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アメリカのテレビ局。
ある番組で、100歳を超えて長寿をエンジョイしている人にインタビューをした。

ま、どこの国でもこういう番組を、つくるみたいネ・・・。

「何をしたら、そんなに長寿になれるのでしょうか?」

そしたらそのしわくちゃのおじいちゃん、

「なんでそんなことを聞くんだ」

と、ぶつぶつ言う。

べつに怒っているわけではないんだけど、不思議そうに、逆に訊くわけ。
ところが、テレビ局の方は、はやく、答えが欲しい。
だから、話を進めようとする。
その白髪のおじいちゃんをいたわるようにしながら、タレントが聞く。

「いやいや、みんなが聞きたいんですよ。テレビに映すと、スタジオで、みんながそれを待っているんです」

じいちゃんは、それには、答えない。
この場面だけみると、じいちゃんが頑固に見える。

なんでこのじいちゃん、聞かれたことに、答えないんだ?素直じゃねえなあ、このじいさんは!

・・・とか、思っちゃう。

だって、すぐに答えてあげればいいのに・・・って、ね。

たとえば、

「わしは毎日、散歩をしているからのう」

でもいいし、

「わしは毎朝、ヨーグルトを食っておるし、それを20年続けているんじゃよ」


とかね。

視聴者は、そういう返事が欲しいわけ。
まったく、視聴者の期待に、応えてくれないの。このおじいさん。・・・ったく、頑固だよね。
融通が利かないというか・・・。



ところが、事件は急展開する。

インタビュアーのタレントに向けて、じいさんが、かます。

「じゃ聞くが、お前さんは、長生きできると思うのか?」

「いや、私は無理ですね。たぶん。(スタジオ爆笑)

「なんでそう思う?なんで自分は短命なんだと思うのだ?」


じいさんの目は、なんだか眼光がするどい。
玄関で、杖を持ったまま、でかい声で話す。
タレントは、少しうろたえながらも、

「いやあ、生活が不規則ですしね。夜遅くまで起きていることが多いし。・・・それに、たぶんあまり食事もヘルシーじゃないから」

「じゃ、わしの答えは、その逆じゃ。わしはそういうことをしてこなかったから長命なんじゃ。わかった?」
(スタジオ、シーンとした後、一部、ヒュー!という歓声)

インタビュアーが、もっと情報を引き出そうとして、

「ああそうですか、そういうことを気を付けていたら、長命になれるんですか。なにかこういうことをした方がいい、ということはないでしょうか?」

じいちゃん、顔の前で手をひらひらさせながら、Ah、「ないよ」
って。



インタビュアーは必死に食い下がる。

「すみません。なにか運動はしていらっしゃいますか?」

「太極拳を少々な」

「おお!太極拳をすれば、長生きができますか?」


「もう20年以上、まともにやってないから、わからんよ。そんなこと」


(ズコッ!)・・・太極拳以外には、なにかやっていらっしゃらないんですか」

「社交ダンスか・・・」

「おおお!!!社交ダンスをしてるんですか!」

カメラに向かって、目を丸くして驚くタレントの顔がアップになって映る。


「でも、もう40年以上してないよ」


(ズコッ!!)今、なにかしていらっしゃることはないですか」

「むしろ、しないように、と気を付けているな」

「そりゃ、いったい、なんです?」


爺さん、目を輝かせて、言い放つ。

「お前さんが、短命の原因と思うようなことを、しないのだあ!うわっはっはっは・・・」


爺さんはその後、妹さんの農場まで散歩⇒そのまま泊まる⇒トマト食べる⇒羊肉を食べる⇒寝る⇒ビリヤードをやる⇒・・・

なんか、そんな感じ。


なんでこう、世の中はサカサマなんだろう、と思うことばかり。

しようしよう、と思うとうまくできないのに、
『しない』でいると、うまくできることがあって・・・。


逆さまだねえ。



逆さま、というので思い出す。
さだまさしさんがコンサートで言ってたこと。

死んじゃったばあちゃんが好きで好きで、夢で逢いたい、おばあちゃんが夢に出てきてほしい、出てきてほしい、と願っていると、出てこない。

で、観念して、あきらめて、心が、そこから離れたな、というときに、

もうあきらめてから、ようやくホッとしたように、おばあちゃんが夢に出てくる。

どうも、脳みそがそうやってバランスを取ろうとしているかのようだと、さだまさしさんは、振り返っている。


人間の思考は、かなり逆さまのようで・・・。

ぬこ