たのしい実験がつづく。
でんじろうになった気分だ。

「酸性」というのは、酸が水に溶けてできた水溶液があらわす、性質のことであります。
ほんとうはアルカリ、という性質についても、学習していくのですが、はじめは『酸』から。

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『酸』、というものについて、きちんと把握したあと、アルカリを勉強した方がよいのです。
これを、教師が面倒に思って、

「はい、酸とアルカリ、両方おぼえなさい!」
とやると、子どもはいつまでたっても、
両者をとりちがえたり、混同したり、特徴がこんがらがったまま、一生をすごすことになりかねない。

まずは、一つ。

一つを、徹底的に覚える。

すると、その対(つい)になる、アルカリのことなんて、するすると覚えてしまいますよ。
これが、コツです。

2つの、対になるものを覚えるときは、両方をいっぺんにやるのではない。
必ず、そのうちの一つを、徹底的にしらべて、「覚えたよ、マスターしたよ!」となるようにもっていくことです。
その自信が、次への歩みを、楽にしてくれるのです。



【酸のはたらきを知る授業】

はじめに、薬局で売っている、クエン酸を見せます。
クエン酸は粉状で、プラスチック容器に入っています。

クエン酸



質問します。

1・個体を水に溶かしたことがあるかどうか。

ほとんどの子が、溶かしたことがある、と答えます。

氷、ミルメーク、固まった絵の具、塩、砂糖・・・

完全に溶ける、というのは、透きとおる状態になることです。
塩や砂糖は、完全に溶かすことができます。


2・クエン酸は、水に溶けるだろうか。

予想させると、溶けそうだ、というのが多数。
実際にやってみると、透きとおります。
実験の結果、クエン酸は水に溶ける、ということが分かります。


3・水に溶けない炭酸カルシウムをクエン酸水溶液に入れると溶けるだろうか。

炭酸カルシウムが水には溶けない、という事実を確認した後、みんなで予想する。
水に入れても溶けないので、溶けないのでは、という子は半分くらいいる。
実際にやってみると、シュワシュワと泡をだして、溶けていく。
実験の結果、クエン酸水溶液に炭酸カルシウムが溶けることが明らかになる。


4・このとき出てきた泡の正体は、なんだろうか。

酸素だと思う・・・7人
二酸化炭素だと思う・・・10人
窒素だと思う・・・3人
他の気体だと思う・・・5人
空気だと思う・・・4人
わからない・・・6人

この泡を水上置換で集めて火を近づけると、すぐに消える。
念のために石灰水に通すと白く濁る。
この結果、泡の正体は、二酸化炭素であることが分かる。


5・炭酸水の泡の正体はなんだろうか。

泡といえば炭酸水を思いうかべる。
炭酸水を教室に持ち込み、泡を観察する。
この炭酸水には、なにが溶けているのか、と問う。

炭酸の素(粉末)・・・17人
メントスのようなもの・・・4人
分からない・・・14人

クエン酸の実験を思い出す子が多い。あんな粉のようなものが、なにか溶けているのだ、と考えるようだ。
そこで、炭酸水に固体が溶けているかどうか、調べてみる。
蒸発皿に炭酸水をたらし、アルコールランプで熱してみると、なにも残らない。
固体が溶けているわけではなく、気体が溶けていることを押さえる。
水溶液には、個体が溶けている状態のものだけでなく、気体が溶けた水溶液もある、ということ。
これは、子どもによっては衝撃らしく、
「気体って溶けるの?」
と、おもしろいつぶやきがある。

さて、炭酸水のペットボトルからチューブをのばし、泡だけを水上置換で集める。
ペットボトルを気長に揺らしていると、どんどんと気体が集まってくる。
火をつけた線香を近づけると、消える。
念のために石灰水にとおすと、白く濁る。
炭酸水の泡の正体は、二酸化炭素であることがわかる。


6.クエン酸水溶液は、酸性だろうか

リトマス試験紙の色の変化をみる。
やってみると、赤く変化した。酸性である。


7・炭酸水は、酸性だろうか。

予想させると、酸性、という子が多数。
クエン酸から出てきた二酸化炭素、そして炭酸水の泡も二酸化炭素。
なにか、共通しているのではないか、という。
調べてみると、すこし薄いが色がたしかに変わる。
炭酸水は、弱い酸性であることがわかる。


8・炭酸水は、クエン酸のように炭酸カルシウムを溶かすだろうか。

やってみると、微妙だけども、わずかに溶けていく。
「あ、溶けてる!」
「でも、泡が少ししか出ない」
「弱いね。なんだろう」
「クエン酸の方が強かった」
「炭酸は気体だからね」
「やっぱ、固体が溶けていないからかなあ」

実験する時は、水に炭酸カルシウムを入れた物を横におき、差を比べられるようにする。
わかったことは、炭酸水も炭酸カルシウムを溶かす、ということ。
これが、「酸のはたらき」である、とまとめる。


つづく