元エンジニア・新間先生の自問自答ブログ

転職を繰り返し、漂流する人生からつかんだ「天職」と「困らない」生き方。
高卒資格のまま愛知の小学校教員になった筆者のスナイパー的学校日記。
『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。
生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。
新間草海(あらまそうかい)

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子どもがゲラゲラ笑う。

「先生、コナって言わないんだよ。コナ、だよ」

字で書くとツタワラナイ。

粉、という言葉のイントネーションが、面白いらしい。




私の発音は、「コ」にアクセントがある。
「コ」が高い音で、「ナ」が低い音。

ところが、ここらの子どものアクセントは、わたしのとは異なる。
「コ」が低い音で、「ナ」が高い音。

それで、わたしが理科の電磁石の実験のときに、やたらと

「鉄の粉をここに置くよ」

とかなんとか、「こな」という言葉をたくさん使ったら、それだけでくすくす笑う。


イントネーション。
抑揚・音調・語調・声の高低変化。

こんなにも、違いを感じるものかなあ。



あとの休み時間に、近寄ってきて、

「先生、こなって言ってみて」

わたしが何度も、コナ、粉、と繰り返すと、それだけで目から涙が出てくるほど笑っている。



次の時間に、あんまりみんなが笑うからね、とアクセントの話をしたら、

「先生のおかしいのは、他にもあるんだよ」

と教えてくれる。

「なにが変なの?」

子どもは張り切って教えてくれる。

「あのね、ぶらんこ、が違うよ」

一人が言うと、みんな、そうそう!と、盛り上がってきた。

ハクション大魔王のアクビちゃんにそっくりな、Yさんが可笑しそうに、

「あとね、重さ、もちがうよ。先生のは、お・も・さ、というもの。」

するとまた、クラス全員が

「そうそう!!」




へええ・・・ちがうんだねえ・・・


ぶらんこは、子どものアクセントは、「ら」にある。

ぶ ら ん こ
低 高 低 低

である。

わたしのは、「ぶ」がもっとも高い。

ぶ ら ん こ
高 低 低 低



重さ(おもさ)の場合、子どものアクセントは、「も」と「さ」に存在する。


お も さ
低 高 高

となる。


ところがわたしのは、「お」が高い。

お も さ
高 低 低

となる。


「なんでこうも、言い方がちがってるんだろうねえ」

わたしが不思議がっていると、

「先生の、ありがとうってあるでしょう。ありがとうっていうの、お母さんと一緒だよ」

「ええ?お母さんは、どんなふうにいうの?」

「お母さんは、最後の、とう、が高いんだよ。大阪出身なんだからね」

その子の母親は、大阪出身で、関西弁だそうだ。
今はこの土地に越してきているから、岡崎の言葉になってきているのだろう。しかし、それでも幼い頃から言いなれた口調というのは、そのままなんだろうね。

「先生も大阪出身なんでしょう?だから、うちらと言葉がちがうんだよね?」




私は日本地図を見ながら、若い時から住んだ場所をすべて子どもたちに教える。
すると、日本のあちこちを、さまざまに移動してきて、住居が転々と変わっているから、子どもたちはとても驚く。


「先生は、日本のあちこちで暮らしてきました。言葉もいろいろ、アクセントもいろいろ、覚えました。それで、とうとう、ごちゃまぜになっちゃいました!」


すまん、すまん。

私は、すまんのう、と謝る。

すると、気の毒がった子が次の日の日記に、こう書いてきた。

「先生は、いろんな場所のハイブリッドだから、べつにいいんじゃないかと思います。ただ、教室だと笑っちゃうので、理科のときの、<こな>だけは気を付けてください。」

いいなあ、ハイブリッドかあ。
ちょっと、かっこよく聞こえてきたなあ。

それでも、まあ、<こな>だけは、気を付けます。
すまん、すまん。

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