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お楽しみ会をしまーす。

今回は、待ちに待った、デザート・クッキング大会!

家庭科室をお借りして、みんなでデザートクッキングとしゃれこもう!!


・・・

で、本日、事前の打ち合わせをやったのですが・・・。


一応、全員が何かしら材料を持って来よう、ということになった。
〇だれが、何を持ってくるか。

これはとても興味のわく決め事であります。

「ぼく、トマトもってくる」
「じゃ、チーズ、わたしもってくるね」


ま、こんなふうに話し合っております。
いったい何をつくるのでしょう・・・。


私はどの班の様子も見に行ったが、ある班でふと足をとめた。
なにやら、とても紛糾している様子。


「どしたの?」
「ねえ、先生。聞いてよ。Tくん、何持ってきたらいいか決まらないー」


Tくんは、どうもやんちゃの風がある子で、女子にとても警戒されている。
つまり、せっかく持参した材料を、登校中、あるいは学校に着いてから、Tくんが食べちゃうんじゃないかと心配されているのだ。

この班はクレープを作りたかったようだが、中に入れるフルーツを持ってくる、とTくんは頑張って主張していた。

Tくんが
「みかんの缶詰もってくる」
というと、
「缶切りで開けて、朝、食べちゃうんじゃない?」
と女子。

女子が本気で心配していることも笑えるが、肝心のTくんが、それを否定しないから話がややこしくなってる。

「うーん、おれ、食べるかもよ」
「じゃ、ダメ!!」


女子、からかわれていることが、分からない・・・らしい。


女子がキャーキャー言うこと自体が、この年代の男子には、とてつもない快感になるのだ。
それが分からないので、話がいっこうに進まない。

わたしは同じ班の男子が、何とかするだろう、と思った。
まあまあ、Tくんは口ではそう言ってるけど、大丈夫だから、てな感じで、とりなすだろうと思った。


だが、しかし。

驚いたことに、同じ班の男子を見ると、その男子も女子同様(!)、心配しているらしいのだ。
なんとまあ・・・。


見ると、おとなしくて優しい性格のWくんが、

「な、頼む、Tくん、サツマイモにして!」

と頼んでいる。

サツマイモなら、Tくんが登校中に食っちゃう、ということもあるまい。

女子もそれにならって、

「そうそう!おいもにして!!」




Tくんは、この騒ぎが収まるのが惜しいらしく、

「いや、家にちょうどチーズがあるから、チーズがいい」

Wくんと女子は、額をつきあわせて、「どうする?」とひそひそ。

黒髪の長いリーダー格のKちゃんが心配そうに、

「・・・ねえ、チーズ、来る途中で、食べない?」

と尋ねるも、Tくん、何食わぬ顔で、

「食べるかも」
「エーッ!!」




わたしは、のんびり待つ。

結局、Tくんはタイムアップまでに、さつまいも担当におさまっておりました。


あとの休み時間中、なんだか一仕事やり終えた感の強いWくんに、

「よかったねえ。Tくん、さつまいもで納得してたみたいで」

と聞いてみると、

「いや、先生・・・」

Wくん、あたりをちょっと見まわしてから、

「心配だから、オレも一応、家からイモ、もってきとくわ」


小さな声で言ったのでした。

(いや、イモは食わんやろ)とわたしは思ったのですが。



Tくんみたいな子は、こうやって友達思いの子たちに、うま~く囲まれて、人生をおくっていけるような気がします。

Tくんの屈託のない笑顔は、とびきりですからね。
みんな、そういう笑顔が、大好きなんですからな。
boku