主発問:『このおさむらいは、やさしいといえるだろうか』

やさしい派は、結局、このおさむらいは、親切を働いたのだから、という。
やさしくない派は、それにしてもやり方があるだろう、という。

結論は、

「このさむらい、本当は優しい人なんだけど、ちょっと馬鹿」

ということになった。


そこで、私が介入する。

「まあ、馬鹿、という即断しないで、もうちょっと深く考えよう」


子どもがいたら、ふつうは刀を抜く前に、声をかけるだろう。
ところが、このさむらいは、かけない。
わざとしたように、無言で刀を抜いて、近づいてくる。
子どもはこわがる。母親もこわがる。
さむらいは、この家族に、命の危険を感じさせる。すぐにも、斬られる、と思わせる。

どうしてか。


うーむ。
考え込む子どもたち。
なぜ、一見、いじわるにも思えるような態度を、さむらいはとったのか。
どうして、子どもをビビらせるような、行動に出たのか?
なぜなんだ・・・。


教科書の最初からずっと見直して、なにかヒントはないか、叙述から探していく。

すると、そもそも、このおさむらいのことを、子どもたちが最初、馬鹿にしていたシーンが浮かび上がる。
黒いひげをはやして、つよそうなさむらいが、こっくりこっくりするので、子どもたちはおかしくて、ふふふと笑いました。
 お母さんは口に指をあてて、
「だまっておいで。」
といいました。さむらいがおこってはたいへんだからです。
 子どもたちはだまりました。

ここが、さむらいと、子どもの関係を物語っている部分です。

ここに、なにか重大なヒントがあるかもしれない、と注目させます。
おさむらいと、子どもの関係・・・。

イラスト図を配ります。
おさむらいは、こっくりこっくり。(ところが片目は半分開いている)
子どもは、笑ってる。
そういう図を配ります。
吹き出しをつくり、そこに子どもたちが登場人物の心中の声を書き入れられるようにしておきます。

つぶやきを書かせると、
子ども「うはは。強そうなのに、寝ちゃったよ」「すごいひげだな。だけど寝ちゃったな」
さむらい「せっかく寝たいのに、なんだか笑い声がするぞ」「おれのひげを笑っているようだな」

と書く。

そこから、このさむらいの性格が見えてくる。

まとめ。
「このさむらいは、ひげのことを笑われたので、子どもをちょっとこわがらせてやろうかな、と思ったかもしれない」

もう一度、さむらいの性格を考えながら、物語を音読してみる。

最初に音読したときと、今読んだときと、読み方が変わったところがある?

「飴玉をだせ、のセリフを、前よりもこわそうに読みました」
「いねむりをしていたはずのさむらいは、ぱっちり眼をあけて、のところで、あれ?いねむりしてたはずなのにな・・・という感じで、意外な感じがするように読みました」

ん?どういうこと?

「このさむらいは、本当は、いねむりはしていなかったかもな、と思ったから」

さあ、二つ目の主発問。
「さむらいは、いねむりをしていたか、していなかったか」

討論開始、です。

amedama