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2月になると、担任と子どもたちの距離感というのは
なんとも近くなっています。
わたしが気にするであろうことを、サッと感知して

「あ、先生、〇〇くんは校庭行ったー」

わたしはその声に、ぎょっとします。
あなたはエスパーか。

「先生、〇〇しといたよ」
「先生、数、かぞえたよ」
「先生、消しといた」
「先生、チョーク足りなくなってきたよ」

自分勝手に判断して、どんどんと自分たちの生活を成り立たせていきます。
たくましきこの子たちは、すでにこの世を満喫できているのです。

「先生、そり作ってきたぞ」

もっているのは、段ボールに家庭用のごみ袋をかぶせたもの。
手で持つためのビニールひもが、きちんと穴をあけてつけてありました。

「おお、すげえ。Rがもってきたので、みんなですべろう」
と誰かが言って、みんな校庭の坂に走っていきました。

この、一人ひとりが、勝手なことをやっている感じ。
なんともいえない幸福です。




ああでなければ、こうでなければ、と子どもに
いろいろ思う時は、彼らには何もかもが不足していて、
なんでもっとこうならないのか、と
責めたり叱ったり、鍛えて良くしなければという気持ちが湧いてくると思う。

ところが、朝の始業前、鼻歌をうたいながら教室に入ってくる彼らを見ていると、
そのしぐさは一つ一つ、すべて実にユニークさ、面白さで満ちている。

彼らは生きていて、はじけるその命の証を見ていると、
けっして人としてなんら不足するものは無い。

面白くて優しく、友だちが大好きで大切に思う子ばかりで、
目に見えるもの、そのへんにあるもの、世のすべての物を楽しがり、
新しいことを覚えようとし、できるようになろう、と伸びていこうとする。

どの人格もすばらしく、人として尊敬できる。
あなたが好きで、あなたとの関係に満足し、満ち足りて、まわりを幸せにする。

それがどうして、じつに不完全に見えることがあるのか、不思議になる。

彼らは未完である。
しかしまったく、完成されている。

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