漢字テストの出来が良くなかったので、振り返り。

①漢字を読めるようにしたい
この1学期、4月当初のテストで前年度からの学習不足がみえている子たちをみてきました。
すると、まず、読めない、ということがある。
漢字を読めなければ、ぜったいに書けませんわね。
なので、漢字を読めるようにしなければならない。

②小テストの言葉だけでなく、さまざまな熟語を覚えさせたい。
小テストは100点を連発していても、大きなテストを抜き打ちでやるとダメ、という子が多い。
なぜかと考えてみたら、小テストと大テストは決定的にちがうことがあった。
小テストは、なにが出るのか事前に知っているのである。
つまり、小テストで100点をとろうとして、小テストに出てくる熟語(のみ)を覚えようとしてしまうのである。結果、その言葉なら書けるが、ちがう熟語になって問題が出てくると、書けない子が多くなってしまう。

③宿題を一律にしたくない
もともと宿題なんて出したくないのがわたしの教師人生のスタートでした。
教師になって最初の2年間は、すっとぼけて本当に宿題を出さなかった。
親からも非難され、まわりの先生たちからも文句を言われたので出すようになってしまった。
そこで出すようになって考えるのは、要するにわたしは、「一律」がいやだったのだ。
だから、一律でなく、子どもたちが自分で考えて、自分で必要だと思えるような学習であれば、それはまったく自由にどんどん進めてほしい。そこで、できるだけ早く、一人ひとりが個別の宿題をするようなシステムを考えた。

まず、大目標を立てた。
学期末に、習得すべき課題の漢字をすらすら書けるようになろう、というのだ。
子どもたちも大賛成である。

つぎに、どんどんやろう、ということにした。
漢字ドリルをやりたい子はどんどんと進めることにした。
小テストはあとまわしで、とにかくどんどん書いて終わらせてしまおう。
終わらせたら、どんどんとテスト、同時に自己チェック。ここで書けない漢字をピックアップ。すると・・・

自分が書けない漢字のみを、漢字練習帳にすることになる。

↑ ↑ ↑ ここが、革命的!はやくこの状態にしたい!


漢字スキルを1冊終わらせるのに、早い子は1か月ほどで仕上げてしまうのではないかな。
そうなると、冬休みまで、残りの3か月は、
『書けない漢字を探して、その字だけをいろんな熟語で書けるように練習する』
という、理想の漢字練習ができるようになる。

甘いだろうか?

でもまあ、やってみよう。試行錯誤が大事だ。

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【第1ステージ】
~8月後半~10月後半くらいまで(2か月くらい)
月曜日と木曜日は先生チェックの日として、授業時間にチェックの時間をつくる。
友達がチェックを受けている間は、下記をどんどんと進めることができる。(もちろんチェックをくぐらないと、次へは進めない)

ドリルの基本の進め方
①音読(漢字の読み、文例の読み、熟語の読み)
②書き順の声を出しながら「大きな文字」を指でなぞる。3回。「指なぞり」
③書き順の声を出しながら「1,1,2,1,2,3,1,2,3,4・・・」と1画目にもどりながら「大きな文字」を指でなぞる。「書き順練習指なぞり」
④書き順の声を出しながら、机の上に書く。3回。
⑤1ミリもはみ出さずに、鉛筆でなぞる。
⑥ていねいに鉛筆ですべてのマスを埋める。
⑦必ず先生のチェックを受ける。
⑧自分のペースで進める。


先生のチェックの方法

なぞりのずれ がなければ合格
とめ、はね、はらい が正確であれば合格
字の小さいものはダメ
字のうすいものはダメ
書き順チェック(ひとつお題を出す⇒目の前で空書きする)
熟語チェック(その漢字のつく熟語を2つ言う)


学習のペースを考えよう

スキルの学習が進んできたら、途中で自分で見直しをさせます。
PDFファイル(印刷用)

声かけ

〇〇くん、漢字できるようになりたい?
じゃあ、家でも進めていかないとね。一気にやろうとすると忘れるのも一瞬だよ。今日はどのくらいやれそう?
すごいなあ。そんなにやれたらたいしたものだ。明日、見せてね!

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【第2ステージ】
10月~12月末まで

ドリルを一通り終了した子から、どんどんと小テストに移る。
(もちろん、これまでのところが終わらない子は第1ステージに取り組む)

★第2ステージの1周目
小テストは5問ずつ行う。上下段、どちらも書いて先生に見せる。
全部正解したら、次に進む。
もし間違えてしまったら、空書きや指書きで覚えなおし、覚えてから直しておく。(赤で書いて直す)
つぎへ進む。

ドリルが1冊分(1周分)終わったら、2周目に入る。
担任はそのために、小テストを印刷しておかねばならない。

★第2ステージの2周目
上段はていねいに書く。
下段は熟語を書く。辞書を使う。
10問すべてやって見せる。
先生の熟語クイズに何も見ないですばやく答える。
指定された熟語が3つ言えなかったら、もう一枚やる。
もし3つともすぐに答えられたら、次へ進む。

★第2ステージの3周目
漢字ドリルの熟語を使ったテストをつくる。(教師はそれを印刷する)
自分のためでもあり、さらには友達のためでもある。
同じように3周目に入った子どうしで、お互いに解きあう。


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さて、漢字が読めないという点をどう克服するか。
国語の授業の開始時刻になったら、最初の5分間で音読を行うことにする。

音読システム

①漢字の音訓のみを1冊まるごと読む⇒時間を計って合格するとつぎへ
②音訓ぬりつぶし音読⇒時間を計って合格するとつぎへ
③熟語音読⇒時間を計って合格するとつぎへ
④熟語読み方ぬりつぶし音読⇒時間を計って合格するとつぎへ
⑤例文音読⇒時間を計って合格するとつぎへ
⑥例文読み方ぬりつぶし音読⇒時間を計って合格するとつぎへ

漢字スキル音読タイム記録用紙

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宿題はどうするか

宿題は基本的には、毎回指示しません。
しかし、大目標に向かってすすんでいますから、時期によって宿題を自分で進めます。
ステージ1の時代は、全員が漢字ドリル本体を進めることです。
宿題帳に書くのではなく、指で書いて、空書きができるように準備をします。それが宿題。

ステージ2の時代が近づいてきたら、授業でチェックをする時間をつくります。
全員が、漢字ドリルをどんどんと空書きし、自己チェックします。
書けた字には、大きな字の上にチェックを付けていきます。
最終的に、すべての漢字の上に、チェックがついているのをめざします。

このころから、宿題を出します。
さて、ようやく、いわゆる漢字ノートの出番です。


自己チェック問題の宿題のやり方

自己チェック問題とは、まだチェックのつけられない、空書きで書けなかった字です。
自己チェックで、書けなかった字だけを、ノートに書いていくのです。
そのノートは、毎週火曜日と金曜日の国語の授業の最初に、先生がチェックをします。
つまり、この漢字の宿題は、火曜日と金曜日だけ提出するのです。
そのかわり、火曜日も3ページ分、金曜日も3ページ分です。
1ページで5文字分。熟語も書きます。

これと同時並行で、2週間に一度、漢字の自己チェックをして、チェックのできる字、つまり空書きで書けた字を増やしていきます。
チェックが増えていくと、だんだんと、全部かけるようになった、という子が出てきます。
そしたら、宿題に書くスタイルを変更します。

熟語宿題のやり方

これまでは、書けなかった字を書いていましたが、つぎの段階では、熟語をたくさん書きだすのです。右ページには熟語を書いて、その下におおきなかっこを書き、そのかっこの中に、熟語の意味を書きます。
さらに、左ページには、右ページにしらべた熟語の例文を書きます。
大人用の漢字辞典を使って学習するとはかどると思います。

最終的には、この 熟語の宿題 ができるステージにくることができれば、かなり漢字に親しんだということがいえるのではないかと思います。

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