30代転職組・新間草海先生の『叱らないでもいいですか』

We are the 99%。転職を繰り返し、漂流する人生からつかんだ「天職」と「困らない」生き方。
高卒資格のまま愛知の小学校教員になった筆者のスナイパー的学校日記。
『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。
生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。
新間草海(あらまそうかい)

ユニバーサルデザイン

「体と健康を守る」は賛同を得やすい件

.
「体と健康を守るため」

という大義名分は、おそらく普遍(ふへん)でしょう。

どんな意識で生きている人でも、王様であっても、我々のような下々の庶民でも、みんな同じだろう。
大会社の経営者であっても、上場間際の起業家であっても、みんな同じ。
田舎の爺様でも、都会のハイティーンでも、みんな同じ。

おそらく、地域や年齢、身分家柄、その他、どんな分類に属する人もほぼ総括できるのが、

「体と健康を守るため」

という大義ではないだろうか、と思う。



すると、おそらく、これが突破口になりやすいかもね。
人類の、いわゆる「分け隔て」をなくす。



昨日、息子に

「10時には寝ようぜ」

という話をした。

その時、「体と健康を守る」という話を中心にした。

すると息子も案外と、「それは大事だ」 となるのである。




携帯スマホで、深夜遅くまで、友達とやりとりをして、朝起きれない。

こういう相談があって、高学年の先生たちで

「ルールは家で決めてもらわないと」
「いや、学校がそこは主導していく形が」
「10時以後はスマホ禁止、という最低規準を決めて・・・」


うんぬんと相談していますが、おそらく
◎本校のスマホルール
夜10時以後は、スマホは使用禁止とする

こういうのを定めただけでは、あまり効果は無いだろうという気がする。
ところが、

なぜ、10時という線を、大人は定めようと思うのか
 ↓
成長期の子どもの、身体と健康を守るため


このあたりを、子どもたちといっしょに考えてからだと、案外子どもたちは、それを守るのではないか。




放射能の問題も、

「体と健康を守るため」

という話し合いができれば、まったく問題なく、すぐにさまざまな知恵が出て、社会全体の対応になると思うけど、そうならないのは、おそらく

「放射能は健康を害しない」

という、真逆の言説があるからでしょう。
それは、同じ土俵にのってしまえば、どうしたって、

「健康を守る」方が、側が、勝つからでありましょうな。

49 - コピー

授業中におなかがいたいという子への指導




授業中、ここぞ、という場面にもかかわらず、

「せんせい!」

といきなり、だしぬけに言いだす子がいる。

べつに、場の雰囲気を読めない子、というわけでもないのだが、
なんだか1年生の時からの癖なのか、
身体に関連することは、ただちに先生に報告せよ、とでも親に言われているのか、

「おなかがいたいです」

と急に言い出す。
算数でも、国語でも、おかまいなし。

こちらが

「このタイミング、今のタイミングで、話の腰を折ってほしくない」

と思うときに、

「先生!おなかがいたいです!」

と言うのだ。



相手が高学年なら無視するか、今は授業中です、とでも言うのだが、相手は2年生。
うるうるした目で、体調不良をうったえる子を、あまり邪険にできない。
無視すると、

「せんせい、○○ちゃんが、おなかいたいって」

と、代弁してくれる親切な子もあらわれる。
それがまた、純真な親切心だから、これを無視するわけにはいかない。

今は授業中ですよ、というメッセージ、を送ってみたが、
なんだか教室中に、

「先生、○○ちゃんが、かわいそう・・・」

という空気が蔓延していたので、結局、話をきく羽目になった。



そこで、すぐに保健室へ行きたがったり、体調の不調を教師に訴えることで教師の注目を得ようとする子に向けて、次の手を打った。
名付けて、

「保健室レベルならOK、教室レベルなら、休み時間ね」作戦だ。


痛みが強く、あきらかに体調の突然の変化であり、ただちに保健室へ行きたい、ということであれば、それを「保健室レベル」と名付ける。

また、痛んだり、心配になったりもしているが、まだ保健室へ行くほどでもなく、とりあえず先生に報告したくなったけれども、授業を受けるのをやめて、保健室へ行かなくてはならない、というレベルではない、というくらいのものを、「教室レベル」と名付ける。

それを、本人が自己申告してください、というもの。

今日からそれを宣言した。

すると、2時間目の国語の時間中にやはり、


「先生!」

という。

わたしはにんまりして、

「保健室レベル?」

ときく。

彼女は、あっと思った表情になり、ううん、とかぶりをふって、そのまま漢字ドリルを続けたのである。


これまでの苦労がなんだったのか、というくらい、あっけなく解決。
彼女はそのまま休み時間も友達とあそび、なにごともなくその日を終えた。

おそらく、なにか安心・集中できないことがあって、自分の体調の方に関心がうつってしまったのだろう。


これをもっと改良して、教室の側面に、色画用紙を貼りつけた。
そこに、
「いたみレベル」
というグラフをはりつけた。
よくある、
「声の大きさレベル表」
をまねしたものである。

そこに、いたみ0(ゼロ)→とても元気 {笑顔}
などという絵と図が描いてある。
いたみ1→ふつう
いたみ2→ちょっとへんだけど、衣類調節、トイレ、水分補給でのりきる
いたみ3→今は教室ですごし、休み時間に先生へ報告
いたみ4→保健室へとりあえず行って相談してきたい
いたみ5→かなりへんだから、すぐに保健室へ行って手当を受けて休みたい。
いたみ6→きんきゅう事態。友達(や先生)の助けを借りて、すぐに保健室へ。

というレベル分けを、色別に描いた。
その後のクラス会議で、いたみ5のとき、6のときは、先生がいなくても、保健室へ行ってよいことになった。
また、授業中では、いたみ4にならないと、そのことをいちいち言わない、という約束もできた。


あまりはっきりとしていないし、レベル4なんかはかなりあいまいだ。
でも、人間の身体なんだから、弾力的な運用、ということでいいのではないか、と思う。
実際、子どもも、自分の身体の事ながら、あまりきちんと把握しているわけでないこともずいぶん多い。
でも、このレベル表があるだけで、授業中にいきなり保健室、という動きはかなり減った。
また、緊急時は自分だけでなく、まわりにそのことを言って、助けてもらえばいい、ということも確認できた。




発達障害児童がふえてきていること




諸説ある。

人数は変わらないがそうと診断する姿勢の関係者が増えてきた結果、増えたように見えるのだという説。
もう一つは、前頭葉のあり様が変化したことに関連し、実際に増えたという説。

最初の説を信じている。
わたしが小学生のころにも、今から考えると明らかに発達障害だろうと思われる児童がいた。
周囲の子とは大きく違って、大きな音に極端に敏感だったこと。
周囲にみんなが集まって話していると、

いきなり自分の両耳を、両掌でふせぐ。
そして、こきざみに動かしつつ、音が遮断されていることを確かめるように、自分の口で、
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ・・・」
と連続して声を出していた。

そして、しばらくたつとおさまる。
不安が高まると、同じことを日に何度も繰り返した。
お母さんは、半分鬱のようになり、友達ともほとんど遊ばせていなかったと思う。
いえに遊びに行ったこともあるが(当時はそれが常識であった)、
複数の友達がいくとだめであった。

彼は、国鉄の東海道線の駅をすべて暗記していることでも有名であった。


自分にも多少その傾向があったかも、と考えている。


ただし、彼は、もちろん「発達障害」だとか「自閉症スペクトラム」という診断は知らない。
周囲の人も、彼の個性は把握したが、それを医療とむすびつけて考えたことはないだろうと思う。
こうした子が、当時からもいたのだ。
40人学級のクラスに、おそらく1割から2割、いたのでないだろうか。
4,5人はいたと思う。

ふりかえると、私自身も通知票の所見欄に

「落ち着きがありません」

と書かれていたし、先の見通しが立たないと非常に不安になっていたことを思い出す。
私自身も、その4,5人の中に含まれる存在であったかもしれない。



こういうふうに考えてきたが、
最近読んだ本の著者の方は、ちがった。
実際に、ここ十数年で、実際に増えてきている、というのだ。

脳からわかる発達障害―子どもたちの「生きづらさ」を理解するために

をお書きになった、鳥居先生。

鳥居先生は、前頭葉の働きがこの十数年でちがってきた、という。
たしかに、社会の暮らし、リズム、そういったものがまったくちがってきた。
そのため、考える、という要素が極端に減ってきたというのは、おそらく正しいだろう。
お風呂を沸かす、ということだって、先の見通しがなければならなかった。水をためるのも、お湯を沸かすのも、時間を見て、考えて、見通しを立てて行動しなければうまくいかない。
お正月だって、商店は正月は休みになるのが通例だったから、親は年末年始の食材の量を的確に、(来客の分まで予測しておいて)用意しておかなければならなかった。

また、原因は何かわからないが、脳そのものが、この十数年でかなり質的に変容してきているのではないか、という実感をお持ちだそうだ。

子どもの脳が変わってきた??

それはちょっと、わからない。
しかし、自分の実感からしても、なんだかそんな気もしてくる。

実際、わたしが昨年受け持ったクラス、24名の中で、WISCを受けた子は5人いる。
2割ちょっと、だ。

2割、というのは、大きいと思う。
教師が心療内科、発達障害外来のある病院に通うのも、わりとふつうのことになっている。
こうした診断ができる先生は少ないので、お医者様にお目にかかるたびに
担当の先生から、

「あ、また○○先生ですね。今日はだれちゃんのでしたっけ。あ、そうそう。□□くんでしたね。先日は△△ちゃんでしたけど、お母様とあのあと電話で少し話できましたよ。」

というように、白衣を着た担当医と、クラスの複数の子のことで話をするのがままあった。(もちろん当日の相談者である保護者がまだ到着しないまでの待ち時間で)


教室の中の、2割の子。
これは大きい。
6人いたら、1人はかならず、だ。


こうした子を無視して、教室経営などけっしてできないから、結局打開策として、

ユニバーサルデザイン

というものに注目せざるを得ない。
かような状況になってきているのが、今の教室、今の学校なのだろう。

では、どの子にもやさしい、ユニバーサルデザインとは何か。
次回。




ユニバーサルデザイン環境でLD児を救うには




LDの子のこと。

「もう、おれなんか馬鹿だから、勉強なんかしたくねえ」


自閉症っぽい態度も散見されるAくん。
顔はかわいくて、背も小さいので、幼いころはうんとかわいがられて育ったような子だ。

おうちの、お父さんがこわいので、叱られるとすぐにシュンとなる。
きびしいサッカークラブにも所属し、あいさつなんてしっかりやる。
職員室に入ってくるときなんて、他の子よりもずいぶんしっかりとあいさつする。
6年生よりも、きびきびと動いているところが見られるときもある。

なかなかに、かわいいやつ、だった。


ところが、勉強はからきしだ。


国語の教科書、行をとばして読む時もある。
視力の問題か?
それはなさそう。
ただ、慣れていないのか。練習量が不足しているのか?

音読の宿題を出すも、ほとんどやってこない。

「だって、家でだれも聞く人いないし」

学校で、先生がきいてあげるから、朝の会の前に先生のところへおいで。


3回くらいやったろうか。
その後は来なくなった。

「えー」
「めんどくせー」

が多くなった。


このAくんが、算数の時間に発した言葉が、これだ。

算数をまったくやらない。
ノートも取らない。
他の子にちょっかいばかりだす。
なにか特定はできないが、算数の学習に支障をきたす部分がありそうだ。
脳の回路の、どこの部分か・・・。


言葉?量や大小の把握の問題?ワーキングメモリ?


居残りをさせていたら、居残りが楽しくなりすぎて、授業中にわざと怒られることをするようになった。
これはいかん、と努めてクールに接し、居残りもサラッと終わるようにした。
その何日間か、後のこと。
冒頭のセリフがあった。


「Jとか、Mとかに算数できねえとか言われる」

泣いていた。


「学校、来たくないわ」


そう言うことができて、自分の気持ちが出せたことが、まずはいい。
実際は、きちんと学校にも来るだろう。
このセリフにも、しずかに共感的に、そうかそうか、と受けた。


で、問題はこれから、である。

授業中、ほとんど理解せずにボーっとすごしてしまうAくんを、教室でどうやってみていけばいいのか。




これで終わらないのだ。問題は。
もうひとつ。

AくんとはタイプがちがうBくん。
Bくんは、もっと素直でない。
Bくんは、ほとんど教師の言うことなんか聞かない。
教室をかきまわすことに生きがいとやりがいを感じているタイプ。
教師が感情的に対応すると、

「やった!」

とガッツポーズをとる感じ。

ほとんどそうした不適切態度には、こちらもほんの少ししか関わらず、無視することも含め、努めて<ノンエネルギッシュ>に対応するが、このBくんも、勉強がほとんどできないのだ。

Bくんも、勉強という点においては、非常に自尊心を傷つけられている。
Aくんも、Bくんも、勉強ができるようになると、自信を回復するのではないか、と思う。

しかし、この二人に合わせた授業をすることができない。
もしまともにやろうとしたら、2年生か3年生の教科書にのっていることから、やり直すしかないからだ。
それをやっている時間は、残念だけど、5年生の今、はっきり言って、ない。


この子たちを、教室で孤独にさせない。
ユニバーサルデザイン環境で、救えるだろうか。




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