんでもいい、とのこと。
本当かなあ・・・(不安)。

わたしはこれまでに、蜂トラップというのは、焼酎を使うんだとばかり思っていた。
カブトムシは、バナナを焼酎につけておいたものが大好物で、数百メートル周辺から、カブトムシがそれへめがけて集まってくるのだ、ということを聞いたこともある。

念のため、理科の先生に尋ねてみた。
「先生、焼酎が要ると思ってたんですが、本当にジュースだけいいんですか?」

すると、案の定、酒は不要、と断言する。

「だって、酒を蜂に飲ませるなんて、もったいないでしょう」
「たしかに」
「酒は自分が飲んだ方がマシ!酒は、人間が飲むもの!蜂にはもったいない!」

ジュースは何が良いかと聞くと、即答で

「ぶどうのなっちゃんがイイ。あれは果汁が20%あるし。保存料もつかってないから酸化してアルコール発酵しはじめる気もする。ミツバチは寄ってこないからさらによろしい」

だとのこと。
よろしいでしょうか。小学校というのは、なかなかの専門家がそろっているものです。
考えてみれば、国語の専門家もいれば、算数の専門家、そして理科、音楽、体育、社会、その他、人間生活のさまざまなことに関する専門家がいます。小学校、という組織には・・・。

その理科の先生のお墨付きです!
なっちゃん!ぶどう味!
これだけで、アシナガバチとスズメバチがとれるそうでっせ(伝聞)。
(本当かどうかは、これから実証試験してみます)

budou


ペットボトルの例)↓
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6年・理科 水溶液の学習・前半

「酸」と黒板に書く。

これ知っている?

すぐに出るのが、炭酸。

炭酸ってなあに、と尋ねると、

「ジュース」
「コーラ」
「メントス」
「しゅわしゅわする」
「あわみたいなやつ」

身の回りの「酸」について調べよう

と黒板に書く。

炭酸が出たから、すぐに炭酸のペットボトル(500ml)を出す。
この泡の正体ってなんだろうか。
どうやってしらべる?

火をつける。
吸ってみる。
飲んでみる。

理科の実験なので、飲んでみた感想を言い合うのでなく、物質そのものを調べたいんだ、と確認する。人間が感じた感想や思いに焦点はあてず、あくまでも物質としての事実、物質としての特徴を。

火をつける、が残る。

そこで水上置換で泡を集めて集気びんに集め、ふたをしてろうそくの火を差し入れてみる。

あっという間に消える。

「二酸化炭素じゃないの?」

1学期の既習事項が出てくる。
念のため、石灰水に通す。白く濁る。これは二酸化炭素だろう、ということが明らかになる。
このことから、みんなが炭酸と呼んでいる水溶液は、二酸化炭素の水溶液だということがわかる。



次に、また別な『酸』を調べよう、ともちかけると、

「クエン酸」というのが出た。

おそうじでつかう。
お漬物の色をきれいにするために使う。
などが出る。

では、クエン酸の水溶液をつくってみよう、ということで、水溶液をビーカーにつくる。
おそうじで、汚れが取れるやつだ、ということで、強烈なんじゃないか、とみんな考える。
「なにかをとかしてみよう」

そこで、黒板のチョークを溶かしてみる。
粉末をごく少量、試験管に入れて、そこへクエン酸の水溶液を入れてみると、あわが出る。
チョークの粉末はぜんぶ溶けてしまった。

「酸には、ものを溶かす働きがあるかもしれない」

念のため、ふつうの水も用意して、こちらにもチョークの粉を入れてみる。
まったく溶けない。

「やっぱり、ものを溶かすんだ」

たくさんのあわが出てきたので、あわの正体はなにかと問うと、

「二酸化炭素かなあ」

ついさっき、炭酸水からは二酸化炭素が出てきていたから、みんなそう考えるらしい。

そこで同じように石灰水に通すと、白く濁る。

「おお、二酸化炭素だ!」

クエン酸水溶液のような水溶液を、「酸」の水溶液というのだと確認する。
リトマス試験紙でしらべて、青いリトマス紙が赤くなることを見せる。
ふつうの水だと、青いリトマス紙は青いままである。

さて、クエン酸には炭酸カルシウムが溶けたので、炭酸水でも溶けるのかどうかを実験する。
すると、あまり溶けない。わずかに小さな泡が見える。
弱い酸性なのである。

ちなみに二酸化炭素そのものは酸性なのかどうか。
予想させてみると、みんな「酸性」なのだろう、という。
炭酸もクエン酸も、二酸化炭素が関係しているらしい、と思っている。
だから、CO2を拭きかけたら、色が変わるのではないか、と。

ところが、直接吹きかけてもなんら変化しない。

「あれ?」

となる。
「ちょっと待って。正確にはCO2の気体そのものが酸性とはいえない、ということだよね」
「ああそうか。水溶液にしないと」

そこで、ビーカーの底に青のリトマス紙を水でぬらしてくっつけて、そこへ向けて二酸化炭素のボンベからCO2を吹き付けてみると、見事に赤くなる。
二酸化炭素は、『水溶液』にしてみると、やはり酸性なのである。

bika

さあて、2学期や!!【6年理科・食物連鎖】

2学期が怒涛のように始まり、体重がすでに3キロ近くやせております。
いいのです。夏休み中に増えてたから。

それにしても、年齢が年齢だからか、業務が多くて大変だと思う。
気が付くと、職員室の机の上に、文科省から教育委員会から、企業から大学から、市内の他校から、これでもか、というくらいに書類が届く。

わたしが係だから、しゃーないのですが、それにしてもこの業務量。

学校というのが、社会に対して開かれているから仕方のないことですが、『渉外』という係を、学校全体で正式に雇い入れたほうが良いと思うナ。
だって、わたしは担任だもの。授業だってあるし、子どものことを考えていたい。
文科省からのセミナーのお誘いや、大学からの依頼や、企業からのPRなんてのは、それがいったいどういうものか、を見極めるだけでも時間がかかる。こういうのを、精査してくれる係がいたほうが、いい気がするなあ。

愚痴はここまで。


さて、授業が楽しいのであれこれと作戦を練っています。

理科は、生き物と植物とのつながりがテーマ。

どんな授業にしようかなー、と考えるときが、もっとも楽しい時間である。

おまけに、そこにカフェオレがあれば最高だ。

じっと目を閉じて、授業の展開を考える。

ゴールはどこだ。

ゴールに至るまでの道筋は、どのくらいカーブさせるか、変化させるか。

授業開始15分ごろの教室の様子を、思い浮かべる。
30分後、45分後・・・。


見えた!


生物は、なにかを食べて生きている。
そして、多くの生物は、最終結果として、植物を食べていることになる。
さらにすすめていくと、植物の体を構成するエネルギーは、太陽エネルギーだ。
われわれは、ソーラーパワーで生きているのだった。


これを2時間かけて、授業する。


今日の発問は、コレ。

「ある島にラッコがいました。そして、魚をとる漁師もいました。漁師は何年もここで魚を獲って暮らしているのですが、しだいに魚が減ってきていることに気づきました。魚が減ってきた原因が何だったのか、想像してください」

生物は、なにかを食べて生きているんだった。
これを思い出してから、子どもたちは考えを進めていく。



イラストを黒板に書く。

海。

島。

魚。

そしてラッコ。



・・・


子どもたちから、ラッコについて確認事項がでる。

「まず、ラッコが何を食べるかを知りたいです」

「ラッコは、海中にもぐって、ウニやカニ、貝などを食べることが多いです」

「うーむ」



ラッコが魚を食べすぎた、というわけではなさそうだ・・・???



日本人がクイズが好きなのは、小学校でこんなことばっかり考えて育ってきたからではないかと思うね。

rakko

【6年理科】消化のしくみとはたらき

本時の授業は、消化管の授業である。
実際には魚の解剖などができると良い。
その前に、消化管や消化のしくみそのものに興味をもつために、本時の導入を行う。
学習問題をたてつづけに4つも出すので、一つひとつをテンポよく、次々に出して行う。

【学習問題その1:動物によって食べるものは決まっているか】

・きまっている 17人
・きまっていない 10人
・きまっている動物ときまっていない動物がある 8人

「ほとんどの動物はきまっていると思う」
「たとえば、うちの金魚はニンジンを食わない」
「うちの文鳥も、ニンジンは食わないと思う」
「おれも食わない」「つかさ君は人参食ったほうがいい」
「うちの犬はなんでもくうような気がする」
「カラスはなんでも食いそうだなー」

理科動物の食べ物と量
【学習問題その2:肉食動物の口のつくりと草食動物の口のつくりはちがうだろうか】

・ちがう 35人
・おなじ 0人

「犬歯とかあるから」
「人間にも犬歯あるよ」
「アリクイには犬歯がないらしい」「なさそう」「まじか」「アリクイってなに?」「アリ食うやつだ」「蟻だけって・・・そんだけじゃ、足りなくね?」「大量に食うんだよ」「えー、蟻かわいそう」

ライオンの口のつくり
馬の口のつくり
猿の口のつくり

【学習問題その3:シロナガスクジラは大量のオキアミを食べるが、口のつくりはどうなっているか】

・ペリカンみたいにすくいあげてると思う
・海水といっしょに飲む(で、その後に吐き出す)

「いっしょに吐き出すときに、オキアミも出ちゃうじゃないの」
「なんか網みたいなのがあって、それで濾してると思う」
「網じゃなくて、ヒゲ、というか、口の中に生えている頑丈な毛みたいなので濾す」

【学習問題その4:肉食動物と草食動物の腸の長さはちがうだろうか】

・ちがう 35人
・同じ 0人

どちらが長いだろうか。

・肉食動物 10人
・草食動物 25人

「だって、人間だって肉を食い過ぎると胃がもたれるし、消化できないから、肉食の方が長いんだよ。時間がかかるから」
「草の方が消化に時間かかりそう。牛とかは、けっこう固い草みたいなのを食べるから」
「どっちかな」

はい、ヒント。生まれてしばらくは草食動物で、大きく育つと肉食動物になる生き物がいるよ。

「カエルだ!」

そうだね。では、どちらが長いか、資料をどうぞ。

おたまじゃくしの腸2

(まとめ)
カエルよりもおたまじゃくしのほうが腸は長い。消化管は、消化にかかる時間が長い草食動物の方が長いということが分かった。体のつくりも、口のつくりも、食べ物によってかなり違うことがわかった。食べ物を食べやすいように、生き物の身体はつくられている。


【6年理科】ヒトは空気を吸っているがなぜか

びんの中に、空気を入れて、ふたをして、その中で火を燃やすと⇒しばらく燃えているが、そのうちに消えてしまう。

酸素がなくなっていくからですが、子どもたちにとっては、「ふしぎなこと」です。

何度かやってみますが、やはり、消えてしまう。

ところが、ふたをしないと、ずっと消えないのですね。

比べてみると、「うーむ、なんでだろう」となる。

なぜ、ふたをした方だけ、火が消えてしまうのか・・・。


調べてみて、石灰水が濁ることや、酸素の気体検知管を用いて分かっていく。

1)酸素が減った。⇒だから燃えることができなくなった。
2)おまけに、二酸化炭素が増えた。

どうやら、酸素が減ることと、二酸化炭素が増えることが、ほぼ同時に起きるらしい。


さて、ヒトの身体についても同時に考えていきます。

息をする。
具体的には、空気を吸う。

学習問題:この空気は最終的にどうなるのか?

「吸ったものは、また吐く」

どうせ吐いてしまうのなら、最初から吸わなくてもいいのでは?

いや、なんか必要なんだよ、たぶん・・・。



図解する。

空気を吸う。

口から入る⇒ 肺に入る。

「そこまでは分かる」

肺に入ったら、どうなるのか・・・。

「また、そこから出るんだよネ」

出る空気(吐く息)と、吸う空気と、ちがうものなの?


「おんなじじゃね?」
「えーっ!?」
「じゃあ、なんのために息を吸うの?」

呼吸する人


Rくんがビニール袋に口をつけて、ゆっくり5回、息をしてくれる。
ふくろの口をしばり、その中に石灰水を入れてゆすると・・・

あ、白く濁った。

つまり、二酸化炭素が増えたってことか!

吐く息には、二酸化炭素がたくさん含まれていた。


細かく見ていく。
空気は肺の中に入ると、さらに細かく枝分かれした気管支の中に届き、最終的にはきめこまかな小さな糸のような先に到着し、『肺ほう』と呼ばれる極小の袋にたどりつく。

肺胞
その袋の中で、空気はどうなるのか?

「また、そこから出ていくんだよネ」
「なにもしないで、出ていく?」
「なんか、そこの二酸化炭素と入れ替わって、二酸化炭素だけ出ていくのじゃない?」
「その二酸化炭素はどこからきたか」

たぶん、そこに、二酸化炭素を出す、なにかが居るんだよ、たぶんだけど・・・
こびとのイラスト
Tくんが、小さなイラストを黒板に描いた。

ここになにかがいて、吐く息の中に、二酸化炭素をまぜるんだよ、きっと・・・。

なるほど、二酸化炭素の運び役、渡し役、みたいなものか。

せっせとコビトたちが、二酸化炭素を肺ほうの中で運ぶ。そんなイメージが湧いた。

「なるほど。たいへんだねえ」

「しかし、その二酸化炭素が、そもそもどっから来たのか・・・」


「ああ!」

ふだん冷静なEさんが、ひらめいた、というような顔をしてつぶやく。

「この、コビトみたいなのも、呼吸をしているんじゃない?」

ああ、そうか・・・。




このコビトみたいなのが大勢いて、いっせいに、外から入ってきた空気を吸う。

そして、息を吐く。そのときに、二酸化炭素が混じるのだろう。

納得したような空気とともに、よくわからない照れたような笑いが教室を包み込む。

「え?じゃあ、このコビトの肺の中は、どうなってるの?」

思わず、Oさんが大声で言うと、イラストを描いたTくん、

「またそのコビトの『肺ほう』の中に、さらに小さなコビトがいて・・・


・・・そんなわけないだろ、な。




えー・・・

考え込むみなさん。

黒板に、かんたんな、図を描く。

「肺ほうのまわりに、実はこういう道がありまして・・・ずっとこの道は、肺胞をぐるりととりまいています」
肺胞のガス交換

この道を、なにかが、通っていますが・・・


そこまで言うと、


「ああ、血液だぁ!」

ようやく、教室が安堵の空気に包まれます。


酸素はこの血液中に溶けていき、二酸化炭素が肺胞に取り込まれて、交換される、というわけで。

二酸化炭素を運んでいたのは、コビトじゃなくて、赤血球、でしたね。

体内の赤血球の総数はおよそ20兆個。
骨髄では毎日2000億個弱程度の赤血球が作られている。
寿命は約120日。120日の間におよそ20-30万回に渡って体を循環して酸素を供給。
赤血球は体の隅々の細胞にまで酸素を供給するため、柔らかく非常に変形能力に富み、自分の直径の半分以下の径の狭い毛細血管にも入り込み通過することができる。

4年理科・空気のあたたまり方

.
問題:暖房した部屋の空気を測ると、場所によって違いがあるだろうか。

①ほとんど同じ
②Aの方が高い
③Bの方が高い

理科実験空気のあたたまり方



先に、金属のあたたまり方、そして水のあたたまり方、を学習している。

1)金属では、徐々に火元に近い部分から熱が伝わり、周辺へと広がっていく。
2)水では、あたたかい水が周囲の水よりも軽くなり、上へあがっていく。

今回は、金属でもなく、水でもない。空気のあたたまり方、を調べている。

1)の金属の学習を思い浮かべる子は、問題の答えを、Bだと答える。
なぜなら、近いから、である。実際にイラストを見て、ストーブからの距離を測ると、あきらかにAよりもBが近い。だから、と考えるのである。

2)の水の学習を思い浮かべる子は、逆に答えをAだと答える。
空気も水のようにあたたまると、周囲よりも軽くなって上へあがっていくんだ、と考える。


4年生では意見が分かれる。
なんとなく、空気も水と同じと考える子が少し多い。

「先生、家でもね、2階にあがるとちょっとあったかいんだよ」
「ストーブでやかんを上に置くでしょう」
「それは、ただ単に置きやすいからなんじゃないの」
「電子レンジの上は別に熱くないよ」
「ああ、そうか」

みんな、なんとなく混乱している。
小学校では、なんとなく全員、混乱しながら授業が進むのである。
だから、教員も、子どもたちに合わせるべきである。
教師もどことなく不安そうな表情を浮かべつつ、
え、ちょっとちょっと、えー、どゆことなんだろうか・・・
という顔で、授業を進めるのがヨイと思う。


一人が、気球のことを言った。
なんと、その子は、以前、気球に乗ったことがあるんだそうな。

「すごいうるさい音でずっと火が燃えてたけど、中の空気をあたためて軽くする、みたいなことを言ってた気がする」

うーん、なるほど。
kikyuu


実際に、みんなで測ってみよう。
全員分、合計40本の温度計を理科室から借りて来て、一人ひとり、全員に持たせた。
教室のストーブを焚いて、実験開始。

まずは、B地点。思い思いに、自分の席の周り、地面にすれすれのところを測る。
床に座ったからか、なんだか冷たい気がする。
「けっこう、寒いよ」
「すーすーする」
「廊下のドア、も一回、ちゃんとしめて」
なんだかお互いに、いろいろと言い合ってる。


次に、A地点。
どうやって測ろうか?

「みんなで自分の机の上に立って、ばんざいして測ろう」

そうする。




すると、ネ。

もう机の上にたった瞬間に、子どもたち、げらげら笑いだしました。

だって、机の上に立って、ばんざいしたら、わかっちゃったもん。

「すげえ。教室の上の方のくうきって、あったか〜い」

みんなで腕をバサバサ振って、このへんの空気、あったかいー、としばらく笑い合う。

ここまでで、ちょうど45分。

理科・ヒトの骨盤はどれだろうか

人の骨盤


1)自分の考えをノートに書く。

2)班で相談する。

3)班で一番多かった答えを発表しあう。

4)クラス全体で討論。

5)理由を言えたら拍手。

6)次の資料を配る。

人とゴリラの全身骨格2

7)骨盤に色を塗る。

8)もう一度、さきほどの資料を見て、確認する。(ヒトは、一番右)

9)なぜ人の骨盤は、縦に小さくて、横に拡がったのか、考える。

「歩きやすいから!」
「体重を支えやすいから」
「ゴリラが縦に長くて丈夫そうなのは、ななめに上半身を持ち上げなければいけないから。ヒトは、まっすぐ上に体重を乗せているから、上の物を落とさないように、バランスよくお皿みたいになった」

10)ゴリラのななめになった上半身を支えるのを、柄の長い箒(ほうき)でやってみる。

クラスの子が長い箒を逆さに持ち、
ななめにして、下から支えてみると、

「お、重いです」

ナナメだからね。
しっかり持っていなきゃ、すぐに箒が落ちそうになる。
ところが、真下を持って、まっすぐ上に向けて立てると、軽くなる。

「真下で支えていれば、スッと軽く持てる。そのかわり、バランスが必要」

11)ヒトはどう進化してきたのか、まとめを書く。
ヒトは、立って歩くために足の骨にアーチができて、体重を支えるように進化した。
足と同じように、骨盤も、立って歩くために足を動かしやすく、上半身を
支えやすいように進化してきた。



最近の授業は、やってて、面白いなー。
子どもの反応がいい。

「合っている、もしくは、正解だから良いのだ」というのが、だいぶ薄れてきた。
発言しにくかった子が、どんどん発言するようになってきた。

「いろいろなことに気付いて、可能性を見つけたり、理由を考えられたりするのがすごい」
というふうに、すこうし、変化してきている気がする。
そのためには、理科や社会の授業がいちばん効き目があるように思う。

『知らないことを習っているのだし、あれこれと考えているのが面白い』

という感じなのが、イイね。

理科・ひとの体 足の骨をくらべよう

.
人間の足の骨と、
オランウータンと、
キツネザルの足の骨、を比較。

人の足の骨比較

最初は、図のみ見せる。
【学習問題】
ヒトの足の骨はどれでしょうか。
そう考えた理由をできるだけくわしく発表しよう。

意見は割れるが、1番上だというのが多い。

理由は様々であるが、
A) いちばん上の骨以外は、指の先の骨が細くなっていて、
   丸くふくらんでいる気がする。
   ところがいちばん上の骨は、ふくらんでいない。
   今さわってみたが、自分の足の骨はふくらんでいない。
   それはたぶん、地面を歩きやすいからだと思う。
   だから、ひとの骨は、一番上だと思う。

B) ヒトの骨は、いちばん上だと思う。
   いちばん平らで、地面を歩く感じがする。
   その他の骨は、親指の骨がかなり離れてくっつき、
   たぶん、そのおや指で、木とか枝とかをはさむんだろう。
   だから、猿じゃないかな。

この二つとも、視点が骨のくっつき方にあり、
理由がしっかりしている。
だから、このような理由がかけていれば、評価としては高くなる。


その後、骨格標本をみると、やはり一番上のものに近い。
だから、こたえは、いちばん上、である。

その後、図の、この部分に注目させる。
人の足の骨比較


ここって、どうなってる?
さわってたしかめてみよう。

すると、
「へこんでいる」
「くつしたが汚れているけど、ここらへんだけ、あまり汚れていないよ」
という声が出る。

これを土ふまず、というのだ、と確認する。

次になぜこうなっているのか、を考える。

猿の足の骨は、土ふまずらしきところがないことから、
人間は歩くからだろう、という考えが出てくる。

「でも、なんで歩くからって、土踏まずがあった方がいいのかな?」

とくいさがって問題提起してみると、

「バネみたいになって、歩きやすいから」
「クッションのやく割なんじゃないかな」



アーチ型、というのがもっとも上からの衝撃に強いのだ、ということを確認する。

画用紙を丸くたわませてから、上に消しゴムをのせても、びくともしない。
しかし、ただの平たい画用紙の状態だと、消しゴムの重さでも、たわんで下に落ちてしまう。

hitono


さい後に、人の足の骨がどうしてこういう形になっているのか、
できるだけくわしくノートに書いて、発表。

先生が骨格標本をもってきて、みんなで見た。
足の骨はアーチ型になっているので、重くても大じょうぶ。
足の裏をみると、真ん中だけ、くつ下が白かった。
土踏まずがあって、汚れていなかった。
なぜ土踏まずがあるかというと、アーチ形はじょうぶだから、
2本の足で立った時も、重くても大丈夫なように。
猿は木に登っているし、腕でつまかるから、腕が強い。
でも人はずっと2本足で立つから、足が強い。
そういうふうに、進化してきた。

月を見ようぜ!!

.
満月を見たことある人?

はあい。

全員が挙手。

三日月を見たことがある人?

はあい。

これも全員。



4年生で、月の学習をします。
◎月は、日によって形がかわってみえること。
◎月は、時間によって、位置が変わり、動いて見えること。



月の観察。

本当は、全員で、見たいのです。

夕方や夜になってから、月がきれいに見える日に。



「学校で、みんなで見られると良いんだけどなぁ・・・」

ところが、昨今の小学生はみんな

ならいごとをたくさんしていて、学校で夜のイベントを催すことがしにくいですな。

昔、自分が子どもの頃は、夜に学校の校庭で映画を観たり、

日曜日に、紙飛行機をとばす大会をしたり、

あれこれとやったもんだけど・・・

当時と今とでは、子どもの人数が違いますので。





月に興味を持ってもらいたいので、月の模様の話をしました。

教室のテレビにでかい満月を映しました。

クレーターで、くっきりした明暗が見えて、模様がはっきりわかります。

「むかしの人は、これがうさぎの模様に見えたって」

「知ってる!!」


ところが、どこがうさぎの耳なのか、議論が沸騰する。

こう見ると、どうみても立ってるのですが、

usagi


ところが、すこし回転させると、

月の模様


これを、横っ飛びに跳ねているうさぎだとみる子もいます。

「先生、これ、ぴょーんって、左に跳んでるんじゃないの?」


なるほど。


それだけで、5分以上、みんなでワイワイとやります。

月に模様がある、ということが、こんなにも小学生には嬉しいんです。




授業の終盤で、

「今晩、全員、月をみようぜ!」

「オーッ!!」


これで今日の授業の目的は、なんとか達成です。

【4年理科】夏の大三角形でロマンチックな学習に

.
① 七夕伝説って知ってる?

七夕の話。
だいたい、なんとなく知ってる。
知らない子もいる。

そこで、織姫と牽牛の話をする。
一年に一度、会える。

8月、夏休みの後半、夜、空を見てみると、
織姫と牽牛が、ちょうど真上にみえる。
夏の大三角形が、天球の真上に見える。


② 教科書にある、「夏の大三角形」の意味を知る。

教科書の「夏の大三角形」を、ノートに写す。
星に名前がついていることを確認する。
大きさや明るさが微妙にちがっていることを確認する。


③ 星座早見を渡す。

星座がたくさんあることを知る。
星座をみつけて、ノートに箇条書きにしてみる。
速い子は、5分程度で40個ほどもみつけて、書いている。
星座とは、夜空に絵がうかびあがるのではなく、星と星とを人間の想像で
線でむすぶと、形がイメージされてくる、ということを知る。


④ 今晩の夜空を印刷しておく。

今晩の夜空(インターネットで検索可能)の天球図を印刷しておき配布する。
子どもたちにはさみで切り取らせ、ぼうしのようにかぶらせる。
方角と星の位置をみんなで確認する。
「これ、今晩の夜8:00の、星の位置なんだよ。その時間だけしか使えないけど」
「え、そうなの」
「なんだ。じゃ、夏休みは使えない?」


⑤ 星座早見が、日時や場所を問わず使えることを知る。

星座早見の使い方を伝える。
日にち、場所の確認方法を伝える。


⑥ さそり座にまつわる神話を話す。

暴れん坊のオリオンに怒って、大地の神ガイアがさしむけたのが毒サソリ。
サソリが毒針でグサッとひとつき、あわれオリオン命をおとす。

その証拠に、オリオン座は、サソリ座が夜空にあがってくると、西の空へと隠れてしまう。
「今でもオリオンは、さそりから逃げつづけているって話なんだって」

早見をぐるぐるとまわして、みんなでさそりとオリオンの追いかけっこを楽しむ。
さそり座の赤い目玉が、「アンタレス」という星だということを知る。


⑦ こと座のベガを知る。

竪琴の名手、オルフェウスが最愛の妻を亡くし、さまよううちにその琴(こと)とともに、夜空にあがって星座になった伝説。
「大神ゼウスは、オルフェウスの琴を拾い上げて、夜空に浮かべました。星たちがその琴をとりまいたとき、ふたたび琴が美しい音色を響かせ始めます。静かな夜には、今でもオルフェウスの琴から、うつくしい調べがきこえているそうです。」

⑧ 星座早見を光らせる。

星座早見が光るので、太陽光にあててから、部屋の電気を消し、カーテンで暗くする。
蛍光塗料が塗ってあるらしい。
星座が光ると、

「わー、さそりが光った!!」

しばらくしてまた電気をつけて、 みんなの様子をみる。
興奮状態。

再度、部屋の電気を消すと、さっきよりも目が暗さに慣れてくるのか、

「あ、もっと見える!」
「星、光ってる!!」



このあと、もっと星の勉強したいねえ、というと、みんな

「うん、明日もやろう!!」

4年生って、ロマンチックな勉強ができる学年だねえ。


seiza08_sasori

テントウムシで学ぶ

.
てんとう虫って、知ってる?

というと、なーんだ、そんなのみんな知ってるよ、と言う。

では、漢字で書いてごらん。

えーっ!!

「なーんだ、知らないじゃないの」



その後、

Yくんが、懸命に言った言葉が、衝撃でしたネ。


どんな虫か、見たことはあるけど、
どんな虫なのか、というのは、知らないよ。


知ってる、とか、知らない、とか、
難しいねえ~。
知ってるけど、知らない、というのです。



じゃあ、班のみんなで予想を決めて、書いてください。

わたしは黒板に、9つの枠を書く。

クラス全員で9班。

それぞれ、自分の班の意見を書きにくる。
4人の意見を一致させないといけないので、喧々囂々とやっているが、

「あと1分です」

というと、何とか仲間うちで折り合いをつけ、案を一つに決めてくる。


1) 点灯虫
2) 点頭虫
3) 点登虫
4) 点十虫
・・・



各班、それぞれ『点』という字を使っている。

ここで、わたしは朝捕まえておいたテントウムシを、かごから取り出す。

「あ、テントウムシ!」

いいですか。

この虫の、動きをよく見ていてください。

わたしはテントウムシを指にのせて、それから割り箸をのぼらせた。

てんとう虫は、勢いよく、わりばしをのぼっていく。

一番てっぺんにきたところで、わたしはわざと、わりばしをひっくり返す。

てんとう虫は、今度は一番下になったわけだが、負けじと向きをかえて、

ふたたび、わりばしを登りだす。


わかった!!!!

先生、わかった、わかった、ハイハイ・・・

子どもたちが、ほとんど全員、言いたいらしく、挙手してこちらを見ている。

教師は、こういうとき、心臓が止まりそうになります。

子どもの目の力、視線の力って、すごいですからね。



「では、やっぱりこうだ、と思う意見に、書き直してよいことにします」


言い終わるやいなや、子どもたちが前へ出て来て、
すごい勢いで、漢字を直し始める。

1) 点登虫
2) 点登虫
3) 点登虫
4) 点登虫
・・・


みんな、さっきの予想を消して、点登虫、と書き直した。


全員座って、わたしに、さもこう言いたげな様子。

どう?わたしたち、全員、合っているでしょう!

ニコニコ。




わたしはにやり、と笑って、



という字に、

×

をつける。

えーーーーーッ!!!



悲鳴ですな。

絶叫、と言ってもいい。


「もう一度、字を直してもいいです」


すると、またもや班の4人で、喧々諤々、あれやこれや、と言い合っていたが、

一つの班が、

「天登虫」

と書いた。


みんな、それを見て、

おおおう!!!!


という雰囲気。

あっという間に、黒板が、

天登虫


でうめつくされる。



そこまで言ってから初めて、


では、正解を書きますよ。

天道虫


黒板に書かれると、なんだ、それかー・・・、ため息がもれる。


ほら、おてんとうさまって、言うでしょう?

うんうん。

この虫はネ、いつもおてんとうさまの方へ、行こう、行こう、としているようだから、

昔の人が、「天道虫」って、つけたみたいだね。


次の時間、みんなで見つけに行くぞ、と言うと、

さっきまで、暗い顔をして、

「うち、虫きらあい・・・」

とつぶやいていた女の子たちも、

やったーっ!!

となりますが・・・

女の子、気分がころころ変わりすぎッ!!
人間の心って、不思議~ッ!!

天道虫

卒業前に、おもしろ理科実験【ホントはどうかな?】

.
100V電源につないだ、テスターを用意する。
回路には、40Wの電球、および 5Wの電球がつながれている。
電気が通じれば、電球が光る仕組みだ。


回路の途中に、さまざまなものを挟んでみる。


①金属スプーン

「スプーンを、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」

予想をノートに書かせる。
となりの友達にも、書いた予想を見せて、お互いに確認させる。

「では、やってみます」

電気がつうじて、電球が光る。

「光りました。ノートに、金属スプーンは電気を通す、と書きなさい」

②10円玉

「10円玉を、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」

これも予想を立てさせる。
ほとんどの子が、光る、と書く。
やってみると光る。結果を書かせる。

③1円玉

これは、意見が分かれる。
同じようにさせる。
光る。
ノートには、『1円玉は電気を通す』と書かれることになる。

④5円玉
⑤100円玉
⑥1000円札

「紙は電気を通さない」
「お金のインクも電気を通さない」

⑦アルミホイル
⑧銀の折り紙
⑨金の折り紙

「金色の折り紙は、やすりでけずって銀色にすると、電気を通す」

⑩お菓子の材料の【アラザン】

「これは砂糖の粒の表面に、銀が塗られています」

⑪銀色のマーカーで書いた線

ここまでで、まとめを書かせる。
ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。

金属は電気を通す。銀色のものが多い。金属では自由電子が動くので、電気を通すことになる。銀色の顔料マーカーは、アルコールが主成分の顔料だから、電気を通さない。


⑫えんぴつの芯

鉛筆をどろぼう削り(両端を両方とも削る)にして、両極から電気を通してみる。

「金属は電気を通しますが、グラファイトとよばれるものも、電気を通します」

ちなみに、鉛筆で回路を描くと、その芯の線上には微量だが電気が流れる。
このことから、鉛筆で書いた安価な電気回路もできると思う(思うだけ)。

⑬カレー(麻布十番ビーフカレー、というやつ)

麻布十番ビーフカレー、というカレーが売られている。
買い物中、なんだかピカピカ光る箱があるので、よく見てみると、カレーの箱だ。
ロゴの部分が、ピカピカしてる。
「通電するんやないやろか」と怪しみ、買ってみた。
その箱のロゴの部分、けっこうメタルな色である。これに、電気が通るか?

麻布十番カレー

これ、見事に電球が光る!(ちょっと、オドロキ!)


⑭レモン

「カレーのついでに、果物を買ってきました。果物には、電気が通じるでしょうか」

これは、なんだかみんな通る、と確信している。
なんで?と聞くと、
「すっぱいから。すっぱいものは、電気を通す。だって、ポカリスエットは電解うんたらって言うし」

結果、見事に通電!

⑮グレープフルーツ
⑯バナナ
⑰きゅうり

「野菜はどうでしょうか」

⑱ナス
⑲じゃがいも

ここまでで、さらに突き詰めて書かせる。

ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。

金属とグラファイト、そして野菜や果物は電気を通す。


教師「金属は、もともとどこにありましたか?」

子「地面の下。土のなか」

教師「そうですね。グラファイトも、山の中の天然の鉱物から採れるものです」
では、じゃがいもはどうですか?」


子「土の中です」

教師「果物も、土の中から栄養分を取り入れて、実がなったものですね。
では、再度、さらに突き詰めて、書いてみてください」


金属とグラファイトはどちらも地面の下や土の中からとれるもので、電気を通す。また、野菜や果物も、土の中から栄養を取り入れていて、電気を通す。


教師「では、野菜を食べている人間は、電気を通すでしょうか」

子「通す。だって感電する」

教師「そうだね。実験したいけど危険だからやりません。その代わり、肉に通してみよう」

⑳肉(魚)

イワシをまるごと一匹買い、アタマと背中に電極をさした。
・・・通電。(無事に光る)

教師「海や土で出来た物を食べているから、動物も魚も人間もみんな電気を通すのでしょうかね?」


「では、土って、電気を通すでしょうか?」

⑳土を溶かしたどろ水

「では、ただの水は、電気を通すでしょうか?」

㉑水道水

最終的な結論と、明らかになったこと、自分自身でこれはそうだ、と
言えることを考えて、最終的な自分の結論を書かせる。

【結局、どんなものが電気を通すと言えるのですか?】

「地球の自然界、土や海で自然に出来るほとんどの生もの(ちょっと水分のある感じのもの)、そして金属やグラファイト、が電気を通す」

最後に感想を書かせて、終わり。

ジェットストリーム

【6年理科】水溶液~酸とアルカリ その3~

.
塩酸が強力な、酸性を示す水溶液だということを知った。
塩酸とは、塩化水素が溶けた水溶液だ、ということも教える。
塩化水素は、気体である。
塩酸は、「塩化水素水溶液」ともいいかえることができる。
ただし、塩素水(えんそすい)とよばれる、別の水溶液もあるから、これは区別する必要がある。

前回までの実験で、塩酸はマグネシウムを溶かし、水素を発生させることを学んだ。
次は、さらに別の金属が溶けるかどうか、である。

用意したのは、亜鉛とアルミニウム、である。

1・塩酸にアルミニウムや亜鉛や銅を入れると溶けるだろうか。

塩酸の入った3本の試験管を試験管立てにたて、それぞれにアルミニウム、亜鉛、銅を入れ、それぞれの金属が塩酸に溶けるかどうか、調べた。

アルミニウムと亜鉛は溶けるが、銅は変化が無いように見える。
しかし、細長い銅板の、下半分だけを塩酸につけておくと、なんだか色がきれいになったっぽく見える。
つまり、塩酸で、銅が溶けるところまではいかないけれども、なんだかサビのような黒ズミは、きれいに落ちるのである。

このことから、金属の中には、塩酸でも溶けない金属があること、そして、その金属の表面のさびやよごれは「その金属そのもの」ではないことから、さびやよごれは溶ける場合があることを説明する。


さて、ここから、酸の世界をとびこえて、アルカリの世界に入る。
ここまでで、子どもたちはかなり、「酸のはたらき」については、自信を持ち始めている。


2・この水溶液が酸の水溶液であるかどうか、どのようにしらべたらいいだろうか。

目の前に、白い顆粒の水酸化ナトリウムを見せる。
そして、それを水に溶かしてみせる。
すると、とけて透明になる。
これは、水酸化ナトリウムの水溶液であるが、子どもたちには、名称もなにも教えない。

子どもたちは、なんだろうか、と怪しむが、これまでの実験の経験から、あれこれと判断できることに気付く。

「リトマス試験紙でしらべます」
「ものが溶けるかどうか、しらべます」


など。

そこで、青色リトマス紙をとりだし、つけてみる。
しかし、反応が無い。
色の変化がないから、なんだか拍子抜け、である。

子どもたちが迷いはじめたところで、実は、と赤色のリトマス紙をとりだす。

「ここに、別の種類のリトマス紙があります。色は最初、赤色です」

水溶液につけると、なんと、青く変わる。
ここで、酸性ではない水溶液であること、そしてこれをアルカリ性水溶液とよぶことを教える。

さらに、中性、とよばれる水溶液もあることを教える。
用意するのは、食塩や砂糖水である。
中性の水溶液は、青色も赤色も、変化しない。



ここで、リトマス紙を子どもたちに大事に1枚ずつ、配る。
ビニール袋に入れて、手でぜったいに触らないようにさせる。

3・宿題を出す。

「おうちに帰ったら、おうちの人といっしょに、台所にあるものをあれこれと見てみなさい。そして、水溶液のようなものがあったら、たのんで少しもらい、そこにリトマス紙をつけてごらんなさい。何につけたらどうなったのか、予想と結果を書いてきなさい」

title


台所の洗剤や、シャンプー。
CMでやってる、『弱酸性ビオレ』が本当に酸性か。
お母さんの化粧品はどうか、おじいちゃんの呑んでる養命酒はどうか。
子どもたちは、ありとあらゆる『水溶液』に、挑戦していく。
なかにはもったいないから、もらった1枚のリトマス紙を細かくして、4種類ほど試した子もいる。

なかにはやっぱり、雨水や雪につける子もいる。
今年の雨水は、ほとんど変わらなかったので、その子は

「雨水は中性でした」

と報告をした。

【6年理科】水溶液~酸とアルカリ その2~

.その1からのつづき。

9・炭酸カルシウムをクエン酸の粉末の上に直接おくと、溶けるだろうか。

「酸のはたらき」によって、カルシウムなどが溶ける場合があることが分かった。
わざと、子どもたちに、こう言う。
「ねえ、クエン酸の水溶液って、クエン酸を水に溶かしてつくったよね。
じゃあ、水で薄めるのではなく、クエン酸の固体、つまり粉末の上に直接カルシウムをのせたら、どうなる?」

この予想は面白かった。
溶ける・・・8人
爆発する・・・5人
溶けない・・・22人

まず、溶けるという子は、やはりクエン酸の粉自体に、ものを溶かす力があるのだ、という。
プラスチック容器は特別に溶けない物質だけど、クエン酸はカルシウムには強い、という意見。
つぎに、爆発するという子は、水で薄めても溶けるのだから、原材料のままであれば、さらに強力に溶かしてしまうだろうし、もしかしたら勢いが良すぎて、バンッ!ってなるかも、と言う。
最後に、溶けないという子たちは冷静で、溶けるというのは水分があるときに使う言葉だ、という。

やってみた。
こわごわのせてみたが、なにも変化が無い。
つまり、固体のクエン酸は、炭酸カルシウムを溶かすことはない。
「酸の働き」は、水溶液になった状態でのみ、はたらくのだ。


10・リトマス試験紙に二酸化炭素を吹きかけると、酸性になるだろうか。

リトマス試験紙に直接、スプレー缶からCO2を吹きかける。
すると、どうなるか。
子どもたちは、ほとんどが、反応しない、と言う。
なぜなら、「水溶液にしないと、酸性にならないと思う」から。
前時までの学習が生きている。

やってみると、たしかに反応がない。青いままである。
分かったことは、「二酸化炭素は気体では酸性とはいえない」。


11・リトマス試験を水で濡らして、二酸化炭素を吹きかけると酸性を示すだろうか。

今度は、ビーカーの底を水で濡らし、そこにリトマス紙を貼り付ける。
そこへ、CO2を吹きかける。
子どもたちの予想は、「赤く変わる」である。
おそらく、CO2の一部が炭酸水のようになり、酸性を示すのではないか、というのである。

やってみる。
すると、きちんと反応して、赤く変わる。

「え?水に溶けたのかなあ?炭酸になったってこと?」
と、声があがる。
分かったことは、「二酸化炭素は水に溶けると酸性を示す」である。


12・水に、二酸化炭素を溶かすことができるだろうか。

炭酸水には二酸化炭素が溶けていた。
であれば、水に二酸化炭素をまぜたら、溶けるのだろうか、と問う。

予想させると、溶ける、と考える子がほとんど。

三角フラスコに水を入れた後、風船をつけ、フラスコ内に二酸化炭素をボンベから吹き入れる。
すぐに風船で口をふさぐ。
フラスコをゆすっていくと、あらまあ、なんと風船が中に吸い込まれて行くではないか!

風船とフラスコ


これを自分の言葉でまとめさせる。
「二酸化炭素が水に溶けてなくなり、風船がフラスコに吸い込まれた。このことから、二酸化炭素の気体が水に溶けることが分かった」


13・塩酸(塩化水素水溶液)は酸のはたらきをするだろうか。どのように調べたらよいだろうか。

この13番目の課題が、もっとも大事な実験。
この実験の意味を理解し、実験の方法を自分で考案できるようになることが大事。
そのための準備が、1~12の実験であった。

自分の考えを書かせ、その後でしらべ方を確認する。
子どもたちからは、炭酸水の時と同じようなアイデアが出る。
炭酸水は弱い酸だったから、塩酸に炭酸カルシウムを溶かしても反応がないかもしれない、と考える子もいる。


☆子どもたちから出る実験の方法とアイデア

1 青色リトマス紙をつけてみて、赤くなるかどうか。
2 炭酸カルシウムを溶かすかどうか→(かなりの泡が出る)炭酸水より強い酸であることが分かる!

このときの反応が半端なく強いものであるので、
シュワー!!と泡が出る。

オオ!!!とどよめきが起き、「これ、強力や!!!」とみんな騒ぎ出す。

「これ、もっとすごいものが溶けるかもなっ!!」

と言い、マグネシウムの金属片を見せる。

子どもたちの目が、怪しく輝く。
「やってみる?」
「やるやる!!」


3 金属を入れてみる。

すると、なんと気体が出て、マグネシウムが溶けてしまう。
このことから、塩酸はものすごく強力な強い酸であることが分かる。

4 発生した気体をしらべる。

みんな、二酸化炭素だと予想する。
クエン酸のときも、炭酸の時も、どちらも二酸化炭素だったからだ。
やってみると、どうも石灰水が白く濁らない。
そこで、試験管に希塩酸を入れ、マグネシウムを入れて、出てきた気体を別の試験管をさかさまにふたのようにして上からかぶせ、集める。
試験管をさかさまにしたまま、火のついたアルコールランプの上にもっていくと、集めた気体に火がつき、ヒュッ! という音がする。これは水素であることを説明し、水素は燃える気体であることを教える。



ここまでで、6時間扱い。

【6年理科】水溶液~酸とアルカリ~

たのしい実験がつづく。
でんじろうになった気分だ。

「酸性」というのは、酸が水に溶けてできた水溶液があらわす、性質のことであります。
ほんとうはアルカリ、という性質についても、学習していくのですが、はじめは『酸』から。

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『酸』、というものについて、きちんと把握したあと、アルカリを勉強した方がよいのです。
これを、教師が面倒に思って、

「はい、酸とアルカリ、両方おぼえなさい!」
とやると、子どもはいつまでたっても、
両者をとりちがえたり、混同したり、特徴がこんがらがったまま、一生をすごすことになりかねない。

まずは、一つ。

一つを、徹底的に覚える。

すると、その対(つい)になる、アルカリのことなんて、するすると覚えてしまいますよ。
これが、コツです。

2つの、対になるものを覚えるときは、両方をいっぺんにやるのではない。
必ず、そのうちの一つを、徹底的にしらべて、「覚えたよ、マスターしたよ!」となるようにもっていくことです。
その自信が、次への歩みを、楽にしてくれるのです。



【酸のはたらきを知る授業】

はじめに、薬局で売っている、クエン酸を見せます。
クエン酸は粉状で、プラスチック容器に入っています。

クエン酸



質問します。

1・個体を水に溶かしたことがあるかどうか。

ほとんどの子が、溶かしたことがある、と答えます。

氷、ミルメーク、固まった絵の具、塩、砂糖・・・

完全に溶ける、というのは、透きとおる状態になることです。
塩や砂糖は、完全に溶かすことができます。


2・クエン酸は、水に溶けるだろうか。

予想させると、溶けそうだ、というのが多数。
実際にやってみると、透きとおります。
実験の結果、クエン酸は水に溶ける、ということが分かります。


3・水に溶けない炭酸カルシウムをクエン酸水溶液に入れると溶けるだろうか。

炭酸カルシウムが水には溶けない、という事実を確認した後、みんなで予想する。
水に入れても溶けないので、溶けないのでは、という子は半分くらいいる。
実際にやってみると、シュワシュワと泡をだして、溶けていく。
実験の結果、クエン酸水溶液に炭酸カルシウムが溶けることが明らかになる。


4・このとき出てきた泡の正体は、なんだろうか。

酸素だと思う・・・7人
二酸化炭素だと思う・・・10人
窒素だと思う・・・3人
他の気体だと思う・・・5人
空気だと思う・・・4人
わからない・・・6人

この泡を水上置換で集めて火を近づけると、すぐに消える。
念のために石灰水に通すと白く濁る。
この結果、泡の正体は、二酸化炭素であることが分かる。


5・炭酸水の泡の正体はなんだろうか。

泡といえば炭酸水を思いうかべる。
炭酸水を教室に持ち込み、泡を観察する。
この炭酸水には、なにが溶けているのか、と問う。

炭酸の素(粉末)・・・17人
メントスのようなもの・・・4人
分からない・・・14人

クエン酸の実験を思い出す子が多い。あんな粉のようなものが、なにか溶けているのだ、と考えるようだ。
そこで、炭酸水に固体が溶けているかどうか、調べてみる。
蒸発皿に炭酸水をたらし、アルコールランプで熱してみると、なにも残らない。
固体が溶けているわけではなく、気体が溶けていることを押さえる。
水溶液には、個体が溶けている状態のものだけでなく、気体が溶けた水溶液もある、ということ。
これは、子どもによっては衝撃らしく、
「気体って溶けるの?」
と、おもしろいつぶやきがある。

さて、炭酸水のペットボトルからチューブをのばし、泡だけを水上置換で集める。
ペットボトルを気長に揺らしていると、どんどんと気体が集まってくる。
火をつけた線香を近づけると、消える。
念のために石灰水にとおすと、白く濁る。
炭酸水の泡の正体は、二酸化炭素であることがわかる。


6.クエン酸水溶液は、酸性だろうか

リトマス試験紙の色の変化をみる。
やってみると、赤く変化した。酸性である。


7・炭酸水は、酸性だろうか。

予想させると、酸性、という子が多数。
クエン酸から出てきた二酸化炭素、そして炭酸水の泡も二酸化炭素。
なにか、共通しているのではないか、という。
調べてみると、すこし薄いが色がたしかに変わる。
炭酸水は、弱い酸性であることがわかる。


8・炭酸水は、クエン酸のように炭酸カルシウムを溶かすだろうか。

やってみると、微妙だけども、わずかに溶けていく。
「あ、溶けてる!」
「でも、泡が少ししか出ない」
「弱いね。なんだろう」
「クエン酸の方が強かった」
「炭酸は気体だからね」
「やっぱ、固体が溶けていないからかなあ」

実験する時は、水に炭酸カルシウムを入れた物を横におき、差を比べられるようにする。
わかったことは、炭酸水も炭酸カルシウムを溶かす、ということ。
これが、「酸のはたらき」である、とまとめる。


つづく

「こんぶよ、今まで、馬鹿にしてきて、すまん」

.
理科を教えていると、教科書の図に、あれ、と思うことがある。

たとえば食物連鎖などの図で、頂点にたつのは鷹のような猛禽類であったり、人間であったり、シャチやヒグマ、ジャガーのような大型の哺乳動物である。

その図だけを見ていると、いかにも頂点に『君臨』するような感じ。

食物連鎖の図

ところが実際それは、「君臨」とは別物だ。

その証拠に、オオワシもヒグマもジャガーも、すべて絶滅を危惧されている。
種そのものとしては、いかにもひ弱であり、下等だと思われているウサギの方がよほど地球上では繁殖している。
「この世をば、わが世とぞ思う」のは、強い鷹ではなく、地面を走り回る野鼠の方だ。


わたしは教員になりたての頃、ある飲み会の席で、先輩に昆布の話をきいた。
この話はとても興味深く、食物連鎖の話に通じるので、理科の授業で毎年、必ず子どもたちにしている。

その先輩は、ある日、昆布に興味を持ち、昆布の全身が欲しくなった。
昆布とはなにか、教室で子どもに見せよう、と思ったが、スーパーで手に入るような昆布はすべて袋に入れられた時点でズタズタに切られている。本物を見せたい、と思っても全身をそのまま見せないと迫力がない。
そこで、市内をさがし歩いたが、小売店や問屋でも、全身まるごとは手に入らないことが分かった。それもそのはずで、昆布の中には、長さが10mくらいあるのもある。そんなもの、まるごとあるはずがない。

「え、そんな長いのか」

理科の先生をしていながら、昆布の実際の長さを知らないでいたことを恥じたその先生は、ようしそれなら、とばかり、自分で海に潜って昆布を取ってくることに決めた。

春のまだ寒かった時期だが、高速をとばして東北の海へ向かい、勇気を出して海に入った。
昆布を見つけてとろうとしたが、まず海の中の様子に驚いた。

昆布が、ぜんぶ、ヨコになっているのである。

先輩は、昆布というものは陸地の木々と同じように、縦に育っていると思っていたのだ。
そんなわけもないことは、ちょっと考えれば分かることだが、「昆布の林」という言葉もあるくらいで、イメージでは凛として縦に立ち並んだ昆布たちが目に浮かんでいたのだろう。
ところが、昆布はそんなふうに立っていたら、ただでさえ水中では光が少なくなるので、生きていかれるわけがない。たとえ弱くても日光が欲しくて、もう全身で日の光を浴びようと、水中でぐだーっと寝そべるのが当然なわけである。
昆布

次に、その中の一本に目をつけて、根本の株元のところをさぐりあて、さて引っこ抜こうとしたが、これがもうなんとも強い力で吸着しており、海底の固い地面から離れない。先輩は大根でも抜くくらいのイメージだったので、なかなか抜けないことに唖然とした。
それもそのはず、これもちょっと考えれば分かることで、強い波が四方八方からたえず押し寄せて来るのだ。昆布からしたら、油断したら抜けちゃうくらいの弱い吸着の仕方であれば、すぐに流されてしまう。そうならないように、仮根がぎっちりと食いつくようにして海底につき刺さっているのである。

先輩は、ものの何分かで、楽に持ち帰るつもりでいたので、これまた海中でがくぜんとして震えたそうだ。
たかが一本の昆布を持ち帰るのが実は生涯で数本の指に入るくらいの大事業だったことに気付いたとき、先輩の心に去来したのは、

「こんぶよ、今まで、馬鹿にしてきて、すまん」

という思いだった。

「ほんとうになー、まったく昆布のことなんて、知らなかったってわかったネ」

すでに顔を赤くした先輩は、何杯目かの注文で、ビールをおかわりしながら、続けた。

先輩の頭の中では、人間が一番偉い。次に大型の哺乳動物がえらい。次は中型の哺乳類、その次が小型の哺乳類、その下に鳥類、その下に爬虫類、くだって両生類、さらにくだって魚類が存在していた。
また、その動物たちの下に植物があり、それも完全なピラミッド、サクラやカエデのような種子植物を頂点として、ソテツなどの裸子植物はずっと下、苔やシダ植物なんぞは下劣で見下すべき存在として思い描いていたのだそうだ。昆布などは原始の生物、発達の出来そこない、憐れでならないものと思っていたらしい。

ところが、その昆布が言うことを聞かない。
まったく取れない。
海の中で、徹底的に先輩に対抗する。
先輩は、海の中で涙を流して謝った。

「おれはな、コンブなんざ、種子もなければ茎も根もなく、本当にどうしようもないやつだ、と思っていたんよ」

海で格闘するうち、先輩の心の中にはある尊敬の念が湧いてきた。

「どうしてどうして、僕は昆布というもんは凄いやつや、と思うようになって」



涙を流しながら昆布を引き抜こうとしていると、天の助けか、向うの方からポンポンポンと船がやってきた。
そしておっさんが、

「お前、なにしとんのや。昆布ひこうと思ってんのか」

と聞いてくれた。

先輩は、これは地元の漁師さんが、憐れに思って助けに来てくれたのだ、と喜んで

「はい、昆布がなかなかとれんのです」

というと、

「ばかやろう!人の畑に入って勝手に作物を採っていくやつがあるか!」

どうやら漁業権というのがあり、昆布の漁期はいつからいつまで、と決まっているらしい。

先輩は、採りかけた昆布を、ポイ、と捨てた。

説教が終わっておっさんがまた向うへ行ってしまったので、先輩はおっさんに分からないように水中の足の親指で昆布の端をつまみ寄せ、だんだんと足で昆布をたぐり寄せて浜にあがった。そうして必死の思いで引きずって持ち帰ることができた。

「これで、ようやく教室で本物を見せられる、と思ってな」

先輩はビールのつまみに、芋茎の酢づけを口に運びながら、笑顔でつづけた。

「家に帰って、長い昆布をガレージに吊った針金とロープの間に通しながら、なんでこんな長い昆布が育つのだろう、とそのことばかり考えてなー」

昆布が育つ場所は、水の底なので当然ながら光は弱い。
先輩は、そんな弱い光の中で育つには、まさに種子をつくらない、胞子植物だからできるのだ、ということに思い至る。

種子というのは中に胚乳とか子葉の発芽のための栄養だとかをいっぱいに詰め込んでいる。発芽という巨大なイベントのために、膨大な栄養を含むのです。それを人間は食品として食べている。コメでも、実際にはそれが発芽するための澱粉や蛋白質、ビタミンやミネラル、そういったものをためこんでいる。
栄養を満載にしたものが、種子です。
小さくとも、光合成をする葉っぱをつくるのに十分な資本金が、なかに貯めこまれているわけ。種子植物が、丈夫な種(たね)を作るというのは、植物にとってはものすごく大変なことであるわけです。

ところが、昆布は胞子ですから、種子をつくらない。胞子なんていうのは、言ってみれば一つの細胞がちょん、と切れて、ずんずんと増えてでかくなる、という程度のものです。ちょっと乱暴な言い方ですが、そんなことで胞子植物は増えることができる。
こうして生きて増えていくからこそ、暗い、種子植物ならとても生きていかれないような光の弱い世界でも、丈夫に立派に生きていくことができる。

種子植物は高等な(と人間には思われている)手段で、確実に増えることができる。そういう植物の進化の過程がある。しかし、何万年もの間、胞子植物は滅びない。それどころか、海の中では胞子植物こそが、その領域において、広がりにおいて、依然として「この世を謳歌」しているわけです。

「僕はな、種子植物が最高や、と思っていたのだが、それは一定の条件下ではじめて言えることや。光の弱い場所では、シダ植物の方が繁茂するし、苔だって生きている。さらに光の弱い水中では、もうぜったいに、これは種子ではダメで、胞子植物や藻なんかの方が、立派に生きているのだ、ということ。これはもう、藻だとか胞子植物が下だ、とは言えんな、ということに自然と気づいたんや」

飲み会はそろそろ終わりに近づいていて、隣の低学年の先生方のテーブルは、ビール瓶の残りを最後まで飲み干そうとみんなで乾杯をしていました。
わたしは今日の飲み会は、ほとんど昆布の話で終わってしまったな、と思ったのですが、まあそれでもいいか、なかなかいい飲み会だったな、と感じていたのでした。

わたしは窓の外を見ながら、

「光の少ない世界でも、生きているというのは、すばらしいことやな」

と何度も思い返しました。

店の外に出ると、まるで海中のサンゴように、ネオンが美しく夜の街を照らしているのでした。

微生物教育のすすめ

.
微生物教育の最大のメリットは、子どもが「科学の目」を養うことにある。
とくに、目に見えない世界を感じ、想像し、その世話を通して体験的に学ぶ価値は、他のどの教育とも比較して遜色がない。

これからの時代、21世紀の将来的な日本の戦略にも合致している。
微生物は日本人が古くから大事に付き合ってきた世界だ。
漬物、発酵、加工。
みそやしょうゆに限らず、日本酒の世界でも、職人たちが酵母を人の赤子のようにかけがえのないものとして大切に育んできた。これは、日本人のきめ細やかな精神が可能にしてきたものだ。

日本の料理店が食通のフランス人をうならせ、ミシュランで星を獲得するのも、日本酒のように素材を生き物として扱うかのような、繊細な「和食」の世界をみれば、だれもがうなずけるからだろう。

さて、授業で扱うとすれば、みそやしょうゆ。
これは地元のみそメーカーや、醤油の製作会社に総合的な学習の一環として協力をお願いし、子どもたちが見学に行くこともできる。自分たちで酵母を育て、「発酵」という世界を知ることもできる。

愛知はとくに八丁味噌、豆を発酵させることを知る土地柄である。
いろいろなメーカーに協力をお願いすれば、子どもたちが「微生物、酵母、菌」というものを身近に感じられて生活に役立てることができる知識や技量を習得することができるだろう。すでに、多くの学校が、このような微生物教育を実践し、子どもたちは微生物の世界を学習している。
〇愛知県の味噌メーカー

マルサンアイ(愛知県岡崎市)
まるや八丁味噌(愛知県岡崎市)
カクキュー(合資会社八丁味噌)(愛知県岡崎市)
イチビキ(愛知県名古屋市熱田区)
キッコーナ(愛知県名古屋市北区)
盛田(愛知県名古屋市中区)
ナカモ(愛知県清須市)

〇愛知県の醤油メーカー

キッコーナ(愛知県名古屋市)
日東醸造(愛知県碧南市)
七福醸造(愛知県碧南市)
ユタカフーズ(愛知県知多郡武豊町)


これらのメーカーと協力して教材を開発し、人材を育て、将来にわたり、日本は世界に冠たる「微生物国家」としてそのけん引役を買って出るべきである。

まずは小学校で、堆肥をつくるところから。
あるいは、家庭でコンポストをつくるところから。
児童会活動とのリンクも当然、考えられる。

このような子どもたちの生活学習が行われて行けば、大人の世界も変化していく。
生ごみ、という言い方が、これからは消滅していくであろう。
「微生物のごちそう」という言い方に変わっていく。
そして、生き生きとした土をつかって、家庭菜園。
もちろん、家計の節約にもなるが、そこはメインではない。
目的は、微生物、目に見えない世界を感じることの豊かさを、人間が知っていく、という点にある。

これから、微生物教育のためのテキスト開発を行い、日本中の教師が「微生物教育」を学校で実践していけるようなシステムづくりを進めたい。その端緒を開くことが、微生物と共に生きる日本人の、古代縄文より連綿と打ち続く豊かさを、日本人にふたたび思い出させることになろう。

---------------

・・・と、まあ、↑ 以上が前フリで、以下が本文デス。

みなさん、冬場のコンポスト、いかがです?
うちは、なかなか温度が上がっていかないので生ごみの分解が遅れがちなのですが、なにか良いアイデアはありますでしょうか?みなさん、どんな実践をされているでしょうか?

温度を上げたいコンポスト
子ども/子供/微生物/微生物学/臨床的/実験/科学/科学の目/科学の心/科学する心/東京/東大/東京大学/小学校/小学校教師/小学校の実践/学習/学習指導/指導案/授業/授業案/テキスト/教科書/理科/生物/生物分野/コンポスト/堆肥/たい肥/堆肥化/堆肥づくり/堆肥作り/発酵/酵母/酵母菌/菌/白かび/白黴/黴/

いろんなふうに、考えられる、という件

.
いろいろと考えるのが、面白い。

ああだ、こうだ、と考えを言い合うのが、面白い。

教科書と合っているかどうかが大事なのではなく、

俺たちは、こんなふうにも、考えることができたのだ、という自負。





瓶(びん)の中で、ろうそくの火を燃やし、蓋をしたら、しだいに炎が小さくなり、30秒ほどで消えてしまった。

これを、

「どういうことが起きたのか?」

「明らかになったことは何で、明らかになっていないことは何か?」


というように、討論していくと、面白いことがわかる。



1) 「なにが起きたのか」を、説明するだけで、さまざまな見解が出てくる。

2) 明らかになったことは、ほとんどない。たった一つ、火が消えた、ということだけだ。

3) 逆に、まだ明らかになっていないことが、膨大に見つかる。



実験したんだから、結果が分かったはずで、なにかが明らかになったはず

そう考える人が、ほとんどだろう。


ある実験をやってみた。

明らかになったこと ⇒ 増えた。

不明だったこと ⇒ 減った。


それが、科学的思考ってものだ。


ところが。


やってみると、ちがうのだ。

子どもたちから出てくるのは、疑問点と、いまだ明らかにならない事実ばかり。

そもそも、いったい何が起きたのか、という点でさえ、いろんな意見が出てくるのだ。

理科は、やればやるほど、分からなくなる教科なのであった。




Aさんの意見。
火が消えたわけは、酸素がふたの隙間から、上空へと軽くなって上がっていったため。
酸素の変化001


Bさんの意見。
火が消えたわけは、酸素が水蒸気に変わってしまったため。
酸素は水蒸気になったと思う



いろんなふうに、考える。

で、今のところ、すべて、それらはあくまでも「考え」であって、

「事実」ではない、という、宙ぶらりんな感じ。




同じように、

人間とは何か、相手を理解するとは何か、という点をしらべていくと、
確かなことがスーッと消えたように見えなくなる。

気軽に頼っているところの知識や見解というものが、あやふやなものに思えてくる。
あれほど確かだと思えたものは、みな、正体不明のもやもやした実体のないもの。

どうやら確かなのは、

「〇〇したい」

と思っている自分、というだけだ。

相手のことなんて、ちっとも、分からない。
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