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わたしたちが本当に願っていることは、なんだろうか。

空


CAに本気でなりたい、と思っています、という相談があった。

「高卒からフリーターの24歳ですが、CAになりたいです。遅いのは十分わかっていますが、人生後悔したくないので挑戦したいです。なれると思いますか?」


「〇〇になりたい!」というのが、本当に自分の願っていることではない場合がある。
そんな馬鹿な、とも思うけど、案外とそういうことが多いのが人というもの。

あとで振り返ってみて、

「なんであのとき、自分はそこまでこれをやろう、と思ったのかなあ」
と不思議になることだって、ある。

自分のことなのに、ね。
自分では、「自分はCAになりたいんだ」と思い込んでいるけど、
実は、本心ではそうではない、という状態。
肝心の自分自身が、『本心』を理解しない、分かっていない。

自分の本心が分からないなんて、そんなこと、あるの?

けっこう、ある。
自分の本心が分からない、というのが、けっこうある。
だから、キャリア教育は難しい。


テレビのCMを見て、職業を決めているようなもの。
気分で決めている。
かっこいい俳優が言ったから、やっていたから、
だから商品を買う、だから、その商品を持つことに憧れる。
それと同じ。



なぜ、CAになりたいのか。

CAに憧れた、という。
お客さんを第一に考えて、きびきびと働く姿に憧れた、という。
困っている時に、助けてもらった、親身になってくれた。
だから、わたしもそういう仕事に就きたい、という。

ところが、自分自身がどんな人間なのか、ちっとも分かっていない。

自分のことを、知らない。

だから、あっという間に、CAがちがう職業にコロッと変わっていることがある。

「あれ?先週まで、CAとか言ってなかった?」

「うん。CAもよかったんだけど、もっといいの見つけたから」



もっといいの見つけたのはいい。
しかし、そもそも、自分のことが見えていないから、やはり同じだよね。


自分のことを知らないで、分からないで、調べもしないで、
それでキャリアを考えることなど、ぜったいにできない。

これからのキャリア教育は、職業の説明をする教育ではない。
自分のことを知ること。
人間とは何か、知ること。
社会と自分の接点を、楽しく、わくわくしながら考えること。

自分ひとりで考えていけるわけではないよ。
キャリアは自分のことをよく知る仲間と、いっしょになって、
自分はどんな人間なのか、じっくりといろいろ考え、
成長したところ、気づいたことを教えてもらうこと。
自分の成長は、自分では気づいていないこともある。

周囲の人たちからすると
自分はどんな存在で、どんなことが喜びなのか、いろいろヒントももらって
自分がなにを喜びとすることができるか、周囲の人たちとの関係もふまえて
経験もふまえて、あれこれと自由に考えていく中で、ようやく見えてくるもの。

こんなの、ひととの関係が濃い、学校教育の中じゃなければ、できないかもなぁ。
ひとりきりで考えていたら、ただの思い込みとイメージで決めることになるかもしれないし。

キャリアは
ひとりで考えていても、
なかなか・・・。


だから。
大事な決断は、
気の置けない仲間の助けが要る、ということではないかナ。