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好きになれない人がいたり、

好きになれない子がいたりするのは、

もう決定的に、ヘン、です。


どんなに宿題を誤魔化そうが、友達にいじわるをしようが、教師にとって

教室の中に、「好きになれない」子は、いない。

どんなに叱ったあとでも、好きなのです。




じっと見ていると、おもしろい動きをしているのが、子ども。

えんぴつを削る場面だけでも、よく芯の先まで確認しないと気が済まないタイプもいれば、

ゴリゴリっと数回まわして、おしまいっ、というタイプもいます。



黒いツチハンミョウを見つけて、

「先生、女王アリ、見つけた!」

と見せにくる子もいます。


「それ、毒があるからな。噛まれてないやろね」

というと、

「エ゛ッ!!!」

と叫んで、固まっています。



給食に甘夏が出て、ていねいにすじやら薄皮やら、ぜんぶきれいにむいて、身だけをきれいに並べ、悦に入っている子がいます。

かと思えば、みかんの皮を、ほそーく、ながーく、職人のような手つきで慎重にむいている子もいます。



子どもは動いていますから、動いていると、本当にいろんな表情が出てくるのです。

その、いろーんな表情を、見ようとしていれば、

「好きになれない子はいない」

と、思います。




教師は、子どもの動きをつくり、仕掛け、その動きの楽しさ、おもしろさ、良さを、まわりの子どもたちに広げていくのが仕事なのかもしれませんね。

「おもしろいこと、やるなあ!」

といって、惚れ惚れしながら、その子の顔を見ると、得意そうな顔をしています。

それをきいた周りの子も、いっしょに嬉しそうになる、というのが子どもの世界です。




わたしが、つい、

「ようし、みんなで、女王アリを探そうぜ!」

と言うと、女子はみんないやがりますが、男子はけっこう簡単にその気になってくれます。

「先生、どこにいるの?」

と訊くから、

「先生にきくよりも、下々のアリたちに訊くのがいいんじゃないの」

といって、アリ探しを促します。



結局、見つからないのですが、それでいいのです。

「ああ、いなかったなー」

で、おしまいです。

しかし、子どもたちはいい顔をしています。

「〇〇くんね、蟻を追いかけて、南校舎のプールまで行ったんだって」

「家庭科室から砂糖もってきたって」

「ありじゃなくて、ゾウムシみつけた」



この動きの中で、子どもたちの性格の違いや面白さが、浮き彫りになってくるから、それにきちんと先生が気づいたんだよ、ということを伝えるのが大事です。

「さすがSくん。頭の回転はやい。とりあえず、作戦たてるのが好きなんだもんなあ」

「さすがTくん。しらみつぶしに探すねえ」

「さすがMくん、手ぶらでは帰らないなあ」




こうしたことを、毎日やっているから、クラスに物語が生まれてきます。

登場人物のキャラがたってくる、光ってくると、ストーリーが生き生きしてくるようです。



  ↓ とかげ、いた!
とかげちゃ~んG