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新聞などに、よくある「悩み相談」。

悩みには、2種類しかない。
どこぞの立派なお坊さんの言葉だそうですが、

1)人間関係の悩み
2)それ以外

この2種類しかないそうです。


さて、毎日新聞の朝刊に、
人間関係の悩み についての投書が、掲載されていたらしいです。
結婚に反対する親からの投書なんだとか。

奥様はどうやら、お嫁さんになる女性が気に入らなかったようで・・・。


そうだん


奥様の相談。

「相手の服装や第一印象が悪く、将来子どもに宿題を教えられるかも疑問です。どうしても彼女との結婚は許せません。」

これに対して、回答する側は、

「なにが問題なのか、分かりません」

と答えている。


あることについて 「気に入らねえ」というタイプと、まるっきり問題と認めることさえしないタイプ。
この差は、すごい。
グランドキャニオンの谷より深い。ぜったいに埋められそうもない。

もし可能なら、奥様はこう話したいはず。

「だって、見た目だけでも、すごくチャラチャラしているし!ハイヒールもこんな高いし、口紅の色も見たことが無いくらい赤くって・・・。言葉遣いだっておそまつで、髪の毛も今日のために慌てて染めたような風だし・・・」

回答者 「えー、正直に申し上げて、それの何が問題なのか、わたしにはわかりません。」

奥様 「おつむの程度も知れてるでしょう。ろくに勉強もしてこなかったような様子でしたよ! 将来子どもに宿題を教えられるはずがありません!」

回答者 「ははあ。しかし、それも、とくに何が問題なのか、わたしにはわかりません。」

奥様 「挨拶だって言葉が足りないし、口元に品がない。とにかく一般常識がないんでしょう。だらしがないにもほどがあります」

回答者 「なるほど。しかしそれも、何が問題なのか、わたしにはわかりません。」

奥様 「とにかく、あたしゃ、気に喰わないんです!あのふざけたような女に!」

回答者 「結局、何が問題なのか、わたしにはわかりません。」

奥様 「あんな女に、息子をとられると思うと・・・死んでも死にきれないッ!ぐやじぃ~ッ!!!

回答者 「あなたが嫉妬していることは分かりました。•••で、あとはとくに•••ホントウに、何が問題なのか、わたしにはちっともわかりません。」

回答者は、奥様の悩みに関与することができないのです。
むろん、これは世界中のだれにも関与できない。
不可能なのですね、他人には。
なぜなら、それは奥様固有の問題だからであって、奥様の心の問題であるからです。
奥様が自分のなかで持て余している、心の内面のこと。
オモシロクナイ!キニイラナイ !
嫉妬心、優越・劣等感、そうしたもの。
こころの中の、寂しさ。
「あんたのことが気に入らない!」と叫びたくなる気持ち。


しかし、今日のこの回答、これは、回答者が悪いでしょう。
ちっとも洒落た回答になっていないではないですか。
質問する奥様の気分がスカッとするような回答、してあげてないもの。
以下、奥様の気分を損ねない回答例。


「ずばり、あなたの言う通りです。その女はアホですね。賢い息子さんがそんな女を選んだこと自体が悪夢ですが、一時的な気の迷いなのか、もしくは魔がさしたのでしょう。めげずに、こちらは作戦をたてて、とことん嫌がらせをしてやりましょう。おそらくそのことで、親子が断絶し、夏休みになっても顔さえ見せず、孫を抱かせてももらえないかもしれませんが、そんなのは些末な問題です。そんな女の産んだ子どもですから、抱かなくてもOK。こちらからお断りですよね。むしろ、お年玉やお盆玉を出さなくてもよく、全然、平気だよ~、くらいの涼しい気持ちでいてください。」


奥様は、困っていらっしゃるのです。
回答者の役目としては、奥様のさみしさに、とことん共感してあげなくては。



【結論】
「自転車のチェーンが外れてしまいました。どうすればよいでしょうか」
「無理せず、専門店に相談しましょう」
というような、物をどうするこうするとか、事柄(コトガラ)の相談と回答なら、新聞に載せるべき。

しかし、そもそも解決不可能というか、他人の関与することが本質的に不可能であるはずの心の内面、寂しさなど、「人間関係の悩み相談」について、最初から回答しようとするべきではないと思います。


しかし、人間関係のことや内面のことに、真正面から回答を出せる、と思い込んでいる人が多い。

他人の回答が無用である自分の内面のことを、『アンネセサリーインサイド』と言います。

アンネセサリ―なインサイドは、そっとしておくこと。



そうだん2
そうだん3