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「酒、強くなりたいな」

学生の時はたらふく飲んでいたし、平気だったのに。
たぶん、なにも感じずに、ともかく勢いで飲んでいたのでしょう。
その後、十年ほど、まったく飲まないでいました。

今も、たまの付き合いくらいで、ほとんど呑みません。
でも。
スーパーに買い物に行き、ビールがずらーりと並んでいるのを見ると、つい手を伸ばしたくなります。
一瞬考えて、やっぱり買わないのですが。
身体はそんなに欲してないな、という感じかな。

ところが。

ノンアルコール、というのを、ある時きっかけがあって飲んでみたら、これはなんだかいける。
つまり、炭酸飲料だと割り切って飲んでいると、なかなかうまい。

で、この1年間。
実にドイツやオーストラリア、米国、韓国、日本など世界各国の10銘柄以上を購入、吟味し、かなりのエネルギーを費やして飲み比べてきた結果・・・

昨年の夏以来でありましょうか。
このたびようやく、ある一つの解にたどり着くことができました。
熟考の末、私にとっての『BEST・ビア』が分かりましたので発表します。

それが、コレ。

ビール


メーカーは、日本ビール、という会社。
聞いたことないが・・・。

これを売っているのは、近所の生協しかない。
おそらく生協オンリーなのだろう。

味は、まあまあのビール味で、材料的にはモルトとhopなので、ビールと同じだ。
他のごちゃごちゃしたものが入っていない。
ただし、アルコール分が無いので、リッチな感じはしない。

嫁様は、ひと口のんで、

「まっず」

と言い、二度と飲まないと誓っていました。
「こんな水っぽいだけの、酸っぱく苦いもの、ちっとも美味くない」

これも私には好都合で、家の中で私しか飲まないでいられるのは最高の気分である。

嫁様は、麦茶が一番だ、と言い張る。

一理ある。この人は冷静ですな。麦茶は美味いから。

夏の間、わたしはこのノンアルコールビールばかり飲んでいたのですが、最終的にはまた飲まなくなった。

なぜかというと、味に飽きてしまったからです。

つまり、酒というものは、嗜好品として飲んでいる場合には、あれこれと銘柄を変えなくてはいけない、ということです。

わたしの祖父はそうではなく、嗜好品だとか言ってる段階ではなく、まさに命の水、というような勢いで飲んでいました。

え、こういうような、自分の使命感をもって飲んでいる場合には、銘柄は固定してしかるべきでしょうな。おれはこの酒と共に生きる!と断言しているのですから。
実際に祖父は、頑として「鬼殺し」という恐ろしい酒ばかり呑んでました。またその酒を呑むときの、表情がすごい。最初は微笑みから入り、徐々に顔が赤らんでくると、目が据わってきて、表情がなくなり、目を閉じて静かーーーに飲み続けるのです。

まー、怖かったでかんわ。(名古屋弁)
「鬼殺し」を飲む祖父のイメージは、とても凄いものがありました。


わたしは、飽きっぽいのかな。
わたしは、ふと気分を変えて呑むから、いつまでたっても、コレ!というのに出会うことができないでいるのかもしれない。