理科を教えていない。
今年から。
なぜかというと、文科省がある計画を持っていまして。
小学校も、一部、中学校のように「教科担任制」にしようとしているのです。
(教科担任制の大きな目的は、児童に対して教員がチームで対応するためだそうです)
私は今年、理科と外国語と音楽は担当しなかった。それぞれ、他のクラスの先生と、交換したのであります。わたしはその代わり、図工を4クラス受け持ち、算数も3クラス受け持ちました。こうすると、やはり効果はありまして、理科の準備をしなくて済むのは、これは非常に「時間を生みました」。
自動車で例えるなら、高速道路をつねに5速・150kmで1年中、ずっと走り抜けるような感じはなくなり、時折、人間らしく40kmくらいの時速で、まわりの景色の様子もみながら、3速くらいで走れるような気分さえしたのですね。
だから、他の学年でヘルプが出るとかけつけることもできたし、周囲の先生がお休みされたら、その分もかなりサポートすることができました。コロナもあったので、「とつぜんの休み」というの、今年は多かったですからね。
ただし、理科を教えなかったのは、ちょっと残念なことでもあります。
だって、理科、たのしいからね。
だから、卒業前に、わたしが理科の授業をしました。
子どもたち、驚いていましたよ。
新間先生は理科ができないんだ、と思い込んでたって。
実際にはもう教科としての理科の授業は終わりになっていて、他の科目も終わっているために、時間がうまれました。卒業式の練習も、しゃかりきになって「返事の練習!」と怒鳴り散らす雰囲気もないですし、のんびり仮説実験授業でもやろうか、と。
これは盛り上がるのですよ。もう、台本と流れができあがっていて、その通りにやればどの先生が進めても、子どもたちは自立して考えていきます。本当は、学習というのはこういう思考の流れが必要なのでしょうね。理にかなっているのだと思います。子どもの反応は、仮説実験授業はぴかイチです。
さて、以下がその進め方。
100V電源につないだ、テスターを用意する。
回路には、電球がつながれている。
この電球は、5WとLEDの電球の2種類を用意した。
電気が通じれば、電球が光る仕組みだ。
回路の途中に、さまざまなものを挟んでみる。
①金属スプーン
「スプーンを、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」
予想をノートに書かせる。
となりの友達にも、書いた予想を見せて、お互いに確認させる。
「では、やってみます」
電気がつうじて、電球が光る。
「光りました。ノートに、金属スプーンは電気を通す、と書きなさい」
②10円玉
「10円玉を、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」
これも予想を立てさせる。
ほとんどの子が、光る、と書く。
やってみると光る。結果を書かせる。
③1円玉
これは、意見が分かれる。
同じようにさせる。
光る。
ノートには、『1円玉は電気を通す』と書かれることになる。
④5円玉
⑤100円玉
⑥1000円札
「紙は電気を通さない」
「お金のインクも電気を通さない」
⑦アルミホイル
⑧銀の折り紙
⑨金の折り紙
「金色の折り紙は、やすりでけずって銀色にすると、電気を通す」
⑩お菓子の材料の【アラザン】
「これは砂糖の粒の表面に、銀が塗られています」
⑪銀色のマーカーで書いた線
ここまでで、まとめを書かせる。
ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。
金属は電気を通す。銀色のものが多い。金属では自由電子が動くので、電気を通すことになる。銀色の顔料マーカーは、アルコールが主成分の顔料だから、電気を通さない。
⑫えんぴつの芯
鉛筆をどろぼう削り(両端を両方とも削る)にして、両極から電気を通してみる。
「金属は電気を通しますが、グラファイトとよばれるものも、電気を通します」
ちなみに、鉛筆で回路を描くと、その芯の線上には微量だが電気が流れる。
このことから、鉛筆で書いた安価な電気回路もできると思う(思うだけ)。
⑬カレー(麻布十番ビーフカレー、というやつ)
麻布十番ビーフカレー、というカレーが売られている。
買い物中、なんだかピカピカ光る箱があるので、よく見てみると、カレーの箱だ。
ロゴの部分が、ピカピカしてる。
「通電するんやないやろか」と怪しみ、買ってみた。
その箱のロゴの部分、けっこうメタルな色である。これに、電気が通るか?
麻布十番カレー
これ、見事に電球が光る!(ちょっと、オドロキ!)
⑭レモン
「カレーのついでに、果物を買ってきました。果物には、電気が通じるでしょうか」
これは、なんだかみんな通る、と確信している。
なんで?と聞くと、
「すっぱいから。すっぱいものは、電気を通す。だって、ポカリスエットは電解うんたらって言うし」
結果、見事に通電!
⑮グレープフルーツ
⑯バナナ
⑰きゅうり
「野菜はどうでしょうか」
⑱ナス
⑲じゃがいも
ここまでで、さらに突き詰めて書かせる。
ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。
金属とグラファイト、そして野菜や果物は電気を通す。
教師「金属は、もともとどこにありましたか?」
子「地面の下。土のなか」
教師「そうですね。グラファイトも、山の中の天然の鉱物から採れるものです」
では、じゃがいもはどうですか?」
子「土の中です」
教師「果物も、土の中から栄養分を取り入れて、実がなったものですね。
では、再度、さらに突き詰めて、書いてみてください」
金属とグラファイトはどちらも地面の下や土の中からとれるもので、電気を通す。また、野菜や果物も、土の中から栄養を取り入れていて、電気を通す。
教師「では、野菜を食べている人間は、電気を通すでしょうか」
子「通す。だって感電する」
教師「そうだね。実験したいけど危険だからやりません。その代わり、肉に通してみよう」
⑳肉(魚)
イワシをまるごと一匹買い、アタマと背中に電極をさした。
・・・通電。(無事に光る)
教師「海や土で出来た物を食べているから、動物も魚も人間もみんな電気を通すのでしょうかね?」
「では、土って、電気を通すでしょうか?」
⑳土を溶かしたどろ水
「では、ただの水は、電気を通すでしょうか?」
㉑水道水
最終的な結論と、明らかになったこと、自分自身でこれはそうだ、と
言えることを考えて、最終的な自分の結論を書かせる。
【結局、どんなものが電気を通すと言えるのですか?】
「地球の自然界、土や海で自然に出来るほとんどの生もの(ちょっと水分のある感じのもの)、そして金属やグラファイト、が電気を通す」
最後に感想を書かせて、終わり。
今年から。
なぜかというと、文科省がある計画を持っていまして。
小学校も、一部、中学校のように「教科担任制」にしようとしているのです。
(教科担任制の大きな目的は、児童に対して教員がチームで対応するためだそうです)
私は今年、理科と外国語と音楽は担当しなかった。それぞれ、他のクラスの先生と、交換したのであります。わたしはその代わり、図工を4クラス受け持ち、算数も3クラス受け持ちました。こうすると、やはり効果はありまして、理科の準備をしなくて済むのは、これは非常に「時間を生みました」。
自動車で例えるなら、高速道路をつねに5速・150kmで1年中、ずっと走り抜けるような感じはなくなり、時折、人間らしく40kmくらいの時速で、まわりの景色の様子もみながら、3速くらいで走れるような気分さえしたのですね。
だから、他の学年でヘルプが出るとかけつけることもできたし、周囲の先生がお休みされたら、その分もかなりサポートすることができました。コロナもあったので、「とつぜんの休み」というの、今年は多かったですからね。
ただし、理科を教えなかったのは、ちょっと残念なことでもあります。
だって、理科、たのしいからね。
だから、卒業前に、わたしが理科の授業をしました。
子どもたち、驚いていましたよ。
新間先生は理科ができないんだ、と思い込んでたって。
実際にはもう教科としての理科の授業は終わりになっていて、他の科目も終わっているために、時間がうまれました。卒業式の練習も、しゃかりきになって「返事の練習!」と怒鳴り散らす雰囲気もないですし、のんびり仮説実験授業でもやろうか、と。
これは盛り上がるのですよ。もう、台本と流れができあがっていて、その通りにやればどの先生が進めても、子どもたちは自立して考えていきます。本当は、学習というのはこういう思考の流れが必要なのでしょうね。理にかなっているのだと思います。子どもの反応は、仮説実験授業はぴかイチです。
さて、以下がその進め方。
100V電源につないだ、テスターを用意する。
回路には、電球がつながれている。
この電球は、5WとLEDの電球の2種類を用意した。
電気が通じれば、電球が光る仕組みだ。
回路の途中に、さまざまなものを挟んでみる。
①金属スプーン
「スプーンを、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」
予想をノートに書かせる。
となりの友達にも、書いた予想を見せて、お互いに確認させる。
「では、やってみます」
電気がつうじて、電球が光る。
「光りました。ノートに、金属スプーンは電気を通す、と書きなさい」
②10円玉
「10円玉を、回路の途中に挟みます。電球は光るでしょうか?」
これも予想を立てさせる。
ほとんどの子が、光る、と書く。
やってみると光る。結果を書かせる。
③1円玉
これは、意見が分かれる。
同じようにさせる。
光る。
ノートには、『1円玉は電気を通す』と書かれることになる。
④5円玉
⑤100円玉
⑥1000円札
「紙は電気を通さない」
「お金のインクも電気を通さない」
⑦アルミホイル
⑧銀の折り紙
⑨金の折り紙
「金色の折り紙は、やすりでけずって銀色にすると、電気を通す」
⑩お菓子の材料の【アラザン】
「これは砂糖の粒の表面に、銀が塗られています」
⑪銀色のマーカーで書いた線
ここまでで、まとめを書かせる。
ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。
金属は電気を通す。銀色のものが多い。金属では自由電子が動くので、電気を通すことになる。銀色の顔料マーカーは、アルコールが主成分の顔料だから、電気を通さない。
⑫えんぴつの芯
鉛筆をどろぼう削り(両端を両方とも削る)にして、両極から電気を通してみる。
「金属は電気を通しますが、グラファイトとよばれるものも、電気を通します」
ちなみに、鉛筆で回路を描くと、その芯の線上には微量だが電気が流れる。
このことから、鉛筆で書いた安価な電気回路もできると思う(思うだけ)。
⑬カレー(麻布十番ビーフカレー、というやつ)
麻布十番ビーフカレー、というカレーが売られている。
買い物中、なんだかピカピカ光る箱があるので、よく見てみると、カレーの箱だ。
ロゴの部分が、ピカピカしてる。
「通電するんやないやろか」と怪しみ、買ってみた。
その箱のロゴの部分、けっこうメタルな色である。これに、電気が通るか?
麻布十番カレー
これ、見事に電球が光る!(ちょっと、オドロキ!)
⑭レモン
「カレーのついでに、果物を買ってきました。果物には、電気が通じるでしょうか」
これは、なんだかみんな通る、と確信している。
なんで?と聞くと、
「すっぱいから。すっぱいものは、電気を通す。だって、ポカリスエットは電解うんたらって言うし」
結果、見事に通電!
⑮グレープフルーツ
⑯バナナ
⑰きゅうり
「野菜はどうでしょうか」
⑱ナス
⑲じゃがいも
ここまでで、さらに突き詰めて書かせる。
ひと言で、【結局、どんなものが電気を通すと言えるか】を書く。
金属とグラファイト、そして野菜や果物は電気を通す。
教師「金属は、もともとどこにありましたか?」
子「地面の下。土のなか」
教師「そうですね。グラファイトも、山の中の天然の鉱物から採れるものです」
では、じゃがいもはどうですか?」
子「土の中です」
教師「果物も、土の中から栄養分を取り入れて、実がなったものですね。
では、再度、さらに突き詰めて、書いてみてください」
金属とグラファイトはどちらも地面の下や土の中からとれるもので、電気を通す。また、野菜や果物も、土の中から栄養を取り入れていて、電気を通す。
教師「では、野菜を食べている人間は、電気を通すでしょうか」
子「通す。だって感電する」
教師「そうだね。実験したいけど危険だからやりません。その代わり、肉に通してみよう」
⑳肉(魚)
イワシをまるごと一匹買い、アタマと背中に電極をさした。
・・・通電。(無事に光る)
教師「海や土で出来た物を食べているから、動物も魚も人間もみんな電気を通すのでしょうかね?」
「では、土って、電気を通すでしょうか?」
⑳土を溶かしたどろ水
「では、ただの水は、電気を通すでしょうか?」
㉑水道水
最終的な結論と、明らかになったこと、自分自身でこれはそうだ、と
言えることを考えて、最終的な自分の結論を書かせる。
【結局、どんなものが電気を通すと言えるのですか?】
「地球の自然界、土や海で自然に出来るほとんどの生もの(ちょっと水分のある感じのもの)、そして金属やグラファイト、が電気を通す」
最後に感想を書かせて、終わり。