困らない叱らない。新間草海(あらまそうかい)の教室日記

漂流する人生からつかんだ「困らない」生き方とは。
転職を繰り返し、高卒資格のまま小学校の教員になった筆者のスナイパー的学校日記。
『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。
生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。
新間草海(あらまそうかい)

「トランプ、きらーい」

こういう子がいる。
しかし逆に、

「え、なんでそんなこというの?」

という子もいる。

つまり、教室というのはさまざまな思想が共存している空間なのだ。



「トランプきらーい」

という子は、その理由をこう言う。

「だって、トランプのおかげで、石油の値段が下がらないんでしょう?この間、買い物行くってなったとき、私はイオンモールに行きたかったのに、お母さんがトランプのせいで、ガソリン代がかかるっていうから、アピタになった」

アピタの方が、家から近いのである。
新しいイオンモールに行けなかったのは、ガソリン代を安くしてくれないアメリカの大統領のせいである、というわけだ。

「イオンだったら、キャラドリームスでなんか買ってもらえたのに!さいあく!」

子どもの生活と毎日の気分を操作するとは・・・さすが大統領である。




しかし、本当に、ガソリン代が高いのは、トランプの責任なのだろうか?

社会の授業で、『日本の輸入実態』を学習することになった。
トランプが好きか嫌いか、で授業が始まってしまい、これまでそれほど関心の無かった層までが、

「Aちゃんがキャラドリでグッズを買えたはずなのに、トランプのせいで買えなかった」

ことを重要視したため、これまでになく白熱した授業展開となった。

石油


1)そもそも、石油製品にはどんなものがあるか。

教室にあったビニール袋、サランラップ、歯ブラシ。
「共通点は?」

・・・食事?給食で使うもの?健康に関する道具?

だまって、廊下に出て、灯油を運ぶ赤いポリタンクをもってくる。

・・・わかった。どれも石油でつくられている!

2)他に、どんなものが石油から作られる?

資料で調べる。
ありとあらゆるものが、石油から作られている。
プラスチック、タイヤ、服、電気、ガソリン・・・
教室は、石油製品だらけだ。家じゅう、街中、みんな石油製品だらけ・・・

これらを、『石油化学工業』とよぶ。

3)日本人の使う量は?

牛乳パックを見せる。
一日に、日本人ひとりあたり、どのくらい石油を使うのか?

こたえは、6リットル。

4)日本では、石油がとれるか?

とれる。
たった、0.4%。
残りの99.6%が輸入。

5)輸入先はどこか。

サウジ、アラブ首長国、ロシア、カタール、クウェートの5か国で、約8割をまかなう。

地図帳で、この5か国を見つけよう、という。
あっという間に見つかる。だって、ロシア以外がかたまってるから。

「すげえ。ここのページに、ほとんどある!」

この一帯を、中東、と呼ぶ。

「きいたことある!」
「ニュースとかで言ってた気がする!」
「ロシアって石油出るんだ」
「日本がロシアからものすごい量の石油買ってるなんて、意外・・・」

6)どのくらい輸入しているか。

社会のノート(1マスが1cm方眼)の、17マスを赤鉛筆で囲む。

クイズです。これが、1年間の石油の輸入量だということにします。
すると、日本でとれるお米の量をぜんぶ合わせると、このマスのうち、どのくらいになるでしょう。

各自で、今度は黒鉛筆でうすーく、塗っていく。
半分程度塗る子、同じ量(全部)を塗る子。

正解は、1マス未満。
米は約850万トン。石油はその17倍強で、1憶7000万トン。

7)ガソリンと水はどっちが高い?

ガソリンが高い、という子もいる。
「だって、いつもお母さんがガソリン高いって言ってるから」

500mlのペットボトルを見せて、水は90円くらいで売っていること、
ガソリンは1Lが150円。半分だと75円。ガソリンの方が安い。

8)では、日本は石油以外にどんなものを輸入しているのか。

資料集を見る。
1位 機械
2位 石油
3位 天然ガス
4位 食料品
5位 化学品・薬品
6位 衣類

9)身の回りの製品がどこでつくられているか、しらべよう。

教室中のほとんどのものがアジアで作られていることがわかる。
服や靴、ノート、日用品、テープ、のり、文房具・・・

「先生、班の人の着てる服、みんなメイドインチャイナだった」
「わたし、中国きらーい!」

トランプのきらいなAちゃんが、今度は中国が嫌いだ、と言う。

「えー!トランプも中国も、両方きらいなの?」
「そう」
「なんで?」

クラス全員が固唾をのんでその反応を待っていると、

「だって、中国が石油をたくさん使うから、石油の値段が高くなってるんでしょ!お父さんがそう言ってたもん!」


ズコー!
お父さんとお母さんと、言ってることがちがうがな・・・

イオンに行けず、アピタに行かねばならないAちゃん。
Aちゃんの前に、大きく立ちはだかってくるのが、米国と中国という、世界の2大国家なのであります。この2大国家を相手に、闘志を燃やしているAちゃん。ぜひ頑張っていただきたい!
(ただし誤解のないように頼みます・・・)

アメリカ中国

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