新間草海の!!自問自答ブログ

転職を繰り返し、漂流する人生からつかんだ「困らない」生き方とは。
高卒資格のまま小学校の教員になった筆者のスナイパー的学校日記。
『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。
生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。
新間草海(あらまそうかい)

学期末に近づくと、子どもたちは荷物を持ち帰ります。

最終日、両肩に荷物を食いこませるようにし、両手両肩にすべてぶら下げて帰宅する猛者もいる。

「せんせ・・・くるしぃ・・・」

だ、だいじょうぶ?と聞くが、

「なんとか・・・帰ります・・・」

歯を食いしばって歩いていく。



これは、どうしてこういう事象が起きるのか、不思議ですが、子どもからすると

「まさか、休みがくるとは思わなかった」

ということらしい。(事前に忠告は何度も受けているのに、ですよ?)

永遠に、毎日のように自分の人生は繰り返されて行くのだ、という感覚になっていて、朝起きてご飯を食べたら靴を履いてランドセルをしょい、友だちと道を歩いて教室に入り、みんなとすごすのがつづく、と思っている子がいる。

もちろん、きちんと毎日のようにカレンダーを見て確認し、

「最終日まであと10日。よし、そろそろ絵の具は持って帰ろうかな」

と計算できる子もいる。

しかし、まさか、この学年が、この学級が、おわってしまうとはついぞ考えたことが無かった、という子もいるのである。

いよいよ終業式が終わり、教室も片付いて、通知表ももらって、

「春休みですね、みなさんさようなら」

となってから、ぼうっと立ち尽くす子もいるのである。
「まさか、こんな形で終わるとは」
「人生に、こんな区切りがあるとは思わなかった」
「この毎日が、俺の人生のすべてだったのに」
「ずっとこの日常が、毎日が、くりかえされていくと信じていたのに」

とまあ、こんな雰囲気の心情であるのだろう。(推測)


わたしは実際、

「え、本当に終わっちゃったの」

と、子どもがつぶやいたセリフを聞いたことがあります。


とてつもなく不安な顔をしたまま、その子はゆっくりとランドセルをしょい、
水彩画のセットを肩にかける。
そして反対側の肩から画板をさげ、その上から今度は体操着袋をあらためて背中に背負う。

そして左手に図工の木工作品や家庭科でつくった布の袋や裁縫道具などを入れた巨大な「作品袋」を持ち、右手に上履きやらぞうきんやら、しばらく学校に忘れていたジャンパー等を入れたこれも大きな袋をさげたところで

「先生、ぼうしを頭にのせてください」

と言う。

見た目はもう、特別に仕上げた雪だるまのような雰囲気。

さらに、そのまま、画板をあちこちの机の角にぶつけながら歩いて昇降口へ移動すると、お世話好きで心配そうに見ていたクラスの気の利く女子から、

「あ、Kくん、これ忘れてる」

と理科の観察バッグと地図帳の入った袋を渡されるが、もうなんとしてもどこにも持つことができず、女子にうしろからランドセルをあけてもらって、そのふたの部分で地図帳と観察バッグを無理やりにはさみこんでもらって、なんとか『ほうほうのてい』で下駄箱へ行き、泣きそうになりながら靴をさがしてもらってはかせてもらい、まるで遠くから見ると人ではなく荷物が移動しているかのような恰好で、帰宅するのである。

すべての子がこういうわけではないが、こういう子も、いるのである。

「まさか、この幸福な毎日に、突如として終わりがくるとは、にわかに信じがたい」

こういう子が、世の中には意外に多いことに、世間はやがて気が付くであろう。
大人はスケジュールで動くが、子どもは心の満足で動くので、大人と同じような動機では行動しないという場合もあるのである。

春がすぎ夏がきて、秋がきて、冬がきたからと言って、このクラスや先生、この人間関係に区切りをつける必要が、なぜあるのか?
もっともっと、このままで時間をすごしたい。

「大人の事情です。ごめんね」
としか、言えません。
そういう決まりで、そういうふうに社会をつくったから、ということです。

「まあ、社会ちゅうものは、いずれ人間にふさわしいように変えていけるから、ね」

これが、Kくんとの春の別れの言葉となりました。
よい春休みを!

school_sotsugyou_fuyouhin


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