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教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)の全部を改正する。
 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。
 ここに、我々は、日本国憲法 の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

私はこの基本法を毎朝必ず3べん復唱してから出勤しているのだが、どうもこの、世界の平和に貢献する、というところが、まだ分からない。

あと、難しいのは、個人の尊厳を重んじ、というところ。
個人とはなにか、尊厳とは何か。
それを重んじるとは、いったいどんな心的態度のことをさすのだろう。

さらに!
一番むずかしいのは、なんといっても、
新しい文化の創造、という箇所であり、これまでの文化を、決定的に明確に超えるものを新たに生み出せ、というのだから、本当に今の授業や学校での文化創造がいかにまだまだ未成熟のものであるか、痛切に反省せざるを得ない。

今までと同じことをやっても、まったく「新しい文化の創造」にはまったく及ばない。
これを思うと、このすばらしい教育基本法が私たちに要求することの高さに驚愕するし、その理想の高さに思わず背中を凛と伸ばして、あまったれた自分を叱り続ける以外にない。

これまでの既成概念のままで良いはずがない!
甘ったれるな!!!


と叱られている気分だ。
叱らないでもいいですか、といいながら、自分は叱られているのだ。
この、人類の、「理想の高さ」から、気高い理想から、わたしは日々、叱られ続けている・・・。



さて、「世界の国しらべ」という学習をしているのですが、サッカーが好きでフランスを調べている子が、学校のすばらしいパソコン室で、調べれば調べるほど、テロのニュースばかり出てくるので困惑しています。

「先生、フランス調べてたら、テロのことしか出てこないけど、それ発表していいの?」

来週あたり、調べたことをお互いに発表しあう、という予告をしていますので、心配になった子がわたしに言いに来ました。

まさかこんなことになるとは思ってもいませんから、今回の学習では、フランスだけは調べるのをよしましょう、ということができない。
あと、社会の教科書に、日本と関連の深い国々を調べましょう、という単元があり、そこでは日本と縁が深いということで、サウジアラビアという国が掲載されていて、ぜひ調べるように、という流れになっている。
まあ、毎日、両国の間でお互いに巨大タンカーが行ったり来たりしているのだから、この国の選択は妥当なのでしょう。経済的にもがっちり結びついている国なのだから。


ところがサウジを調べている子も、

「先生、シリア内線(?)ってなに?」
「え、いきなり。なんで?」
「だって、サウジアラビアのこと調べてたら、イエメンの内戦がどうとか、シリアの内戦がどうとか・・・」

もう、目が点です。

要するに、なんでこんなに紛争ばかりしてんのか、ということが、子どもたちの調べ学習になっちまうのです。

教科書会社は、こうなるのを分かってサウジを選んでるのか??
「世界の国しらべ」の学習は、やりにくくてしょうがない。


教育基本法の理想の高さからすると、このような『世界の国の調べ学習』はどのように進めていくのが正しいのだろうか。
シリアがどうとか、テロがどう、ISISが、アメリカが、ミサイルの値段が、など、そんな古臭い旧態依然とした活動を学習するのではないことは明白だから・・・。


うーむ。
これから先の時代、先生たちを悩ませる問題は、たぶんこれだろう。

「世界の紛争と日本の関わりをどう学習させるか」


写真は、EU本部。
EU本部