新間草海の!!自問自答ブログ

転職を繰り返し、漂流する人生からつかんだ「困らない」生き方とは。
高卒資格のまま小学校の教員になった筆者のスナイパー的学校日記。
『叱らない で、子どもに伝え、通じ合う、子育て』を標榜し、一人の人間として「素(す)」にもどり、素でいられる大人たちと共に、ありのままでいられる子どもたちを育てたいと願っています。
生活の中の、ほんのちょっとした入り口を見つけだし、そして、そこから、決して見失うことのない、本当に願っている社会をつくりだそう、とするものです。
新間草海(あらまそうかい)


先生がずるい、と言う子がいる。
言いながら、冗談のように笑っている子はOKだ。
自分の言っているのが、先生に対してとってみせているポーズの一つであることをわかっている。
だから、先生が何か言えば、それで笑って済ませるのだ。

しかし、それを一緒に聞いていて、

「本当だ!ずるい!」

と、真剣になって言う子もいる。

これは、先生と生徒、という区別ができていない子。
また、大人と子供の区別もできていない。
だから、こういうことに、真剣に腹を立てる。


どんな場面かと言うと、職員室で先生方が校長先生の用意してくださったおでんを食べているときに、
「失礼します」
と入ってきて・・・
・・・という場面だ。

「あーっ、おでんのにおいがする!」

先日まで保護者懇談会があって、多くの先生が忙しくしていらっしゃった。
そこで、懇談会が終了した翌日の金曜日、校長先生が手配をしてくれたのだ。
なんと、職員室におでんが届いた。
鍋いっぱいの、銀色のアルミホイルで丁寧にふたをされた、おいしそうな、おでん。
本校の目の前のマンションに暮らす、地域のおばあちゃんが、学校が大好きでなんだかんだと持ってきてくださるのである。校長先生とも古くから面識があり、現在の勤務校に校長が赴任した時にわざわざあいさつにきた方であった。

そのおばあちゃんが、鍋いっぱいのおでんを職員室に届けてくれた。
職員が、各教室から戻ってきたら、おでんがある。
ふるまわれる。
職員室が、一時の間、ほっとステーションに変わっていた。

さて、もう下校時間がすぎて、しばらく経った頃です。
本当は下校しているべき高学年の子が、何か遅くまで残っていたのだろうが、突然ノックをして職員室に入ってきた。

「しつれーしまーす」

最初に入ってきた子は

「あ、おでんのにおいだ。ずるいな先生たち」
と言う。
しかし、顔は笑っている。
「いーなあー」
と言いながら、担任の先生に自分の用事を言って、帰っていこうとした。

その子といっしょにつきあってそこまで来ていた子。

「あーっ、ずるい!!ずるい!!なんで子どもにはくれないんだ、大人だけずるい!先生ずるい!」

と言いだした。

ふだんからこういう傾向がある子なので、担任が廊下に出させて対応していたが、廊下と職員室の扉越しに、
「ずるい、ずるい、ひきょう、ひきょう!」
という連呼が聞こえる。

ここまでなら、職員室の先生たちも、顔を見合わせて苦笑い、という感じ。

でも、それが、だんだんヒートアップして、大声になり、

「ずるいずるい!!!いっつも教師だけかよー!!お前ら口先だけ子どもの味方だとか言いやがって!」

と言いだした。

職員室の先生たちも、ちょっと迷惑顔になってくる。
そして、同じ学年のもう一人の先生まで、お皿と箸をおいて、廊下に出られた。

その子が壁を蹴る音がする。
つづいて、その子が扉を蹴った音。

扉に入ったガラスがびりびりと音を立てる。
ふだんから、友達への暴力が懸念されていた子だ。
職員室がシーンとして、おでんがちっともうまくない。


体育主任の男の先生まで、外に出た。


なんだろうなあ。
こういうのって・・・。



教師と児童生徒。
この立場の違いを、まったく理解しない子に、なんといえばいいのだろう。

しかし、この子はちょっと違うのかもしれない。
この子の心の底に澱のように溜まりきった、煤払いをしなければならない。
言いがかりできそうなことに反応しているだけで、本当は、おでんなんてどうでもいいのだろうな。
言いたいのは、
「わたしを救って」
という心の叫びなんだろうな、と思いながら、わたしはおでんの汁をすすっていました。


担任の先生は、

「Hさんのお父さんも、職場でおでん食べているかもよ」

と言ったそうです。

「ここは、先生たちにとっては職場だから・・・。学校の先生たちにとって、ここはHさんのお父さんが勤めているような、会社と同じ。職場なんだよね。だからおなかがすいて、ここで何かを食べることだってあるんだよ。お父さんだって、会社でちょっと何かをつまんだり、おなかがすいて社員食堂で食べるかもしれないよ。それと同じ。みんなは生徒。勉強して学ぼう、という人とはちょっと立場がちがうんだよね」

まあ結局、いろんな先生が昇降口にまでなだめながら連れて行って、叫びつづけている彼女をなんとか帰宅する気にさせたようです。




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